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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.032]SE本に惑わされるな!

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2004/01/12━
▼上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン バックナンバー
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●中期経営計画とローリング・プラン

 昨年より、情報サービス産業の業界団体が主催している経営企画担当者
懇談会に参加しています。
 この会合には約30社が参加しており、現在は各社の中期経営計画のフレ
ームワークや策定プロセスを発表し意見交換を行っています。

 興味深かったのは、参加企業のうち約3割が中期経営計画にローリング
・プランを採用していたことです。

 ローリング・プランというのは、例えば3年の中期経営計画を立てたと
して、1年目が過ぎた時点で経営環境の変化を考慮して、またそこから3年
間の中期経営計画を策定する方法です。
 つまり、毎年、中期経営計画を策定するわけです。

 これに対して、出席者の一人から「中期経営計画にローリング・プラン
を用いることは適切なのだろうか?」と言う問題提起がありました。

 「200X年の当社のあるべき姿」という様なオーソドックスな中期経営計
画を採用している企業にとって、経営計画は目標とそれを達成するための
方法をあらかじめ定め、それを着実に実行していくことです。
 達成すべき目標が毎年修正され、なおかつ目標年度が毎年移動するロー
リング・プランには少なからず違和感を覚えるようです。

 私は、この問題提起に対して、「ローリング・プランが中期経営計画の
あり方として不適切ということはないと思う」と意見を述べました。
 なぜなら計画には、大きく分けて二通りあると考えているからです。

 一つは原則として修正を前提としない「公式計画・統制型」で、もう一
つは修正を前提とした「仮説・検証型」です。

 「200X年の当社のあるべき姿」というタイプの中期経営計画は「公式計
画・統制型」であり、ローリング・プランの中期経営計画には「仮説・検
証型」の要素があると考えられます。

(あくまで個人的な意見ですが、経営環境の変化が激しい今日では、中期
経営計画はローリング・プランを採用した方が良いと考えています。)

 「公式計画・統制型」と「仮説・検証型」の違いについて、もう少し説
明します。

 例えば、情報処理技術者試験に合格するための学習計画は「公式計画・
統制型」と考えられます。
 飲み会に誘われたり、見る予定のないテレビ番組をついつい最後まで見
てしまったりで、計画をやたら修正してばかりだと目標に到達することは
困難となるでしょう。

 一方、リスクの高いプロジェクトや研究開発プロジェクトなどでは、
「仮説・検証型」が適切です。硬直的な「公式計画・統制型」では、現実
と計画の乖離が進み役に立たなくなるからです。
 「仮説・検証型」における計画は、あくまで仮の解決策に過ぎません。
実行してみてはじめてそれが正しいかどうか分かります。
 従って短期間で仮説と検証を反復し、仮の解決策である計画を修正して
いく必要があるのです。そこには完璧な計画などありえないという前提が
あります。


【参考までに】

 SEの皆さんには「公式計画・統制型」と「仮説・検証型」の違いは、
「ウォーターフォール型」と「イタラティブ型(反復型)」の違いと言っ
た方がイメージしやすいかもしれませんね。

●「自分戦略」に関する読者からのお悩み

 「自分戦略」に関する質問で、読者の方から時々頂くのは、「真の価値
観や強みが見つけられず、うまく戦略策定できないが、どうすればよいか
?」というものです。

 これらの質問をしてくる方々は、「自分戦略」を「公式計画・統制型」
のイメージで捉えているのではないかと思われます。

 おそらく「戦略」という言葉に、自分の置かれた環境の変化をしっかり
と分析し、その分析に基づいて自分の進むべき道を決定するというイメー
ジがあるのかもしれません。

 そこには正しく分析をすることによって正解(完璧な戦略)が生み出さ
れる。そしてその正解を実行することが「自分戦略」なのだという意識が
あるように感じます。

 従って、正解を生み出すためには、「真の価値観」や「強み」にも正解
を発見しなければならないという強迫観念があるのでしょう。

 はっきりと言いますが、少なくともSEの「自分戦略」に関しては、こ
の考えは間違っています。もし、「自分戦略」に上記のようなイメージを
持っているなら、それは改める必要があります。
 なぜなら、SEの「自分戦略」は「仮説・検証型」だからです。

