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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
[No.037]反省する力(2004/04/28)

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□■■  上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
■■□  [No.037]反省する力(2004/04/28)
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▼上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン バックナンバー
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●不幸なプロジェクトのベテランSE

 ベテランSEのAさんは、なぜか不幸なプロジェクトに関わってしまうこ
とが多い人です。
 不幸なプロジェクトとは、例えば以下のようなプロジェクトです。

 ・一生懸命やっているのに、顧客からクレームがついてしまう。
 ・メンバーのモチベーションが低く、チームのムードは最悪。
 ・メンバーは残業が多く、休日出勤や徹夜は当たり前。
 ・納品後も障害が多発し、プロジェクトがなかなか終わらない。
 ・担当するプロジェクトが赤字になり、周りから冷たい視線を浴びる。

 そしてAさんは、これらの不幸なプロジェクトにおいて開発リーダー等の
重要な位置にいることが多いのです。

 皆さんは、「きっとAさんの知識やスキルが不十分なのだな」と思われた
かもしれません。
 しかしAさんの知識やスキルは、けして低くありません。

 Aさんは、
 ・有名大学の理系出身で学歴に申し分はない
 ・IT関連の高度な資格や認定を取得している
 ・他のメンバーと比べて設計や開発のスキルは高い
 ・言語能力や作文能力の水準も低くない
のです。

 こう述べると皆さんは、「きっとAさんのプロジェクト実務経験が不足し
ているのに違いない」と思われたかもしれません。
 しかし、Aさんは、成功も失敗も含めて過去にも数々の実務経験を有して
いるのです。

 振り返ってみると、Aさんが関わったプロジェクトの多くは同じようなと
ころで失敗しているようです。Aさんは、キャリアだけは豊富ですが、経験
からあまり学んでいないのです。

 Aさんのようなタイプは、私たちの周りには少なくありません。

 大抵の人は、キャリアを経て経験を積み重ねれば知識やスキルを獲得する
ことができます。
 しかし、「プロフェッショナルとしてのノウハウや勘」は経験を積んだだ
けでは獲得できないようです。
 不幸なプロジェクトを発生させないためには、もちろん知識やスキルは必
要不可欠なのですが、それだけでは不十分で、「プロフェッショナルとして
のノウハウや勘」が必要なのだと思います。


●「プロフェッショナルとしてのノウハウや勘」を獲得する方法

 では、Aさんのように経験から学べない人と経験を通じて「プロフェッシ
ョナルとしてのノウハウや勘」を習得している人では、いったい何が異なる
のでしょうか。

 以前のメルマガで述べましたが、私には心の中で密かにメンター(師匠)
と仰ぐ人々がいます。

 上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
  [No.016]メンターを探せ!(2003/05/09)

 私のメンター(師匠)は、「プロフェッショナルとしてのノウハウや勘」
を有している人達です。彼等の行動を観察したり話を聞いていると、共通す
る「力」があることに気がつきます。

 それは、「反省する力」です。

 彼等は自分の経験を客観的かつ分析的に振り返る習慣を有しているように
思います。また何らかの形で、その経験を抽象化し表象化しています。

 具体的には、以下のような行動(思考)です。

 ・プロジェクト終了時には必ず反省会を開催し、その内容をドキュメント
  化している。
 ・顧客とのミーティング後に、参加メンバーで反省会を開き、良かった点
  や悪かった点についてお互いに話し合っている。
 ・ある事実に対して下した自分の判断について、その思考過程を分析して
  いる。
 ・自分の言動に対して他者がどのように感じたか、また他者にどのような
  影響を与えたかを想像している。

 一方、「反省する力」の弱い人には以下のような行動(思考)が見受けら
れます。

 ・自分に甘く、簡単に自己満足してしまう。
 ・自己を正当化し、不都合があると何でも他人のせいにする。
 ・経験を分析的かつ客観的に振り返ることができないため「反省」でなく
  「後悔」になってしまう。
 ・物事を抽象化できず、個々の経験から関連性や連続性を見つけることが
  できない。

 「真のプロフェッショナル」としてキャリアを形成するためには、「反省
する力」は必須と考えています。

 私も発展途上の人間であり、日々「反省」を忘れずキャリアを形成してい
きたいと考えています。
 実は最近、内省のために日記をつけることにしました。
 皆さんも、まず日記をつけるところから始めてみませんか。

