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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.021]楽しいソフトウエアエンジニアリング

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■■□  [No.021]楽しいソフトウエアエンジニアリング
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/07/18━
▼上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン バックナンバー
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●ソフトウエアエンジニアリング導入の動き

 最近、ソフト開発にエンジニアリングを導入しようとする動きが盛んに
なっています。
 つい先日はJISA(情報サービス産業協会)が主催する「ソフトウエ
アプロセスエンジニアリングシンポジウム」が開催されました。

 また、2003/07/08の日本経済新聞には以下のような記事が一面に掲載さ
れました。

  ■経済産業省は企業や官庁で続発するシステムトラブルを防止するた
  め、システムを動かすソフトウエアの開発工程の標準化に乗り出す。

  ■2004年度に産業界と共同で専門研究機関を新設、ミスが起こりにく
  く効率の良い開発工程を確立し、標準モデルとする。

  ■モデルができれば、システム統合も容易になる。ソフトの信頼性向
  上で、国全体の産業競争力を高めるのが狙いだ。

  ■開発工程の標準モデルには、どのタイミングでバグを発見するテス
  トを何回実施するかといった決まりを盛り込む。設計図の書き方や用
  語の意味も統一する。

  ■ソフト開発会社の多くは技術者の経験に頼ってソフトを作っており、
  欧米に比べ工程の標準化で後れを取っている。

  ■経産省は完成したモデルを一般公開し、普及を促すため官公庁がシ
  ステムを購入する際の条件にすることを検討している。

  ■経産省がソフトウエア開発工程の標準化に乗り出すのは、相次ぐシ
  ステムトラブルに強い危機感を持っているためだ。

  ■トラブルによる被害は、銀行業務の停止から株式市場の混乱、航空
  機の発着不能、厚生年金の過支払いまで多岐にわたり、経済や社会生
  活を揺さぶっている。

  ■ソフトウエアの需要が増えるにつれて経験の浅い技術者の出番が増
  えているが、標準的な開発工程が未確立なため、ミスが多発している。

  ■「職人芸に頼る前近代的な製作方法から、欧米のように標準化され
  た開発工程による大量生産に脱皮すべきだ」(経産省)

  ■経産省が設置する新機関の仮称はソフトウエア・エンジニアリング
  センターで、同省の既存の外郭団体を衣替えするか、非営利組織とし
  て新規に立ち上げる。

 この記事の内容や表現には一部、違和感を覚えるところがあるのですが、
個人的な意見としては、ソフト開発にエンジニアリングを導入することは
非常に重要なことだと考えています。

●ソフトウエアエンジニアリングに対する現場SEの反応

 しかし、私の身近にいるSEには、このような動きは必ずしも評判がよ
くありません。

 CMMレベル3を取得し「プロセス改善」や「ソフトウエアエンジニア
リング導入」を推進している大手SI企業で働いている知り合いのSEは
以前に比べて仕事が面白くなくなってきたと言っています。

 またJISAのソフトウエアプロセスエンジニアリングシンポジウムに
参加したSEは、「自分にはまったく興味の持てない話ばかりだった。こ
のシンポジウムは自分のような現場のSEが参加しても無意味で、経営者
や管理職が参加すべきだったと思う。」と言っています。

 この二人のSEは、けして斜めに構えている人間ではありません。技術
力が高く、お客さんの評価が非常に高い人達です。

 頭の良い彼等は、エンジニアリング導入の必要性について、頭ではちゃ
んと理解しています。
 しかし、身体が拒否反応を起こしているのです。

 彼等は、ソフトウエアエンジニアリングは技術者の仕事ではなく管理者
の仕事と考えているようです。
 またソフト開発にエンジニアリングが導入されると型にはまった仕事ば
かりになってしまう上に、管理強化されてしまうという印象を抱いている
ようです。

 おそらく、トップマネジメントや企業内でエンジニアリングの導入担当
になっている人が、彼等の話を聞くと、「まだまだ現場のSEは意識が低
くて困るなぁ」ということになるのでしょうね。