 SEの「自分戦略」は、仮説(計画)と検証(実行)の繰り返しです。
 机上で演繹的・短期的に生み出すのではなく、日々の活動や発想の中か
ら帰納的・長期的に生み出し、フィードバックを受けることで「進化」さ
せるものなのです。

 「進化」ですから、時には偶然が大きく影響します。
 偶然は誰にも予想することはできません。自分の人生に思ってもみなか
った展開が訪れます。
 「自分戦略」に正解(完璧な戦略)は必要ないことを理解して下さい。

●SE本に惑わされるな

 昨年は、SEの今後のあり方を提言した書籍(いわゆるSE本)がたく
さん出版されました。
 私がこのメルマガを発行しはじめた頃は、そのような書籍はほとんどあ
りませんでしたから、世の中のSEの悩みの深さがわかります。

 すべてのSE本を読んだわけではありませんが、その中のいくつかの本
には少なからず違和感を感じました。

 書かれていることは間違っていないと思うのですが、外部環境分析を重
視した内容で、SEの「自分戦略」策定にとっては必ずしも有効でないと
感じたからです。

 SE本の多くは外部環境分析をした上で、SEに対して「何をなすべき
か・何になるべきか」の理想を説いています。この内容そのものは、素晴
らしい分析力と洞察力によるものであり、非常に参考になります。

 しかし個々のSEの「自分戦略」は、まずは「何をしたいか・何ができ
るか」でアプローチすべきです。理想論でアプローチすると道を誤ってし
まいます。

 「仮説・検証型」の戦略で重要視すべきは、これから世の中がどうなる
かという外部環境分析ではなく、自分の能力を見つめた内部環境分析です。

(外部環境分析が無用と言っているわけではありません。念のため。)

 外部環境分析を重視し、画一的な理想を押し付けるSE本に惑わされて
はなりません。
 SEの「自分戦略」は十人十色なのです。

 「自分戦略」に正解を求めたり、短期的に答えを出そうとしてはいけま
せん。
 SEの「自分戦略」は、日々の地道な活動の中から生み出され長期的に
「進化」していくということを忘れないで下さい。

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■「自分戦略」へのヒント

 ・自分の置かれた環境(外部環境)を分析するより、自分の持つ能力(
  内部環境)の分析とその能力開発を重視する。
 ・「何をなすべきか・何になるべきか」ではなく「何をしたいか・何が
  できるか」でアプローチする。
 ・机上で演繹的・短期的に生み出すのではなく、日々の活動や発想の中
  から帰納的・長期的に生み出す。(活動そのものが戦略である。)
 ・「自分戦略」は実行であり、フィードバックにより磨かれることを理
  解する。
 ・「自分戦略」は、偶然によって大きく「進化」することを理解する。
 ・「自分戦略」に正解(完璧な戦略)は必要ないことを理解する。
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▼閑話休題▼

 「あきらめの壁をぶち破った人々」の著者である中尾英司さんからメー
ルを頂きました。
 このメルマガの主旨に共感頂き、私のメルマガを中尾さんのサイトで掲
載し、私のサイトにリンクまで張って頂きました。
 本当にありがたいことです。

 中尾さんのサイトは、暖かい雰囲気で心が和みます。
 「大事なことは自然が教えてくれた」は、田舎育ちの私にとっては、子
供の頃を思い出して懐かしい気持ちになりました。

 ↓↓中尾さんのサイトは、こちらです。
 http://www.jiritusien.com/index.htm

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ご意見・ご感想・ご質問:mentorpin@mbk.nifty.com
購読登録・解除: http://homepage3.nifty.com/mentorpin/malmaga.htm
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