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■「自分戦略」へのヒント

 ・「真のプロフェッショナル」になるためには知識やスキルを身に付ける
  だけでは不十分である。
 ・「真のプロフェッショナル」になるためには経験を通じて「プロフェッ
  ショナルとしてのノウハウや勘」を獲得する必要がある。
 ・経験を通じて「プロフェッショナルとしてのノウハウや勘」を獲得する
  ためには「反省する力」が必要である。

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▼閑話休題▼

 日経ビジネス(2004.4.26)のコラムの中で、数学者の広中平祐さんが以
下のように述べられています。

  「どんな人でも活躍できる場がある。その人が“はまる”場がある」
  数学の世界でもビジネスの世界でも、秀才ばかりでは成り立ちません。
 元気のいい“落ちこぼれ”が時々思いもよらない大きな仕事を成し遂げる
 ことがあるんですね。

 元気が湧き出る言葉のプレゼントを頂いた気持ちです。同郷(山口県)の
大先輩である広中先生に感謝です。

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請負契約の弊害

 私の友人が勤務する某大手SIer(A社)の話です。

 A社は現在、大規模システム開発の要件定義フェーズを進めています。
 A社は、原価低減を第一の目的として、外注企業に対する契約を、SES(準委任契約)ではなく一括請負にしました。(このプロジェクトには多数の外注企業が参画しています。)
 外注企業は、要件定義フェーズを請負にすることには無理があると主張しましたが、A社経営者の強い方針もあり、結局すべての外注企業が請負契約になりました。

 現在、このプロジェクトには大幅な遅れが発生し、プロジェクト全体の士気も下がっているそうです。

 そもそも要件定義は、確固たる作業定義ができないフェーズなので、プロジェクトが進むにつれてニッチな作業が発生します。
 これがSES契約なら「私が担当しましょう」と引き受け手が現れるところですが、請負契約にしたため、各担当者間に仕事の押し付けあいが生まれてしまいました。
 現在、このプロジェクトは会議がやたらと多く時間も長いのですが、その大半が参加各社のスコープの調整に費やされているのです。

 また、請負となったため細かなスケジュール管理は各社の裁量に任されるようになりました。その結果、全体的なスケジュール管理や各社間の作業調整が困難な状態になっています。
 あちらこちらでボトルネックが発生しており、多忙な人はめちゃくちゃ多忙、暇な人はボッーとして過ごす毎日という状況です。

 そもそも、システム開発プロジェクトの上流工程は、曖昧で形が定まらない中を、関係者が試行錯誤し知恵を出し協力しながら、良いシステムを生み出していく過程です。
 それをコスト削減だけに気を取られて、無理やり固定化してしまったのが、今回の問題の最も大きな原因だと思います。

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学生さんからの提言

 某大手情報サービス企業での実話です。

 その企業は毎年、インターンシップで学生を受け入れています。
 昨年度の学生へ提示された課題は、全事業部を回ってインタビューし、その企業の「あるべき姿」を提言せよ、と言う内容でした。

 学生の一人は、最終日の発表会で、以下のような提言をしたそうです。

  下請けのSI業をいつまでも続けていても将来は暗い。
  まだ高い値段がつくうちにSI部門をすべて売却し、得た資金を元に新しいビジネスを立ち上げるべきである。

 う~ん。^^;

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
[No.036]偶然を仕掛けよう!(2004/04/14)

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▼上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン バックナンバー
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●お詫びとお礼

 最近、すっかり発行頻度が減ってしまいました。申し訳ありません。
 勤務先での職務範囲が大きく広がった上に、「PMシンポジウム2004」実
行委員のボランティア活動に気合が入り過ぎて、メルマガ発行に費やす時間
がなくなってしまいました。

 「PMシンポジウム2004」の方は、私がPMを担当していた企画フェーズ
がほぼ完了しました。このメルマガも、従来の発行ペースに戻れると思いま
す。

 さて、前回のメルマガには多くの方からご意見ご感想を頂きました。
  
  [No.035]「いきあたりばったり」で行こう!

 メールを送って頂いた方々に心から感謝します。
 フィードバックを頂いたことで、多くの「学び」と「気づき」を得ること
ができました。
 今回は、皆さんから頂いたメールを元にして、前回テーマの続編をお届け
します。


●プランド・ハップンスタンス・セオリー

 まず、ある読者の方から、「@IT自分戦略研究所」のコラムを紹介して
頂きました。
  
 コラム:自分戦略を考えるヒント(4)
 偶然を起こし、偶然を生かす方法~キャリアの8割は偶然に支配される!

