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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.017]中国シフトに対するSEの競争戦略

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■■□  [No.017]中国シフトに対するSEの競争戦略
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/05/23━
▼上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン バックナンバー
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●情報サービス産業の業況悪化

 2003年5月21日の日本経済新聞朝刊に、調査会社IDCジャパンの発表
が掲載されていました。
 IDCによると2003年のIT投資は前年比1.2%減の11兆9,700億円で、
3年連続の減少になるようです。昨年度まで伸び続けていたITサービス
も横ばいにとどまるとのことです。

 確かに情報サービス産業の業況は悪化しています。
 ここ最近、私のところには中小ソフト会社の営業担当者から頻繁に連絡
が入るようになりました。不況の影響で各社とも正社員エンジニアに空き
が発生しているようです。
 特にオープン系やWeb系エンジニアの仕事がないようで、引合いがあれ
ば直ぐにでも要員を揃えられると言っています。

 私の勤務先でも、昨年まで旺盛だったオープン系やWeb系の引合いの数
が減少傾向にあります。操業度が大きくダウンするような状況にはありま
せんが、価格は急激に下落しています。
 ここ数年、我々の業界はWeb系の技術者を増やすことに注力していまし
たので、供給過多になっているものと思われます。
 高い技術力を持つエンジニアに対する需要は相変わらず旺盛で供給力不
足なのですが、エントリーレベルのエンジニアが担当できる仕事の量が少
なくなっています。

●中国オフショア開発の本格化

 そして、もう一つ見逃せないのは、ソフトウエア開発工程の中国シフト
が本格的になってきていることです。特にオープン系やWeb系の開発作業
で中国エンジニアの利用が進んでいます。

 私の身の回りでも、この動きは顕著になってきました。
 顧客からはソフトウエア開発フェーズをオフショア(日本国内ではなく
中国本土での開発)で行なうことを前提とした料金提示を求められるよう
になっています。
 競合他社も中国のオフショア開発を前提とした価格を提示してくるケー
スが増えてきました。
(この動きに対してSARSの発生はブレーキになる思いますが、大きな
視点では、中国シフトの流れは変わらないように思います。)

 中国のソフト会社にオフショアで開発を委託した場合、料金は1人月あ
たり35万円程度になります。世界一高い日本の人件費をもってしては、い
かに生産性を上げても太刀打ちできません。
 そして、彼等は技術面でも極めて優秀です。

 「情報サービス産業白書2003」でも、このことに言及しており、以下の
ような問題提起をしています。

   また,海外へ外注される開発委託も年々増加する傾向にある。JI
  SAとJPSAの調査からは,シンガポールや中国からのカスタムソ
  フトの輸入(外注)が大きいことがわかる。当初はコスト面を重視し
  た海外発注であったが,現在では技術レベルや必要とされるITエン
  ジニアの確保を目的としたものに変わり,今後ますます拡大すること
  が予測される。
   このようにITエンジニアの労働市場が国際化していくなかで,日
  本のITエンジニアは生き残っていけるのであろうか。

「情報サービス産業白書2003-選択と集中の時代における情報サービスの役割-」より抜粋
情報サービス産業白書2003-選択と集中の時代における情報サービスの役割-

●流れに翻弄されないための自分戦略策定

 この大きな流れの中で、プロのSEとしてより良い人生を送るためには、
しっかりとした人生観やキャリアビジョンを持つ必要があります。
 このメルマガを通じて繰り返し主張していることですが、そのためには
自分戦略を策定することが必要です。
 自分戦略がないままに、最新ITやコミュニケーションスキル等を修得
したり資格を取得しても、結局のところ世の中の流れに翻弄されることに
なります。

 最近、SEの今後の在り方に対して様々な提言をしている書籍がいくつ
か発行されています。
 私も、そのうちの何冊かを読みました。これらの本に書かれていること
は、それぞれに含蓄があり、SEが今後のキャリアビジョンを考える上で
非常に参考になることが多いと思います。
 このメルマガの読者の方や身近なSE達に読むことを薦めたいと思って
いる本もあります。

 しかし、これらの書籍に書かれている内容をただ単に鵜呑みにするのは
良くありません。やはり内容について自分なりに噛み砕いて消化し、自分
自身の経験や信念と連結させる必要があります。

 一人の人間に与えられた資源(お金と時間)には限りがあります。
 すべてのスキルを満たすようなスーパーマンにはなることはできません
し、人には得手不得手があります。そして外部環境も人それぞれに異なっ
ています。

 結局、自分がどういう方向性に進むかは自分自身で考え自分自身で決め
るしかありません。
 また、自分の頭で考えたことでなければ、結局のところ行動に結びつか
ないと思います。
(ただし、独りで悩むのではなく誰かの手助けを得ることは必要です。)

●中国シフトに対抗するための競争戦略

 さて、自分の方向性は自分自身で考えなければならないということを前
提にして、中国シフトの流れに対抗するためのSEの競争戦略について私
なりに考察してみたいと思います。

 ※新しくこのメルマガの読者になって頂いた方は、過去の自分戦略策定
 プロセスを一通り目を通してから以下の記事をお読み頂くことをお勧め
 します。

 【自分戦略策定プロセス】

  ○Step1.自分の中心にある「真の価値観」を発見する

  ○Step2.自分の強みと弱みを明確にする

  ○Step3.自分を取り巻く時流を把握する

  ○Step4.目指すべき方向性を定める

  ○Step5.目標と行動計画(仮説)を策定し実行(検証)する

  ○Step6.仮説と検証の繰り返しを通じスキル等の資源を蓄積する
 
 どのような競争戦略を取れば良いかについて、二つのポジショニングマ
ップを使って考えてみることにします。


●ポジショニングマップによるSEの競争戦略(その1)

