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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.018]「ニワトリ会議」を撲滅しよう!

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/06/06━
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●失敗やトラブルは正しく扱われているか

 こんなことを言っては叱られるかもしれませんが、仕事に失敗やトラブ
ルはつきものです。鉄壁の守備を誇る野球選手がなんでもない凡フライを
落としたり真正面のゴロをトンネルするように、どんなに優秀な人でも、
失敗したりトラブルを起こした経験のない人はいないでしょう。

 このメルマガの読者の皆さんには言うまでもないことですが、システム
開発プロジェクトは失敗とトラブルの宝庫みたいなものですね。何の失敗
やトラブルもなく無事に完了するプロジェクトは、よほどの幸運に恵まれ
ないかぎりないと思います。

 皆さんが所属されている組織やプロジェクトチームでは、失敗やトラブ
ルはどのように扱われているでしょうか?
 そもそも失敗やトラブルの情報は素早く正しく報告され関係者に共有さ
れるようになっているでしょうか?

 失敗やトラブルの情報が素早く正しく共有されない組織やプロジェクト
チームは、計器や管制塔とのコミュニケーションがないままに飛んでいる
旅客機みたいなものですね。


 多くの組織やプロジェクトチームでは、これらの情報が現場から適切に
上がってくるように様々な仕組みを構築しています。
 例えばISO9001を導入した品質マネジメントシステムやPMBO
Kに準拠したプロジェクトマネジメント・ガイドまたはPMO(プロジェ
クトマネジメント・オフィス)の設置等です。

 しかし、これらの仕組みを導入したからといって失敗やトラブルの情報
が適切に共有されるようになるとは限りません。
 何故なら、結局のところこれらの仕組みはハードウエアに過ぎないから
です。(これらの仕組みを導入することはとても素晴らしいことで、それ
を否定している訳ではありません。念のため。)

 ではこの場合のハードウエアに対するソフトウエアは何かというと、失
敗やトラブルを正しく回避または解決し成功しようとする行動様式や思考
様式、そしてスキル等です。

 そして、このソフトウエアの稼動に大きな影響を与えるのが企業文化や
企業風土です。

 いくら立派な仕組みを持っていても、失敗やトラブルを隠す企業文化や
企業風土がある以上は、それらの仕組みは有効に機能しません。適切な行
動様式やスキルも発揮される機会もありません。

 ここ数年、いくつかの大手企業や有名企業で経営の企業存亡の危機に発
展する不祥事が発生しました。これらの企業では失敗やトラブルが経営ト
ップに正しく伝わっていませんでした。
 これらの企業では、ISO9001やHACCPなどの立派な仕組みは
構築されていましたが、それを適切に使う企業文化や企業風土が醸成され
ていなかったのだと思います。

●ニワトリを殺すな

 では何故、失敗やトラブルを正しく扱えない企業文化や企業風土が生ま
れてしまうのでしょうか?

 原因はいろいろと考えられますが、その一つには、問題解決時に失敗や
トラブルの犯人探しをしてしまうことがあると思います。

 皆さんにも経験があると思いますが、システム開発プロジェクトの進捗
会議や上長に対するプロジェクト状況の報告会などで失敗やトラブルの報
告をすると、議論が問題の解決ではなく個人の責任追及に向かってしまう
ことがあります。

 まず、最初は「プロジェクトリーダーは誰だ?」「誰が作成したプログ
ラムだ?」等の「誰だ」攻撃からはじまります。
 そして次には、「どうして確認しなかったんだ?」「どうして文書で残
っていないんだ?」等の「どうして」攻撃が続きます。「どうして~」と
いうのは、一見問題分析の質問のようですが、会話の文脈を注意深くみる
と個人の責任を追及しているに過ぎないことに気が付きます。

 なぜ、このように直ぐ犯人探しをしてしまうのでしょうか?

 これは私の推測ですが、誰のせいなのかを明確にした方が、話が分りや
すいし手っ取りばやいからではないかと思います。
 しかし、これはただ単に分かりやすいというだけであって、真の原因を
つかまえることや適切な対策を打つことにつながりません。


 今年の3月に発行されて売行きが好調な本に「ニワトリを殺すな」があ
ります。企業内研修のテキストとしてかなり使用されているようです。

「ニワトリを殺すな」
ニワトリを殺すな

 この本は、本田技研工業の本田宗一郎氏をモデルにして書かれた寓話で
す。
 内容を簡単に説明すると、町工場のようなベンチャー企業に銀行から出
向してきた主人公が、失敗を奨励しそれによって創造性を発揮しようとす
る企業文化にカルチャーショックと感銘を受けるという物語です。

 このベンチャー企業の会議室には「ニワトリを殺すな」という張り紙が
貼ってあります。
 ニワトリというのは残酷な生き物で傷ついた仲間がいるとよってたかっ
たその仲間を突いて殺してしまいます。それと同じように失敗した人を責
め立てるような「ニワトリ会議」を開いてはいけないという戒めなのです。

 この寓話に登場するベンチャー企業で開催されている会議の特徴は、以
下の通りです。

 ・人を責めるのではなく、問題の解決に集中して議論する。
 ・二度と同じ原因で失敗しないように、失敗の原因を徹底的に追究する。
 ・ただし、ただ謝罪するだけで問題分析が不十分な場合は叱責を受ける。

●ニワトリ会議のデメリット

 このような「ニワトリ会議」を行なっていると失敗やトラブルが海中深
く潜ってしまい、顕在化しないというデメリットの他に大きな問題があり
ます。

 それは問題分析能力や問題解決能力が育成されないということです。

 SEにとって「ソリューション」は大きな使命です。
 顧客にソリューションを提供する際に、問題発見能力・問題分析能力・
問題解決能力は必要不可欠な能力です。

 これらの能力はセミナーや書籍で学ぶだけでは習得することはなかなか
困難です。
 やはり日々の仕事の中で訓練され身に付くものなのですが、会議の場と
いうのは、そのような能力を習得する良い場になると考えています。
 しかし、その訓練の場でこのような「ニワトリ会議」を開催するのは、
せっかくの学習の機会を捨ててしまっているようなものです。

 「ニワトリ会議」のアウトプットは、誰が悪いのかが明確になることと、
失敗やトラブルに対する対処方法が決まることです。
 しかし、問題の構造が明確になっていないため、真の原因を除去するよ
うな対策は取られません。
 かくして同じような失敗やトラブルが繰り返されることになり、「同じ
ことを何回やれば気がすむんだ!」とまた「ニワトリ会議」が繰り返され
る結果になるのです。

 私の周りにも、まだまだ「ニワトリ会議」があります。
 偉そうに言っている私がその「ニワトリ会議」を開いていたこともあり
ます。
 自分自身の反省もあって、何としても「ニワトリ会議」を撲滅しなけれ
ばならないと思っています。

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■閑話休題

 前にも書きましたが、私は「週末主夫業」をしています。
 料理のレパートリは、焼きソバ、炒飯、カレーライス等の手抜き料理ば
かりです。(子供には評判がいいですが。)
 最近、「ハワイアン・ソルトとベーコンのパスタ」という超手抜き料理
をあみ出してしまいました。これが、けっこう美味いんです。

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