 「起-動線」の堀内浩二さんが書かれたコラムです。
 とても素晴らしいコラムですね。前回のメルマガで私が言いたかったこと
が、より具体的にわかりやすく述べられています。

 私がこのコラムを読んで最も衝撃を受けたのは、「プランド・ハップンス
タンス・セオリー」という理論です。
 これは、米国のカウンセリング学会誌等で発表された論文で、「変化の激
しい時代には、キャリアは基本的に予期しない偶然の出来事によってその8割
が形成される」とする理論です。
 そのため個人が自分のキャリアを形成するには、偶然を自ら仕掛けること
が必要になるとされています。


 堀内さんのコラムで「プランド・ハップンスタンス・セオリー」を知った
翌々日くらいに、定期的に訪問している中尾英司さんのサイトをブラリと訪
れてみると、何とそこにも「プランド・ハップンスタンス・セオリー」の記
事が掲載されているではありませんか。
 「おぉ、何たる偶然!」と感激していると、その直後に中尾さんからメー
ルを頂き、「プランド・ハップンスタンス・セオリー」をご紹介頂いたので
す。

 ※「プランド・ハップンスタンス・セオリー」については中尾さんがエピ
ソードを交えながら詳しく解説されています。ご興味のある方は、中尾さん
のサイトを是非ご覧下さい。
 http://www.jiritusien.com/kojin-career-8step12.htm

 中尾さんの記事を読んだ後に、『キャリアショック』をじっくりと読んで
みたのですが、素晴らしい本でした。この本には、「プランド・ハップンス
タンス・セオリー」以外にも、私にとって「眼から鱗」の内容がたくさんあ
りました。
 この本の感想については、また別の機会に述べてみたいと思います。


●仕事は楽しいかね?

 さて別の読者の方からは、「偶然」に対する考え方が似ているということ
で『仕事は楽しいかね?』という書籍をご紹介頂きました。
 この方は、この本に大きな影響を受けられたそうです。

 さっそく購入して読んでみたのですが、私もこの本にも感銘を受けました。
 この本の主張には『キャリアショック』と近いものがあるように思います。

 この本は、仕事に行き詰まりを感じている主人公が、大雪で足止めされた
空港で一人の老人との偶然の出会いを通じて、自己変革を成し遂げるきっか
けをつかむ物語です。
 この本の中で老人は主人公に対して以下のようなアドバイスをします。

  「人生は進化だ。そして進化の素晴らしいところは、最終的にどこに行
   き着くか、まったくわからないところなんだよ」
  「成功する人たちはね、自分がどこに向かっているかということはわか
   っていない-ただ、遊び感覚でいろいろやって、成り行きを見守ろう
   と思っている。」

 この老人は、多くの成功者が計画的に人生を管理したのではないこと、た
だ単に目の前の問題解決に集中し、その時に起きた偶然を見落とさなかった
だけであることを説明します。

 『キャリアショック』と『仕事は楽しいかね?』の二冊は、ITプロフェ
ッショナルがキャリア形成を進める上で、非常に参考になると思います。是
非、ご一読を!


『キャリアショック-どうすればアナタは自分でキャリアを切り開けるのか?』
キャリアショック-どうすればアナタは自分でキャリアを切り開けるのか?


『仕事は楽しいかね?』
仕事は楽しいかね?


●私自身のキャリア形成

 考えてみれば、私のこれまでにキャリアも大半が偶然の積み重ねでした。
 いかに、いきあたりばったりでキャリアを形成してきたかを参考までに紹
介します。

 私は、高校生の頃からジャーナリストになることを目標にしていました。
 大学4年生になってからは、放送局や出版社を中心にかなり熱心な就職活
動を行ないましたが、結果は惨敗。
 すると不思議なもので、長い間抱いていたジャーナリストへの思いが、ま
るで憑き物が落ちたかのように無くなってしまいました。
 人生の目標が突然なくなり、さてどうしようかと思っている時に、就職活
動を通じて知り合った広告代理店の社長さんからベンチャー企業に就職して
はどうかと勧められました。

 当時は、「ソード」や「コスモエイティ」などの企業が全盛で、第二次ベ
ンチャー・ブームの後半期でした。その社長さんはこれからの若者は大企業
ではなくベンチャー企業に就職すべきであると熱く語られました。
 すっかり洗脳されてしまった私は、ちょうどタイミング良く開催されてい
た某大手VC(ベンチャーキャピタル)主催の企業説明会に参加したのです。
その説明会はそのVCが自社の出資企業を集めた合同説明会でした。

