━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
□□■
□■■ 上司に恵まれないSEのために
■■□ [No.043]失敗プロジェクトの中に成功を生み出す方法(2004/11/04)
■□□
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼上司に恵まれないSEのために バックナンバー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●「プロジェクトは人を幸せにするものでなければならない」
先日、実用企業小説「プロジェクトマネジメント」の著者である近藤哲生
さんのお話を聴きました。
「プロジェクトマネジメント」に対する私の書評
「プロジェクトは人を幸せにするものでなければならない。」という近藤
さんの考えに共感する私にとっては実に有意義でした。
近藤さんは、プロジェクトを成功させるためには、スポンサー、プロジェ
クトマネジャー、メンバー等のプロジェクトに関わる人間のすべてが、それ
ぞれの層で高いモチベーションを維持することが何よりも重要であると主張
されています。
そして、そのために近藤さんは「自律的に学習するチームづくり」を促進
するプロジェクトマネジメントについてコンサルティングされており、その
内容を具体的に伺うことができました。
多くは、小説の中で書かれていたことでしたが、直接話しを聴き、質問を
することで、さらに多くの「気づき」を得ることができました。
●失敗プロジェクトの中にも成功はある
近藤さんは、プロジェクトメンバーのモチベーションを上げるためは、ま
ず、彼等(彼女等)の成果を認める必要があると、話されました。
近藤さんは駅伝に例えて、以下のような内容を話されました。
「駅伝で負けてしまったチームがあるとします。しかし、区間ごとに見る
とトップだったところもあります。同様に失敗プロジェクトの中も、細か
く分析してみると小さな成功はたくさんあります。そのような成功を掘り
起こして、皆が認めてあげることが大切なのです。」
過去に数々の失敗プロジェクトを経験してきた私にとっては、とても心に
響く言葉でした。そして、今の自分に足りないものを改めて認識することが
できました。
「失敗プロジェクト」と呼ばれるプロジェクトが最も不幸なのは、そのプ
ロジェクトによって関係者の心身が傷ついたり、人間関係や信頼関係が壊れ
てしまうことです。
例え、「失敗プロジェクト」が発生しても、組織やチームの良い関係が崩
れないためには、何をすれば良いのか。また、皆が失敗から学べるようにな
るためには何をすれば良いのか。
私自身の今後の課題として取り組んでいこうと思いました。
●失敗プロジェクトの定義
以前、仲間達とシステム開発プロジェクトの失敗発生の原因について、話
しあったことがあります。
その時に話題になったのは、そもそも失敗とは何かということでした。
一般に失敗プロジェクトと呼ばれるのは、以下のようなプロジェクトです。
・赤字を出した
・実績コストが計画コストを超過した
・納期を遅延した
・納品後の障害が多発した
・顧客からのクレームが多発した 等
事業責任者からすれば、「赤字プロジェクト=失敗プロジェクト」という
ことになるので、SIer等の情報サービス業では、そういう文脈で語られ
ることが多いと思われます。
しかし、本当にそうなのか、その話し合いの参加者からは疑問が投げかけ
れられました。
・利益は出たが、顧客満足は下がった。
・利益は出たが、メンバーは疲弊してしまった。
このようなプロジェクトが、果たして成功といえるのでしょうか。
あたりを見回してみると、確かに採算的には優良プロジェクトだけれども
雰囲気が悪く、メンバーのモチベーションが低下しているプロジェクトがあ
ります。
その反対に、赤字プロジェクトだけれども雰囲気が明るく、メンバーのモ
チベーションが高いプロジェクトがあります。
先日、ある赤字プロジェクトの反省会に参加しました。
このプロジェクトは、まさしく「赤字だけれども雰囲気の明るいプロジェ
クト」でした。
このプロジェクトは元々タイトなスケジュールだった上に、いくつかのリ
スクが顕在化してしまいました。それでもメンバー達の休日出勤や徹夜作業
によって、何とか納期に間に合わせることができました。
普通ならモチベーションが下がりそうなものですが、メンバーに「やらさ
れ感」はなく、皆が活き活きとしながら作業を進めていました。
何故メンバーのモチベーションが下がらなかったのか。
この成功から学ぶべき点が多々あったのですが、この時の反省会では失敗
の原因分析に終始してしましました。
後で、反省会のありかた自体を反省した次第です。
●小さな成功体験を積ませる
近藤さんが、プロジェクトメンバーに日々成功体験をさせる方法として実
践され、セミナーの中で紹介されたのは、毎日のミーティングの中で問題解
決を行なう方法です。
日々のミーティングにおいては、誰もが知っているような形式的で当たり
前の報告はせず、現在どんな問題があるかをまず抽出し、その問題を衆知を
集めて解決するという手法です。
前回のメルマガの中で、私は『ソフト開発の現場で自主的で継続的な改善
活動を行なう組織文化を形成したい。例えば本田技研工業の「ワイガヤ」の
ようなものが、現場のあちらこちらで発生するような光景が理想である。』
と述べました。
[No.042]「ワイガヤ」とソフト開発
まさしく近藤さんのプロジェクトでは、私の理想が実現されていたのです。
近藤さんはセミナーの中で、以下のように述べられました。
・問題を発見できたこと自体が、とってもエライ。
・発見した問題は、自分が解決できなくてもよい。
・自分に解決できないことも他の人なら容易に解決できることもある。
・衆知を集めて問題解決することがチーム学習となる
このような活動を通じて小さな成功体験を積ませることで、メンバーのモ
チベーションが向上し、「自律的に学習するチームづくり」が促進されるの
です。
また、近藤さんは、以下のように言われました。
「人は失敗から学ぶことは困難です。成功体験をした上で、はじめて失敗
に向き合えるようになるのです。」
失敗から学ぶことは、本当に難しいことです。失敗から何かを学ぶために
は、まず成功体験が必要であるという近藤さんの教えを肝に銘じたいと思い
ました。
Recent Comments