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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.029]サービスプロセスを磨く

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□■■  上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
■■□  [No.029]サービスプロセスを磨く
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/11/26━
▼上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン バックナンバー
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●X課長からのクレーム

 ある日、私がお客さんのX課長をブラっと訪問した際のエピソードです。

 X課長は、極めて重要性の高い情報システム開発プロジェクトのマネー
ジャで、私の勤務先はそのサブシステムの開発を請負っており、私は営業
窓口を担当していました。
 X課長は、ちょっと話したいことがあると、私を打ち合わせブースに連
れ出しました。

 話の内容は、そのサブシステム開発のリーダを務めていた当社のZ氏に
対するクレームでした。
 X課長の話では、Z氏は技術力は格段に優れており、それは高く評価し
ているが、報告や事前の相談がなくて困るとのことでした。
 進捗状態や発生している問題が正しく把握できない上に、独断専行で仕
事を進めることが多い。今までの実績から結果的には納期も守ってくれる
し品質面でも確かなものができると信じてはいるが、不安でしょうがない
とのことでした。

 ■X課長「SEには仕事ができるSEとそうでないSEがいるが、仕事
 ができるかどうかと信頼できるかどうかとは関係ない。Z氏は仕事がで
 きるSEかもしてないが、私にとっては信頼できないSEだ。」

 ■私「申し訳ありません。ご不満にまったく気がつかず、監督不行き届
 きでした。さっそくSEマネージャに報告して対応します。」

 ■X課長「仕事もできて信頼もできるSEが最高なことは言うまでもな
 い。その次に役に立つのは、仕事はできないが信頼できるSEだ。戦力
 として計算ができるのでリスクが少ない。」

 ■私「なるほど。そうすると、仕事もできないし信頼もできないSEが
 一番困りますね。」

 ■X課長「いや、そういうSEは、はなっから戦力として計算しないの
 で問題ない。もしプロジェクトに配属されても、他者の足を引っ張らな
 いようにマネジメントすれば良い。私にとって、一番扱いに困るのがZ
 氏のようなタイプなんだよ。技術力は確かに高いので、どうしてもお願
 いせざるを得ない仕事があるが、任せた方としては心配で夜も眠れない
 よ。」

 X課長のSE分類を図に示すと以下のようになります。

   【信頼できるSEと仕事ができるSEの分類】

           信頼できる
             ↑
             │      
         B   │  A   
             │      
             │      
  仕事が ←──────┼──────→仕事が
  できない       │       できる
             │      
         C   │  D   
             │      
             ↓
           信頼できない

 誰もが高く評価するのは、Aの領域にいるSEですね。これは、誰も文
句ないでしょう。
 X課長の場合、A領域の次に評価するのがB領域のSEでした。
 Z氏はD領域におり、X課長にとっては一番扱いに困るSEという評価
でした。

 皆さんにとって、このX課長のZ氏に対する評価は同意できるものでし
ょうか。それとも同意できないものでしょうか。

 確かにD領域のSEは困りものだが、B領域のSEよりはプロジェクト
に対する貢献は高いのではないかという意見もありそうです。


 では、もしこれがSEでなく外科医の話だったらどうでしょうか?

 私は、腕前が良くても信頼できない外科医に自分の命や家族の命を任せ
ることはできません。
 しかし、その病気がその外科医にしか治せないのなら、選択の余地はあ
りませんね。

 事の重大さがまったく違いますから比較することに無理があるかもしれ
ませんが、X課長はプロジェクトマネージャとして重責を担っていました。
X課長にとって、Z氏に仕事を任せるのは、腕前がよくても信頼できない
外科医に身内の命を任せるのと似たような心境だったのかもしれません。

●「信頼」の機能

 X課長のZ氏に対する評価に同意できるかできないかは別にして、「信
頼」は何か事をなそうとする時に極めて重要な要素です。

 仮に「信頼」がない世界があったとしたら誰も生きていくことができな
くなるでしょう。
 極論すれば、「信頼」がない社会では、道路を歩くことも理容店で髭を
剃ってもらうこともできません。弱肉強食のジャングルにさえ「信頼」は
存在しています。