 そこで出会ったのが現在の勤務先の代表でした。私の勤務先は、ソフト会
社としては、その大手VCが出資した第一号の企業でした。
 当時、私の勤務先はその代表が一人で営業をしているような小さな会社で、
従業員は大半が技術者でした。代表に「君は営業に向いているような気がす
る。私の鞄持ちをしてみないか。」と言われました。起業家の鞄持ちはきっ
と面白いに違いないと思い、世間知らずの私は深い考えも無くあっさりと入
社承諾してしまいました。
 ジャーナリスト志望で文系の私は、システム開発やプログラミングの経験
や知識は皆無でした。ひょっとすると「SE」という職種が世の中に存在す
ることすら知らなかったかもしれません。

 営業担当として入社したつもりの私ですが、入社してからは同期といっし
ょに技術研修を受けました。最初は、営業担当者も技術を知らなくてはいけ
ないんだろうと違和感もなく研修を受けていましたが、そのうち何か変だな
ぁと思うようになりました。
 ちょうど私の入社と時期を同じくして、営業マネジャーが中途入社してき
ました。その方が新入社員研修の講師を担当されたおりに、自分は営業担当
として採用されたはずであることを話しました。
 その営業マネジャー曰く、そんな話は初耳だということでしたので、驚い
た私は代表に確認しました。
 結局、当社の代表が入社前に私に言ったことはその場の思いつきで、おま
けに代表はそんな話をしたことすらすっかり忘れていのでした。(私の勤務
先の代表は、理屈よりも思いつきと勘で行動する人です。しかし、他の同期
のように技術職として採用されていれば、私はおそらく入社していなかった
と思いますので、何らかの縁があったのでしょう。)

 結局、営業マネジャーを雇ったばかりで、新米の営業担当者は当分の間必
要ないという結論になり、私はプログラマーとしての道を歩むことになった
のです。基本的に軽いノリで入社していますし、研修を通じてプログラミン
グがすっかり面白くなっていた私は、「まぁそういうこともあるさ」と気分
を新にしました。

 そして、ちょうど立ち上がったばかりの大手食品メーカーの戦略的物流シ
ステム開発プロジェクトに配属されたのでした。

 このプロジェクトは我々の業界にありがちな下請けではなく、勤務先がそ
の食品メーカーから直接受注したものでした。このプロジェクトは、その食
品メーカーの社運を賭けた大プロジェクトでしたが、それを請負契約で受注
した当社にとっても社運を賭けた大仕事でした。
 そのため、顧客の情報システム部門や勤務先からもエース級のSEが投入
されました。
 優秀な先輩達の下で仕事ができた私は、本当にラッキーだったと思います。
 このプロジェクトではマネジメントの基本がきっちりと行なわれていまし
た。このプロジェクトに配属されたことは今の私にとって大きな財産になっ
ていると思います。

 その後、このプロジェクトの大半の開発が完了し、運用準備フェーズに入
ったところで、私はこの大手食品メーカーの情報システム部門で立ち上がっ
た別のプロジェクトに配属され客先での常駐作業に従事しました。

 客先常駐プログラマーとしての日々を送っていたある日のこと、ぶらりと
訪れた営業マネジャーから飲みに誘われ、営業をやってみる気はないかと打
診されました。
 私の勤務先も事業が急速に拡大しつつある時で、そろそろ営業担当者の数
が足りなくなってきたのでした。経営者や私の上長に異動を依頼したところ、
まず私の意向を確認しろと言うことになったようです。

 当時、プログラマーとしての仕事は充実しており、このままSEになるの
も良いなと思っていました。ただ、好奇心が旺盛でいろんな人と接するのが
好きな私は、いつかは元々の志望である営業もやってみたいと思っていまし
たので、その考えを伝えました。
 私の異動を巡っては、時期も含め、会社の上層部で意見が分かれたようで
すが、できるだけ早い方が良いとの結論に至り、私のキャリアは大きく振ら
れることになります。

 私が営業に職種転換するのとほぼ同時期に、当社ではCG技術を売り物に
した技術計算系システムの請負開発専門のチームを立ち上げました。UNI
Xマシンや最新のグラフィックディスプレイ等に多額の設備投資をした当社
としては戦略的な事業でした。
 そしてそのチームリーダーから専任の営業担当者が欲しいという強い要望
があり、私はそのチームの営業として配属されました。
 ここで私は、会社やプロジェクトチームを代表して顧客や協力会社との折
衝や調整を担当しました。営業と言っても、単に仕事を取ってくるだけでな
く受注したプロジェクトの面倒を最後までみるのが私の役割でした。
 私のキャリアの中では、この営業プロジェクトマネジメントが最も長く、
現在の私のスキルやコンピテンシー習得の場になっていることは間違いあり
ません。