 確かにそういった側面はあると思うのですが、ここにはそれだけで簡単
に片付けてしまってはいけない根の深い問題があると思います。

 エンジニアリング導入を単に組織の仕組み作りの面だけで捉えてしまっ
ては、ISO9001に基づいた品質マネジメントシステムやPMBOK
を取り入れたプロジェクトマネジメントの仕組みがうまく機能していない
のと同じような結果に終わってしま可能性があります。

 特にトップマネジメントは、このような現場のSEの感覚をよく理解す
ることが大切です。
 エンジニアリングを導入するのであれば、組織レベルで止まるのではな
く個人のレベルまで掘り下げて推進する必要があると思います。

●ソフトウエアエンジニアリングに対する私の意見

 さて、私がソフトウエアエンジニアリングを現時点でどう捉えているか
という話をします。(あくまで現時点でという前提です。)

 私のメンター(指導者)の一人に、製造業の現場からソフト業界に入ら
れたAさんがいます。

 Aさんは大手精密機器メーカに勤務していた経歴をお持ちで、Aさんが
勤務されていた時に、このメーカは品質管理の賞であるデミング賞を受賞
しています。
 Aさんは、この時に中心的な役割を担われています。

デミング賞

 Aさんは、「エンジニアリング」や「プロセス改善」という言葉こそ使
いませんでしたが、十数年前からソフト開発のあり方を改革する必要性を
述べられていました。

 Aさん曰く

   製造業の生産現場からこの業界に移って、まず驚いたのが「ソフト
  にはバグがあって当たり前」という感覚ですね。今では事情がわかる
  ようになったけれど、最初はなかなか理解できませんでした。
   でも、いつまでもそれを当たり前にしていてはよくないと思います。
  いつの日にか「バグ・ゼロ」を実現する志を持つこと、そしてそのた
  めの行動を日々起こすことが大切だと思います。

            * * * * * *

   「バグ・ゼロ」を実現するにはどうすればよいと思いますか?
   仮に、バグの多いプログラマーがいたとして、彼の作るプログラム
  の品質を上げるためには、どうすればよいでしょう?上司が彼を呼び
  つけて懇々と説教すれば、心構えが変わって品質が向上するのでしょ
  うか?
   少なくとも製造業の現場ではそんなことはしません。製造工程だけ
  でなく設計工程まで遡って改善策を考えます。

            * * * * * *

   以前に勤務していた会社と競争相手の会社では、製品の精度を出す
  能力に格段の差がありました。こちらが経験10年以上のベテランをも
  ってして出せる精度を、先方は新入社員が簡単に出していました。
   この差はいったい何なんだろうと調べてみると、原因は生産技術の
  違いにあることがわかりました。

   こちらの工場では皆が一生懸命にモノづくりに専念していました。
  それに対して競争相手の工場には、工程の最適化や新しい生産手法や
  治具の開発などに積極的に取り組んでいる技術者が何人もいました。
   つまり、それらの技術者は、モノではなく「工場」を開発していた
  んですね。
   これから先、ソフト開発にも、そういう技術を導入することが重要
  になると思います。

 さて、私には、この「工場を開発する」という仕事は、とても楽しそう
でやりがいのある仕事のように感じられます。
 必ずしも創造性を奪われ誰かコントロールされてしまうことではないよ
うに思います。

 取り組み方によっては、現場のSEにとっても楽しいソフトウエアエン
ジアリングがあるような気がします。
 これは、しょせんSEではない私だからそう思うのでしょうか。

 皆さんはどう思われますか?

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■閑話休題

 来週から夏休みをとって家族で帰省します。

 私の田舎は瀬戸内海に面した山口県の小さな市で、実家から歩いて3分
のところに海水浴場があります。
 子供の頃は、ジュークボックスから流れるヒット曲や人々の歓声が聞こ
えてきたものですが、今は訪れる人も少なくなって寂しくなりました。
 たくさんあった海の家も今では二軒くらいしかありません。

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