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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.019]ソフトウェア特許は天使か悪魔か?

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/06/20━
▼上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン バックナンバー
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●OBCのソフトウェア特許に関する記事

 2003年6月16日の日本経済新聞にオービックビジネスコンサルタントの
特許取得に関する記事が出ていました。以下はその記事の抜粋です。

 ■業務用ソフト大手のオービックビジネスコンサルタント(OBC)は
 特許庁から、パソコンのファンクションキーに機能を割り当て操作性を
 向上する仕組みについて1999年末にさかのぼって基本特許が認められた。
 
 ■同じ仕組みは競合する業務用ソフトの大半で使われており、市場シェ
 アが塗り替えられる可能性がある。

 ■OBCはピー・シー・エーや応研など競合7~8社と特許使用に関しロ
 イヤルティー契約交渉を進める。

 ■OBCは個別開発でファンクションキー機能を使う場合も特許に抵触
 しないか検討するという。

 OBCが提供しているこのファンクションキーの仕組みの詳細は知りま
せんが、新聞記事を読む限りでは、正直なところ「えっ、これが特許にな
るの?」と思いました。

 今回の特許内容を十分に理解している訳ではないので間違っているかも
しれませんが、このような特許は本当に特許の目的に沿っているのだろう
かという疑問がわきます。

 特許の目的とは、言うまでもなく「先行開発者の開発費を回収し、同時
に技術を公開することで技術の進歩に寄与すること」です。

●ソフトウェア特許の歴史

 ソフトウェア特許には、成立までの長い歴史があります。

 ソフトウェアの知的財産権については、1985年の著作権の改正により著
作物として保護されるようになりました。
 しかし、著作権は著作物の表現部分を保護するだけで、全体構成やアル
ゴリズムなどの上流工程部分を保護しないため、著作権による保護には限
界がありました。
 そのためソフトウェアを保護するためには、特許法による保護が必要だ
という意見が強くなってきました。

 特許法による発明の定義は以下の通りです。
  ・自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの
  ・発明のカテゴリーを「物」と「方法」に分類

 上記の定義に沿うと、数学的ロジックに基づいて作成されているソフト
ウェアは「発明」に該当しないし、そもそも情報の提示であるソフトウェ
アを発明としては取り扱えないということになります。

 そのため、ソフトウェアを特許法で扱うことに関しては、長い間議論が
重ねられました。
 そして数々の議論を経た後、特許庁は以下の場合にはソフトウェア技術
を特許法上の「発明」として扱うことにしました。
  ・ハードとソフトの組み合わせの場合(物)
  ・ソフトがハードに働きかける過程(方法)

 つまり、ハードと一体であればソフトウェアにも特許が認められるよう
になったのです。

 その後、1997年4月1日に審査基準が改訂され、「物」の定義がαとβに
分かれることになりました。
 αは従来の「物」の定義、βは「媒体クレーム」(ソフトウェアを記録
した記録媒体またはデータを記録した記録媒体)です。
 これにより、いわゆる「媒体特許」が認められるようになりました。

 しかし、これでは媒体を介さないソフトウェアの取り引き(ネットワー
ク上)に対しては特許権行使ができません。

 そして遂に、2002年の特許法改正で、ソフトウェアそのものを「物」と
して取り扱うことにより、ソフトウェア自体を特許対象とすることが可能
になったのです。

 昨年度からソフトウェア特許の出願件数は増大しています。
 今回のOBCの特許の件も、この流れの中にあります。

●ソフト会社の特許戦略

 企業や経営の立場からすると、ソフトウェア特許は真剣に考えなればな
らない問題です。
 今回のOBCの一件のように、ソフト会社(ソフトウェアベンダーやシ
ステムインテグレータ)にとって特許戦略の重要性が増しています。

 [特許戦略の重要性]
  ・特許を自社製品や技術力の差別化に利用できるようになる。
  ・ロイヤリティー収入を確保でき、損害賠償請求も行使できる。
  ・逆に他社からの特許権行使を受ける可能性もある。

 OBCの特許戦略は、ソフトウェア技術の発展という視点では様々な物
議を起こしそうですが、経営側の視点では極めて有効な戦略であると言え
ます。

 日本の特許は先願主義なので、例え自分の頭から生み出したアイディア
であっても、他者が取得している特許に抵触していると判断されれば、お
金を払わなければならないのです。

 私は、プライベートな活動で中小企業の経営者と接する機会があります
が、製造業であれば特許の一つや二つは持っています。
 ソフト会社も特許取得が当然になる時代が来つつあるのかもしれません。

 また、特許の権利は、基本的にそれを考案した個人に属します。従って、
今後は特許を持っているSEが増える可能性があります。
 個々のSEにとっても特許は、武器になっていくのかもしれません。

【参考までに】
 JISA(情報サービス産業協会)では「SEのための特許入門」を発
行してソフトウェア特許取得の啓蒙活動に努めています。
 http://www.jisa.or.jp/activity/report/booklets5.html

●ソフトウェア特許はソフトウェア技術の進歩を阻む悪

 ソフトウェア特許については推進派がいる一方で反対派が存在します。

 例えば、GNUプロジェクトで著名なストールマン氏は、ソフトウェア
特許はソフトウェア技術の進歩を阻む悪以外の何者でもないと主張してい
ます。

 「どんな優秀な技術者も無から有を生み出すことはできない。既存のア
イディアに新しいアイディアを『フリー(自由)』に追加し配布すること
でソフトウェア技術は進歩する。」と言うのがストルーマン氏の考えです。

 私は、ストルーマン氏の理念や思想を十分に理解している訳ではありま
せんが、氏の主張には共感できるところが随分あります。
(オープンソース陣営との意見の食い違いやLinuxに対する批判など、妥
協を許さない頑ななストルーマン氏を変人扱いする人も少なくないようで
すが。)

 あくまで個人的かつ新聞記事から受ける印象でしかありませんが、今回
のOBCの一件などは、企業戦略としては有効であっても、技術進歩を妨
げる要因になるのではないかという気がします。

 この点、企業経営を職務としている私の立場は微妙です。

 エンジニアである皆さんは、この件をどのように捉えるのでしょうか?

 私は、きっと職務上の立場やエンジニアとしての理念の違いによって、
人それぞれでスタンスが異なるのだろうなぁと思っています。

 何れにせよソフトウェア特許は、個々のSEにも無関係な話ではありま
せん。
 ソフトウェア特許に対して否定的な立場を取るにしろ、自分戦略の中に
積極的に取り入れるせよ、一度じっくり考えてみて下さい。

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■閑話休題

 先日、日経ITプロフェッショナルが実施しているITSS準拠スキル
調査に参加しました。

 「マーケティングマネジメント」で診断を受けたところレベル4という
結果でした。まだまだ修行が足りません。(ちなみに私の回答の信頼度は
91%でした。)
 強みは『ロジカルアプローチ』『イノベイティブ・アクション』『リス
クマネジメント』で、弱みは『チームデベロップメント』だそうです。

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