 もし、私が営業になるタイミングが少しでも遅ければ、このチームの専任
営業にはなっていなかったと思います。
(その後、私は、自社開発パッケージの営業や新規事業開発、経営企画等の
仕事を経て現在に至っています。)


 こうして振り返ってみると、私のキャリアのほとんどが偶然で形成されて
いるのが良くわかります。
 ただ、私は単に流れに身を任せるのではなく、目の前の課題に集中しなが
ら、常に自分のやりたい仕事を膨らませてきたと思います。
 また、直接的な利害関係のない人々ともコミュニケーションをとったり、
機会があれば積極的に自分の考えを述べる等の布石を打っていました。
 意識はしていませんでしたが、偶然をつかむ工夫をしていたのだと思いま
す。

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■「自分戦略」へのヒント

 ・キャリア形成の大半は「偶然」に支配されることを理解する。

 ・キャリアを形成するには、偶然を仕掛ける工夫が重要である。

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▼閑話休題▼

 先日、SCOの麻生社長のお話を少人数で聞く機会がありました。
 UNIXの知的財産権をめぐる争いで、すっかりと評判を落としてしまっ
たSCO社ですが、物事は視点が変われば随分と見え方が違ってくるものだ
なぁと実感した次第です。

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中国オフショア開発の勘所

 アイコーチ社の幸地司氏から「中国オフシェア開発の勘所」というテーマでお話を伺いました。

 先達のお話はやはり聞いてみるものですね。
 本当に勉強になりました。

 一般論として中国オフシェア開発の難しさは理解していましたが、具体的なエピソードを聞くと、こりゃぁ本当に手間がかかるなぁと感じた次第です。

 しかし、中国オフショア開発を通じて日本側の開発プロセスもかなりレベルUPする印象を受けました。

 また、チームプレーの強さや曖昧さや不確実性を残したままでシステム構築できる日本人の「強み」も実感しました。

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中国企業との契約交渉

 先日、中国系ソフト会社とシステム開発案件の契約交渉を行ないました。
 私の方が発注側で、先方が受注側です。

 15時に話し合いをスタートとして、契約条件が合意できたのは23時過ぎでした。
 途中、何度か決裂しそうになりましたが、何とか決着をつけることができました。

 中国系企業を相手に交渉を行なったのは、今回が初めてですが、やはり日本人相手の交渉とは勝手が違います。
 非常に論理的で、YESとNOがはっきりとしています。押してくるところと引くところが明確でメリハリがあります。
 そして何よりも日本人と違うのは、その粘り強さです。まさに「ターミネーター」のようです。

 タフな交渉でしたが相手にとって不足はなく、久々に楽しむことができたように思います。

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母親役としてのラインマネジャー

 本日、同業(情報サービス業)の人材開発部門責任者の会合がありました。
 テーマは「メンタルヘルス」についてで、産業カウンセラーの方からレクチャーを受けました。
 最近は、各社とも「うつ病」や「睡眠障害」の社員が増えており、どう対応して良いか悩んでいるようです。

 今回のレクチャーで感じたことは、ラインマネジャーの役割が重要になっているなぁということです。

 ライン型組織の限界が指摘されプロジェクトが重視される昨今ですが、そんな時代だからこそラインマネジャーには従来と違った役割が要求されつつあるのかもしれません。
 プロジェクトマネジャーが父親役なら、ラインマネジャーは母親役、そんな感じを抱いた今日のレクチャーでした。

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プロジェクトマネジャー対プロジェクトマネージャ

 先日、JPMF(日本プロジェクトマネジメント・フォーラム)で打ち合わせをしている時に、エンジニアリング企業の方から以下のような話がありました。

 IT系の人は「プロジェクトマネージャ」と表記する人が多いが、それは明らかに間違い。「プロジェクトマネジャー」とするのが正しい。 

 言われてみれば確かにその通りですね。PMBOKも「プロジェクト・マネジャー」としています。
 情報処理技術者試験が「プロジェクトマネージャ」としていることもあって、私も今まで何の疑問もなく「プロジェクトマネージャ」と書いていました。
(確認していませんが、メルマガでも「プロジェクトマネージャ」と書いていると思います。)

 これは、さっそく改めようと思った次第です。
 情報処理技術者試験も、早いところ改めた方が良いと思います。

 ところで、米国のプロジェクトマネジメント業界では「PMS」という三文字略語を使わないという話も出ました。
 理由を知りたい方は、辞書を引いてみて下さい。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.035]「いきあたりばったり」で行こう!

