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上司に恵まれないSEのために
[No.042]「ワイガヤ」とソフト開発(2004/10/01)

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□■■  上司に恵まれないSEのために
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▼上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン バックナンバー
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●現場に使われない品質マネジメントシステム

 私の勤務先は、ソフト会社としては早い時期からQMS(品質マネジメン
トシステム)導入に取り組み、ISO9001の認証を取得しています。
 しかし、正直なところ、狙い通りの成果が出ているとは言い難い状況です。
 プロセスを定義し、さまざまなルールや標準化を導入して、短くない年月
が経ちますが、どうしても現場に定着しません。

 ISO9001の導入を担当した品質保証部長は、部下を厳しく指導する
タイプのマネジャーでしたが、いくら注意されても、いくら叱責されても、
なかなかルールが守れないのです。
 今や、ISO9001の認証を維持することが目的化してしまった感すら
あります。


●現場に漂う「やらされ感」

 QMSの実行が現場に定着しない理由については、私なりに原因分析をし
てみました。いろいろな要素が絡んでいますが、個人的に最も重要な原因と
感じているのは、現場の「やらされ感」の深さです。

 どんな人間でも他者から強要されてやることは、継続しません。
 また、そこには自主的な改善は生まれづらく、楽しさや喜びもありません。
 そして、品質に対する自己責任も芽生えません。

 現場に、QMSを定着するためには、何としても「やらされ感」を払拭し
なければなりません。そのためにはQMSに沿った手順とは異なるアプロー
チが必要であると思います。

 プロセスを定義してルールや手順書を作成し、トップダウンでQMSを導
入することは、それはそれで意味があることですが、それだけでは明らかに
不十分なのです。


●トップダウンではなくボトムアップ

 QMSの問題とは別に、私は以前から現場が自主的に継続的な改善活動を
する組織文化を形成したいと思っていました。日本が世界に誇る製造業で、
日々行われているような継続的な改善活動をソフト開発の現場で実現したい
と思っていたのです。
 例えば、本田技研工業「ワイガヤ」のようなものが、現場のあちらこちら
で発生するような光景が理想です。

 ソフト開発の現場でも、日々さまざま問題が発生していますが、そのよう
な問題に対する対応は個人任せで、しかも現象面に対する対処で終わってい
ることが多いような気がします。
 多くのSEには、問題を発生させている因果関係を考えたり、最も重要な
原因に対する対策を講じた経験が少ないように感じます。

 まして、衆知を集めて問題を解決した経験を持つ人は少ないのではないで
しょうか。
 チームによる問題解決の楽しさや継続的改善の楽しさを、SEに実感して
欲しいと思います。またそのような活動を通じて、プロとしての自己責任や
自己啓発に対する意欲、またSEとして極めて重要な能力のいくつかが磨か
れていくような気がしています。


●では私に何ができるのだろうか

 ただ、トップダウン的に「ワイガヤ」をやれといのも本末転倒ですし、無
理やりQCサークルを立ち上げてQC活動を始めても、やはり「やらされ感」
が発生してしまいます。

 「今の自分には何ができるのだろうか」と考えた時に、日々現場で起きて
いるような具体的な問題をテーマとしたワークショップを、私自身が主催し
てみようと思い立ちました。
 これはと思う人達に対して、私の思いと狙いを説明し、賛同してくれたメ
ンバーで自主的なワークショップを立ち上げようと考えています。
 そして、このワークショップを経験したメンバーを中心にして、徐々に現
場へ展開できれば良いなぁと思っています。


 そんな話しを、つい先日のコーチング・セッションで、私のコーチに話し
たところ、「中村さんのやりたいことは「ニワトリを殺すな」の中で開催さ
れていたような会議ですね。」と指摘されました。

 「ニワトリを殺すな」ケビン・D・ワン著

 コーチに言われるまで、「ニワトリを殺すな」のことは、まったく頭にあ
りませんでした。(元々、この本をコーチに紹介したのは私です。)
 考えてみれば、この本は、本田技研工業がモデルになったお話しでしたの
で、「ニワトリを殺すな」で開催されていた会議のイメージが、私の潜在意
識にあったことは間違いありません。

 コーチのお陰で、自分がやりたいワークショップのイメージが明確になり、
ヒントを得ることができました。

 このワークショップの試みが、うまくいくかどうか未知数ですが、状況に
ついてはこのメルマガでお知らせしていきたいと思っています。

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