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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.014]PMBOK(R)と二人の石工

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■■□  [No.014]PMBOK(R)と二人の石工
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/04/11━
▼上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン バックナンバー
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●二人の石工

 私は、業界団体等においてプロジェクトマネジメントの知識体系である
PMBOK(R)の入門講座の講師を勤めています。
 この講座では、PMBOK(R)をITプロジェクトに適用する際のポイ
ントを解説しています。
 基本的には、PMBOK(R)をはじめて学ぶ人に、PMBOK(R)という
手法を解説しているのですが、私自身としては、PMBOK(R)の底に流
れるプロジェクトマネジメントの魂(と私が思っているもの)を受講者に
伝えたいという思いがあります。

 この講座の中で必ず紹介する例え話に「二人の石工」という逸話があり
ます。この逸話は、ヤン・カールソンの「真実の瞬間」という書籍の中で
紹介されているもので、内容は以下の通りです。


   ある日、一人の旅行者がバルセロナのサグラダ・ファミリア(ガウ
  ディが設計した石の大聖堂で、現在も建設中)を訪れた。

   辺りを歩いていると、道端で一人の石工が石を削っていた。
   好奇心旺盛な旅行者は、その石工に声をかけた。
  「あなたは、いったい何をしているんですか?」
   するとその石工は、迷惑そうな顔をしながら腹立たしげにこう言っ
  た。
  「見て分かんねぇのかよ。この糞いまいましい石を削ってんじゃねえ
  か!じゃまだから、とっとと向こうに行ってくれ。」

   慌ててその場を離れ、しばらく歩いていると、別の石工が同じよう
  に石を削っていた。
   その旅行者は、懲りずに先ほどと同じ質問をしてみた。
  「あなたは、いったい何をしているんですか?」
   するとその石工は、晴れやかな顔をして誇らしげにこう答えた。
  「よくぞ聞いてくれました。私は今、世界で一番美しい大聖堂の基礎
  を作っているんですよ!」

 (注釈:実のところ私は「真実の瞬間」を読んでいません。一橋大学の
 米倉教授が講演の中で紹介されたこの逸話に感銘を受けて、それを自分
 なりに理解して紹介しているものです。従って、中身はオリジナルと微
 妙に違っている可能性があります。)

 この二人の石工には大きな違いがあります。
 同じ作業をしていながら、一人は糞いまいましい石を削っているだけの
不幸な石工、もう一人は大聖堂の基礎を作っている幸福な石工です。

●二人のITエンジニア

 ITエンジニアにも、糞いまいましいコーディングをしているだけの不
幸なエンジニアと、社会やお客さんに対して何らかの貢献をしている幸福
なエンジニアがいるように思います。

 この違いは、自分の行っている仕事の目的を理解しているかどうかによ
り発生しています。
 私は、「二人の石工」の逸話を、プロジェクトの目的が明確にされてい
ることによって、プロジェクトメンバーのモチベーションを向上させるこ
とができるということの例えとして紹介しています。

 個人的な意見ですが、プロジェクトを成功させるためには、まずプロジ
ェクトの真の目的が何かを明確にし、それをそのプトジェクトに関わる全
員が共有することが大切だと考えています。
 プロジェクト目的の明確化は、私が自分の講義の中で、特に強調して伝
えたいと思っていることの一つです。

 実際、私の講座を受講したプロジェクトリーダから、さっそくメンバー
にプロジェクトの背景や顧客のビジネス上のニーズを説明するようにした
ところ、モチベーションが格段に違ってきたという話を頂くことがありま
す。
 こういう時は、本当に嬉しく思います。

 しかし、多くの場合、受講者の関心はどうしても手法自体に向いてしま
いがちです。
 もちろん手法を理解して頂くことはとても大切なのですが、こちらとし
ては「もっと理解して欲しいことがあるんだけどなぁ」という感じです。
 これには講師としての私の技量が、まだまだなのかもしれません。

●目的志向型と手段志向型

 あくまで個人的な意見ですが、人には「目的志向型」と「手段志向型」
があるように思います。

 目的志向型の人は、物事を遂行する際に、その真の目的は何かというこ
とに注意が向きます。そしてその目的を達成するために、あくまで道具と
して手法を用います。
 一方、手段志向型の人は、真の目的よりも、そこで用いる手法に注意が
向きます。

 私の経験からすると、手段志向型の人には目的志向的な話は、あまり受
けません。
 受けないだけならまだ良いのですが、困るのは、このような人達にかか
ると手段自体が目的化してしまうケースが少なくないということです。

 PMBOK(R)も手法である以上は、その危険性があります。
 PMBOK(R)で登場する手法を実行さえすれば、プロジェクトが成功
する訳ではありません。真の目的を踏まえていないプロジェクトマネジメ
ントは、いくらWBSをきっちりやっても、EVMをしっかりと導入して
も、優れたPMツールを使っても成功しないと思います。

 もちろん手段志向型のプロジェクトマネジメントが必ず失敗する訳では
ありません。成功事例もたくさんあることでしょう。
 しかし、不確定要素が多い、ステークホルダー間の利害が大きく対立し
ている等、難易度の高いプロジェクトにおいては、手段志向型のプロジェ
クトマネジメントでは成果を生み出せないと思います。

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■閑話休題

 ご存知の方が多いと思いますが、2003年4月7日は「鉄腕アトム」の誕生
日でした。
 何を隠そう私は「鉄腕アトム」の大ファンです。
 アトムのTVアニメを観て育ち、4歳の頃の将来の夢はお茶ノ水博士の
ような科学者になることでした。
 アトムのことなら数時間しゃべり続ける自信があります。

 先日のはじまったアトムの新作アニメも子供といっしょに観ました。
 なかなか良い出来だと思いますが、主題歌を変えてしまったのは、どう
しても納得できません。

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