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□■■  上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
■■□  [No.035]「いきあたりばったり」で行こう!
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2004/03/11━

▼上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン バックナンバー
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●読者からのご質問

 読者の方から、「No.032 SE本に惑わされるな!」に対して質問を頂
きました。

 まず、ご質問を頂いたメルマガの一部を掲載します。

 |●「自分戦略」に関する読者からのお悩み
 |
 | 「自分戦略」に関する質問で、読者の方から時々頂くのは、「真の
 |価値観や強みが見つけられず、うまく戦略策定できないが、どうすれ
 |ばよいか?」というものです。
 |
 | これらの質問をしてくる方々は、「自分戦略」を「公式計画・統制
 |型」のイメージで捉えているのではないかと思われます。
 |
 | おそらく「戦略」という言葉に、自分の置かれた環境の変化をしっ
 |かりと分析し、その分析に基づいて自分の進むべき道を決定するとい
 |うイメージがあるのかもしれません。
 |
 | そこには正しく分析をすることによって正解(完璧な戦略)が生み
 |出される。そしてその正解を実行することが「自分戦略」なのだとい
 |う意識があるように感じます。
 |
 | 従って、正解を生み出すためには、「真の価値観」や「強み」にも
 |正解を発見しなければならないという強迫観念があるのでしょう。
 |
 | はっきりと言いますが、少なくともSEの「自分戦略」に関しては、
 |この考えは間違っています。もし、「自分戦略」に上記のようなイメ
 |ージを持っているなら、それは改める必要があります。
 | なぜなら、SEの「自分戦略」は「仮説・検証型」だからです。
 |
 | SEの「自分戦略」は、仮説(計画)と検証(実行)の繰り返しで
 |す。
 | 机上で演繹的・短期的に生み出すのではなく、日々の活動や発想の
 |中から帰納的・長期的に生み出し、フィードバックを受けることで
 |「進化」させるものなのです。
 |
 | 「進化」ですから、時には偶然が大きく影響します。
 | 偶然は誰にも予想することはできません。自分の人生に思ってもみ
 |なかった展開が訪れます。
 | 「自分戦略」に正解(完璧な戦略)は必要ないことを理解して下さ
 |い。

 上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン」
  [No.032]SE本に惑わされるな!(2004/01/12) より抜粋

 頂いたご質問の内容を要約すると以下の通りです。

   SEの「自分戦略」が「仮説・検証型」と言われると、何となく
  もっともらしいのですが、よくよく考えてみると一貫性のない「い
  きあたりばったり」のような気がします。
   それに、「偶然」を前提にした「戦略」にも違和感を覚えるので
  すが、いかがでしょうか。


●「いきあたりばったり」こそ強み

 企業経営やプロジェクトマネジメントにおいて、「いきあたりばったり」
は、戦略なきマネジメントの代名詞みたいなもので、諸悪の根源のように
言われています。

 しかし本当に「いきあたりばったり」は悪いのでしょうか。

 今の世の中、これから起きることを正確に読める人はいないと思います。

 成功者の中には、あたかも自分は先の先まで読んで行動したようなこと
を言う人がいますが、後付の結果論にすぎないと思います。(流れを自分
で作ってしまった人はいると思いますが。)

 このような時代にあって、いくら頭の中で素晴らしい計画を作成しても、
その通りに物事を進めることは不可能です。
 「計画は達成されなければならない」という固定観念にはまってしまっ
て、現状にまったくマッチしない行動をとってしまうのがオチです。

 そもそも日本人は、「いきあたりばったり」が得意な人種のように思い
ます。
 「いきあたりばったり」は、日本人のDNAなのかもしれません。

 そして、トップダウン型でなくボトムアップ型のアプローチを身上とす
るSEの「自分戦略」にとっても「いきあたりばったり」は適していると
思います。

 ただし、留意して欲しいのは、私が主張しているのは、単なる「いきあ
たりばったり」ではありません。
 「自分戦略」としての「いきあたりばったり」は、能動的に「いきあた
りばったり」を行なうという点で、単なる「いきあたりばったり」とは異
なっているのです。

