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成果主義とソフトウエア開発

 先日、『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』(城繁幸 著)を読みました。

 富士通における成果主義賃金制度(目標管理制度)失敗の内幕を、元人事部の著者が赤裸々につづった本です。
 単に暴露本と捉え、敬遠する方もあるかもしれませんが、成果主義(目標管理制度)導入の失敗事例として学ぶべき点がたくさんあります。企業の人事担当者には必読の書と言えるでしょう。

 あくまで、この本を読んでの感想ですが、富士通の成果主義失敗の原因は、
  ・成果主義導入の本来の目的を見失ってしまったこと
  ・従来のライン組織と序列構造を温存したままで成果主義を導入したこと
ではないかと感じました。

内側から見た富士通「成果主義」の崩壊

 成果主義導入の本来の目的は、社員のモチベーションを上げることにあると思います。
 モチベーション理論の中に、ハーツバーグが提唱した「動機付け・衛生理論」があります。これは職務満足と職務不満足に関わる要因はそれぞれ別であるとする理論です。
 例えば、「承認される」、「達成する」ことにより人は自己の職務に満足感を感じます。しかし、それらがなくても不満足になることはありません。これらの要因を「動機付け要因」と呼ばれます。
 一方「給与」、「作業環境」を良くすることよって不満足は解消されますが、満足感を得ることはありません。これらの要因は「衛生要因」と呼ばれます。

 人事考課には育成的側面と賃金評価的な側面があります。
 この二つのどちらに重きを置くかは、各企業の人事方針ですが、個人的には育成的側面に重きを置いた方が良いと思います。
 成果主義を単なる賃金評価制度として設計してしまうと失敗を招くことになります。


 また、あくまで個人的な意見ですが、ソフトウエア開発の現場に、ライン組織を前提とした成果主義、特に目標管理制度を持ち込むのは、不都合をともなうと考えています。

 多くのソフトウエア開発は、プロジェクトチームで遂行されます。
 優秀な一匹狼が集まっても成果は発揮されません。プロジェクトを成功させるのは、優秀で自律した個々人のリーダーシップと、お互いに信頼しあって力を合わせるチーム力が必要不可欠です。

 このような中では、個人の貢献を事前の目標設定や数値化で評価することは困難です
 もし、ソフトウエア開発の現場に目標管理制度を導入するのであれば、従来とはまったく違った発想で設計する必要があると思います。

■Amazon.co.jpブックストアで、『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』対するレビューを読む


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