 まず、最初のポジショニングマップです。縦軸に賃金、横軸にSLCP
(ソフトウエアのライフサイクルプロセス)を取ります。

     【図1.SLCPと賃金によるポジショニング】
  賃金
  高|                         
   |←A→                      
   |   ←──────────B────────→ 
   |   ←───C───→             
   |←─D─→        ←─E─→ ←─F─→ 
   |                         
   |                         
   |             ←───X───→   
  低|                         
   └────────────────────────→
    経営戦 情報化 要求分析 詳細設計  運用保守
    略策定 企画  方式設計 ソフト開発

  ※賃金は、あくまでイメージです。必ずしも実態を表していません。

 現在の多くのSEは、Eの位置にポジショニングされると思います。
 ここに中国でのオフショア開発という競争相手が出現した訳です。オフ
ショア開発の対象になるのは、詳細設計およびソフト開発、そして一部の
保守作業です。図1.のXが、これにあたります。

 この図で分かるように、従来Eの部分で行なわれていた多くの仕事がX
に流れる可能性があります。従って、ここの工程は、国内では供給過多と
なり価格の大幅な低下が予想されます。

 これに対応するためには、競争戦略の発想が必要です。

 競争戦略の生みの親であるマイケル・ポーターによると、「最も優れた
競争戦略は競争しないこと」です。
 この理屈によると、まず考えるべき戦略は、自分自身のポジションをX
と競合しない領域に取ることになります。(ここでは、国内での競争は考
えないものとします。)
 具体的には、図1.のA(ビジネスコンサルタント)やB(プロジェクト
マネージャ)やC(ITコンサルタントまたはITアーキテクト)やD(
セールス)といった位置に自分をシフトすることです。

 また、図1.の外にある領域へのシフトも方向性としては考えられます。
 具体的には、ライン管理職、マーケティング担当者、教育担当者等が該
当します。

 ただし、この戦略を取る場合は今までとは違ったスキルやコンピテンシ
ーが要求されることになります。自分自身の価値観や保有する強みを活か
しながら、この位置で必要な資源(スキルや他者とのリレーション)が蓄
積できるならば、この方向性に向かうことは正しい戦略と言えます。

 奇手ですが、いっそのことXの領域に行くという手も考えられます。
 つまり生活基盤を中国に移し、日本市場を相手にして仕事をするという
ことです。これなら給料が半額になっても日本にいるより高級な生活がで
きるかもしれません。
(ただし、この戦略を実行に移すのはSARSが落ち着いてからにした方
が良いですね。)

●ポジショニングマップによるSEの競争戦略(その2)

 では図1.のEにいるSEが、そのままの位置で活躍する方法はないので
しょうか。
 ここでは、別のポジショニングマップを使って考えてみます。
 縦軸に顧客との密着度、横軸に主流のITか非主流のITかを取ります。

   【図2.顧客密着度とITのタイプによるポジショニング】

        顧客との密着度が高い       
             ↑           
             │           
          B  │  A        
             │           
  非主流IT←─────┼─────→主流IT 
             │           
          C  │  X        
             │           
             ↓           
        顧客との密着度が低い

 言うまでもなく、中国でのオフショア開発はXにポジショニングされま
す。Xと競合しないためには、以下の二つの仮説が考えられます。

 一つ目の仮説は、顧客との高い密着性が必要な仕事は中国シフトに馴染
まないと言うことです。図2.のAとBがこれに該当します。
 例えば、アプリケーションエンジニアが担当する仕事の多くが、この領
域に該当します。ITだけではなく何らかの業務に強くなると言うことは、
エンジニアにとって大きな強みになります。
 また、技術系エンジニアであってもオンサイトでしか対応できないよう
な仕事もこの領域に該当します。顧客と接することを敬遠するSEは多い
ですが、顧客密着型のサービスに自分の方向性を見出すことは正しい戦略
です。

 二つ目の仮説は、主流でないITに関わる仕事は、中国でのオフショア
開発のターゲットにはならないということです。図2.のBとCがこれに該
当します。
 中国に限らず、市場規模が小さいまたは縮小傾向にある市場に参入して
くる企業やエンジニアは稀です。粘り強くその中で競争力を維持していけ
ば、その中での勝ち組になることができます。
 主流のITに接することができずに業界の流れから取り残されたような
気がして焦っているSEの方は、是非そのような観点で自分自身の方向性
や競争戦略を考えてみて下さい。

 以上、私の独断と思いつきでSEの競争戦略を考察してみました。
 実は、このような考察は、複数人で集まってワイワイガヤガヤとやる方
がブレークスルーします。もし、もっと他の競争戦略が思い浮かんだ方や
質問のある方はメールを下さい。
 是非、いっしょに考えてみたいと思っています。

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■閑話休題

 小学校一年生の息子をビーバースカウト(ボーイスカウトの最年少クラ
ス)に入団させました。来月から私もいっしょにビーバースカウトの活動
に参加します。

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ご意見・ご感想・ご質問:mentorpin@mbk.nifty.com
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発行元:メンターピン・コンサルティング
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ただし、内容を一切改変せず全文転載する場合に限り転載許諾は不要です。
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