●「明日生まれる卵はいくつ?」

 つい先日、上記の私の考えに近い主張の本に出会い、とても心強く感じ
ました。

 それは、ベリングポイント社の増川稔浩さんが書かれた「明日生まれる
卵はいくつ?」です。


「明日生まれる卵はいくつ?―走りながら考える新経営戦略」
明日生まれる卵はいくつ?―走りながら考える新経営戦略

 この本はアメリカのサウスカロライナ州で酪農を営むヒルズ一家のスト
ーリーを通じて、走りながら考える新経営戦略手法である「ローリング・
フォーキャスト」を解説したものです。

 この中で増川さんは、以下のような主張をされています。

   計画は大事だけど、計画に縛られちゃいけない。
   「あるべき姿」は石にかじりついても実現しなければならないも
  のではなくて、環境が変われば変わるもの。

   計画は死んでも守らなければならないという時代は終わった。
   明日起こることは誰にもわからない。
   計画を守ることより、どれだけ柔軟に計画を変えられるかという
  視点で企業や経営者は評価されるべき。

   我々は今まで中小事業主の「いきあたりばったり」の経営よりも、
  大企業の「計画ベース」の経営の方が優れていると無条件に信じて
  きた。しかしこれは日本が成長する段階にだけに成り立つ一時的な
  ものだった。

 この本は、能動的「いきあたりばったり」のポイントを非常にわかりや
すく説明してあります。興味のある方は是非お読みください。


【余談ですが】
 システム開発プロジェクトの難しいところは曖昧な部分を残したまま、
走りながら徐々に契約や仕様を固めていくところにあります。
 システム開発は、レンガを積み重ねてコンクリートで固めていく塀作り
ではなく、粘土で創作する芸術作品のようなものです。
 不確実性を一切排除したシステム開発プロジェクトから良い成果が生ま
れるとは思えません。

 特に、契約確定フェーズや要件定義フェーズにおいては、「いきあたり
ばったり」をマネジメントしていくことで成功への道筋が開けるのだと思
います。


●「偶然」が生み出す進化

 机上や頭の中で考えた計画が、狙い通りの成果を生み出したことは、い
ったいどれくらいあるでしょうか。

 少なくとも私には、あまり記憶がありません。

 大きな成果やチャンスは、よくよく考えてみると「偶然」がもたらして
いることが多いと思います。

 増川さんの本の中でも、ヒルズ牧場を大きな成功に導くのは、ある「偶
然」がきっかけになっています。
 多くの読者は、しょせん作り話だから、うまく事が運んだと主われかも
知れません。
 しかし、実際に「いきあたりばったり経営」で成功している企業には、
必ずといっていいほど偶然が作用しているのです。これは「自分戦略」に
でも同様です。
(計画が不要だと言っているのではありません。念のため。)


 私自身のことで言えば、このメルマガは私自身の「自分戦略」における
一つの実行計画として発行されました。
 元々の発行の狙いはありますが、思った通りの成果には必ずしも結びつ
いていません。

 しかし、このメルマガを通じて思いもしなかった成果がありました。

 例えば、現在私は「プロジェクトマネジメントOS本舗」の好川哲人さ
んや「あきらめの壁をぶち破った人々」の中尾英司さんと非常に懇意にし
て頂いていますが、これらのリレーションは、このメルマガがなくては生
まれなかったものです。

 これらは、予想だにしなかった「偶然」の産物なのです。

【参考】

 「プロジェクトマネジメントOS本舗」 好川さんの運営するサイト
 
 「あなたの自律支援.COM」 中尾さんの運営するサイト

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■「自分戦略」へのヒント

 ・「いきあたりばったり」は、必ずしも悪いことではない。
 ・SEの「自分戦略」にとっても「いきあたりばったり」は適している。
 ・能動的に「いきあたりばったり」を行なうのは、単なる「いきあたり
  ばったり」とは異なっている
 ・机上や頭の中で考えた計画が、狙い通りの成果を生み出すことは希で
  ある。
 ・大きな成果やチャンスは、「偶然」がもたらしていることが多い。

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▼閑話休題▼

 先日、近所にある樹林公園の広場を使って、私が所属するボーイスカウ
ト団の全員で旗取りゲームを行ないました。(下は4歳から上は70歳まで。)
 ルールは以下の通りです。