 アリストテレスは、説得の種類を以下の3つに分類しました。

 ・「エトス(ethos)」による説得
 ・「パトス(pathos)」による説得
 ・「ロゴス(logos)」による説得

 「エトス」は、話し手と聞き手の間にある「信頼」です。
 「パトス」は、聞き手の「感情」です。
 「ロゴス」は、話し手の「論理」です。

 相手を説得するのは、この三要素のすべてが重要です。
 しかし、順番は「エトス」→「パトス」→「ロゴス」でないと、相手を
効果的かつ効率的に説得できないとされています。

 この順番は、何事においても非常に重要です。
 特に、「感情」や「論理」の前に、まず「信頼」があること、肝に銘ず
る必要があります。

 「信頼」がないところで何かを推進するのは、多大な時間とコストを費
やします。
 「信頼」がない状態で仕事するのは、あたかも荒野の悪路を走行してい
るようです。
 一方、「信頼」がある状態で仕事するのは、フリーウエイを疾走するか
のようです。

●「信頼」とサービスプロセス

 では「信頼」はどのように形成されるのか、これはSEの自分戦略にお
いても非常に重要なテーマであると考えています。

 「信頼」については、今後もさまざま視点から考えてみたいと思います
が、今回はサービスプロセスの点から考えて見ましょう。

 Z氏がX課長の信頼を得られなかったのは、最終的な結果(アウトプッ
ト)ではなく、その結果を生み出すまでのサービスプロセスにありそうで
す。
 先ほどの図の軸を変更すると以下のようになります。

      【信頼できるSEと仕事ができるSEの分類】

         サービスプロセスが優れている
               ↑
               │      
           B   │  A   
               │      
               │      
  結果を出す ←──────┼──────→結果を出す
  能力が低い        │       能力が高い
               │      
           C   │  D   
               │      
               ↓
         サービスプロセスに不安がある

 あくまで一般的な話ですが、サービス業にとってプロセスというのは商
品そのものであり技術そのものです。
 SEの仕事の分野には、製造業的な内容とサービス業的な内容があるの
で、一くくりにはできませんが、サービス業的な分野のSEであれば自分
自身のプロセスを検証することは重要な技術戦略となります。

 皆さんはご自身が顧客に提供しているサービスプロセスを検証してみた
ことがあるでしょうか。

 なければ一度是非やってみて下さい。いろいろな気づきがあるかもしれ
ません。

 サービスプロセスを検証するには、例えば以下のような方法があります。

(1)顧客との接触機会を洗い出す

 この1週間から2週間の間で、顧客と接触した機会を洗い出して下さい。
 接触は、面談だけでなく、電話、電子メールでの連絡等も含みます。

(2)接触したシーンを思い出す

 接触時の会話をできるだけ詳細に思い出して下さい。また自分が送った
メールの文面や顧客からのメールの文面を読み直して下さい。

 その接触を通じて、顧客の自分に対する「信頼」はプラスされたでしょ
うか、それともマイナスされたでしょうか。
 できる限り顧客の立場に立って想像してみて下さい。
 そして、まったくの主観で構わないので数値化して下さい。

(3)評価を分析する

 皆さんの「信頼」の収支決算はプラスでしょうか。
 もしマイナスになったのなら、それはどんな原因でしょうか。
 また、それを改善するのは何をすればよいでしょうか。

 優れたサービスプロセスの提供は、一朝一夕でできるものではありませ
ん。日々の振り返りと改善による地道な活動の成果です。

 優れたサービスを提供できるSEは、顧客にとっては「オンリーワン」
の存在となりえます。
 優れたサービスプロセスの提供は、SEにとっての「コア・コンピタン
ス(中核的能力)」となるのです。

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▼閑話休題▼

 ここのところ少々オーバーワーク気味です。
 ちょっと休息が必要かなぁと思っています。
 私の場合、ビジネスとはまったく関係のない小説を読むことが何よりも
休息になります。(読みたい本が溜まっています。)

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