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上司に恵まれないSEのために
[No.044]「真実の瞬間」を目指せ!(2004/11/24)

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□■■ 上司に恵まれないSEのために
■■□ [No.044]「真実の瞬間」を目指せ!(2004/11/24)
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▼上司に恵まれないSEのために バックナンバー

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●ITサービスのプロフェッショナル

 私の友人にフリーのITエンジニアがいます。彼の顧客は、ソフト会社や
SIerの同業者ではありません。彼は、中小・零細のエンドユーザ企業か
らの仕事を直接受注しています。

 彼は、基本的に一人で仕事をしており、要求定義から開発・保守までの全
てのライフサイクルを担当しています。リピート客が多く、さらに口コミで
お客さんがお客さんを紹介してくれるそうです。仕事が次から次へと舞い込
み商売繁盛です。

 以前、彼に「そんなに引き合いがあるのなら、人を使って事業を拡大して
はどうか。」と聞いたことがあります。

 しかし、彼は私の問いかけに対して、こう言って首を振りました。
 「自分の強みは、お客さんに対するサービスにある。仕事を進める上でお
 客さんとのコミュニケーションを重視し、納品後の保守や運用サポートを
 迅速かつ丁寧に行なうことで、顧客満足度を高めている。他人を使うと、
 自分の強みが失われる可能性があり、それはやりたくない。」

 彼の話を聞いていると、IT導入やシステム構築の営みはサービス業であ
ることが良くわかります。
 私の友人は、顧客に密着し、痒いところに手が届くように、顧客の抱える
問題解決に貢献しています。今後、いかにオフショア開発やソフトウエア・
プロダクトの部品化が進もうと、彼が自分の強みを無くさない限り、顧客を
失うことはないと思います。


●「サービス」の特徴とITプロフェッショナルの仕事

 情報サービス産業には、製造業的な側面とサービス業的な側面があります。
 どのような職種でどのような分野で仕事をしているかで、どちらの側面が
強いかには違いがあると思いますが、多くのITプロフェッショナルの仕事
はサービス業の要素を含んでいます。
 つまり、ITプロフェッショナルの仕事は、単純に「ものづくり」として
は捉えられないのです。

 一般的に「サービス」が「モノ製品」と違うのは以下の点であると言われ
ています。
 ・サービスには、形がない。
 ・サービスは、生産されると同時に消費される。
 ・サービスでは、結果だけでなくプロセスも重要になる。
 ・サービスは、顧客と共同で生み出す。

 上記を見ても、ITプロフェッショナルの仕事の多くがサービスとしての
側面を有していることを理解できると思います。


●ITサービスのマーケティング

 マーケティングに「マーケティング・ミックス」という用語があります。
 マーケティング戦略は、まず標的市場(顧客)を絞り込み、その次にその
標的市場(顧客)にフィットしたマーケティング・ミックスを開発すること
で策定されます。
 つまり、マーケティング・ミックスは標的顧客を捕まえるために、あらか
じめ決めておくべき要素と言えます。

 「モノ製品」におけるマーケティング・ミックスは4Pとして知られてい
ます。即ち、以下の4つです。
 ・製品(Product)
 ・価格(Price)
 ・プロモーション(Promotion)
 ・チャネル(Place)

 一方、「サービス」におけるマーケティング・ミックスは、以下の4つであ
ると言われています。
 ・サービス品質(Product)
 ・価格(Price)
 ・プロモーション(Promotion)
 ・プロセス(Process)

 私の勤務先のある部門はプロダクトの品質が高く、納品後の障害発生率は
他の部署と比較しても非常に低い数値を示していました。しかし、顧客満足
度は必ずしも高くありませんでした。プロダクトの品質が高いことは顧客満
足の必要条件には違いありませんが、十分条件ではないのです。

 ITプロフェッショナルは、プロダクトだけを提供しているのではありま
せん。自分自身の仕事をマーケティング戦略で捉えた時に、どのようなマー
ケティング・ミックスを提供しているでしょうか。上記の切り口で一度、考
えてみると良いでしょう。


●「サービス・エンカウンター」と「真実の瞬間」

 サービス業が顧客満足を実現するには、「サービス・エンカウンター」を
いかに設計するかが重要です。
 「サービス・エンカウンター」とは顧客がサービスに接する場面のことで
す。例えば、担当者からの「おはようございます」や「ありがとうございま
した」という挨拶の言葉、打ち合わせ時の聴く態度や質問の仕方等です。

 そして、サービス・エンカウンターの重要性を表す言葉に「真実の瞬間」
があります。これは、顧客が優れたサービスに出会った瞬間にそのサービス
提供者に心を奪われファンになってしまうことを言います。
 私の友人は、まさしく「真実の瞬間」を生み出していたのです。
 多くのITプロフェッショナルは、「真実の瞬間」を心がける必要がある
のではないでしょうか。

 「真実の瞬間」を目指すためには以下のような条件が必要です。
 ・品質の高いサービスを提供するための技術とノウハウ
 ・対人関係に対する感受性の高さ状況適応能力
 ・顧客満足を実現しようとする高いモチベーションと責任感

 ただし、一番最後の条件を満たすには、企業側のマーケティング・マネジ
メントが重要になります。簡単に言えば、「不幸な従業員」には顧客満足は
実現できないということです。
 多くのサービス業では、顧客満足度と従業員満足度が相関関係にあるのは、
よく知られていることです。
 多くの情報サービス業が、「顧客満足」を唱えています。しかし、自社を
サービス業として捉え、サービス・マーケティングを実践している企業は、
どのくらいあるのでしょうか。
 このテーマについは、また別の機会に述べてみたいと思います。

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▼編集後記▼

 先日、友人である熱血主夫アミパパさんの生活ぶりが、フジTV「情報ラ
イブ EZ!TV」で放映されました。タイトルは「今どき逆転夫婦」。
 アミパパさんが作るお弁当は、とっても美味しそうで食べたくなりました。
 我がワイフは、アミパパさんの盛り付けが上手なのに感心しておりました。
  ↓アミパパさんの熱血ブログはこちら↓
  http://plaza.rakuten.co.jp/syufugyou/
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