 ・二チーム(一チーム35名)に分かれて旗を取り合う。相手の旗を奪い
  広場中央にいる審判長のところにいち早く到達したチームが勝ち。
 ・陣地を作り旗を置き、攻撃陣と守備陣に分かれる。敵に遭遇するとジ
  ャンケンをし、負けると腕につけた風船を割られる。風船を割られた
  ら広場にいる審判からのクイズに正解しないと戦線に復帰できない。

 我が方はリーダの意向により、各人が勝手きままに攻めるという戦法で
闘いに挑みました。一方敵チームは、チーム編成をして役割や侵攻ルート
をある程度定めて攻めてきました。
 結果は我が方の惨敗。3回戦行なってすべて負けるという悲惨な結果に
終わりました。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.034]オープンソースでSE魂を磨く

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■■□  [No.034]オープンソースでSE魂を磨く
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2004/02/14━
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●実装技術の空洞化

 以前、若手のSE達と懇談していた時に、その中の一人が、こんなこと
を言いました。

 「プロジェクトマネジメントや業務知識の重要性はよくわかります。し
 かし、僕はできるならプロジェクトマネジメントや業務知識ではなく実
 装(プログラミング)で食っていきたいんです。」

 コンピュータやプログラミングが好きでこの業界に入ってきたのですか
ら、彼のこの気持ちは、よくわかります。またSEとして、とても健全な
ことだと思います。

 しかし、このような若手の意見に対して、分別ある大人たちの言うこと
は厳しいものがあります。

 曰く、
  ・若いうちはいいけど、実装だけではそのうち食えなくなるぞ。今の
   うちから管理の勉強をしておけ。

  ・中国やインドの技術者と戦っても勝ち目はないぞ。シリンコンバレ
   ーのエンジニア達の状況を見てみろ。

 最近では、若いうちから実装の経験よりもプロジェクトマネジメントの
経験を積ませようとする企業もあるようです。

 このことの良し悪しは、背景にどんな経営戦略があるかを知らない限り、
簡単には判断できません。
 また、本人が実装よりもプロジェクトマネジメントに面白さを感じるな
ら、もちろんOKです。

 しかし、若手SEに実装を経験させないのは、問題があるような気がし
ます。なぜならSEにとって実装技術は基盤であると思うからです。

 また、いくら技術力が高く安価だからといって、実装の大半を中国のオ
フショア開発に頼ってしまうのは危険のような気がします。

 技術の空洞化を招かないためにも、IT企業は実装に強い人材を育成す
る必要があると思います。そうしないと技術をマネジメントできなくなり
ます。

 実装で勝負したいと思っている個々のSEに関して言えば、会社任せに
せず、実装技術を長期的・継続的に蓄積するような自分戦略を策定し行動
する必要があります。

●オープンソースは恵まれざる者の福音

 自分の強みは実装技術にあり、今後の方向性として実装のプロフェッシ
ョナルを選択するなら、何をすれば良いのでしょうか。

 あくまで個人的な意見ですが、オープンソースに積極的に関わっていく
のが一つの道だと思います。

 ご存知じの通り、オープンソースはソースコードが公開されており誰も
が自由に改変することができるソフトウエアのことです。

 代表的なオープンソースには以下のようなものがあります。
 
  ・Linux     :OS
  ・Apache    :wwwサーバ
  ・Samba     :ファイル共有サーバ
  ・MySQL     :RDB
  ・PostgreSQL:オブジェクト指向RDB
  ・Eclipse   :開発ツール用プラットフォーム

 ■参考文献
 「オープンソース・ソフトウエアの現状と今後の課題について」
 
 オープンソースの素晴らしいところは、誰もが技術を習得できる機会に
恵まれるということです。

 例えば、RDBのことを本や文献を集めて勉強しても、それは知識に過
ぎません。その知識をスキルにするためには、やはり「実物」を触ること
が必要です。

 しかし、商品としてのソフトウエアは高価で、中小のソフト会社や、ま
しては個人では入手することが困難です。
 つまり、大企業に勤務するSEと中小企業に勤務するSEでは技術習得
の機会に大きな格差があったと言えます。

 オープンソースは、その状況を変えてしまいました。
 オープンソースは、雑誌やインターネットから無料で入手することがで
きます。
 そして、偉大な先達が開発したソースに触れることができ、利用したり
手を加えることでスキルを獲得できます。
 実際の仕事で、オープン系の実装技術に携わっていないSEであっても、
意志さえあれば技術を蓄積できるのです。

 オープンソースは、恵まれざる者にとっての福音なのです。

●オープンソースに対する貢献

 オープンソースを本当に自分のものにしたいなら、やはり何らかのオー
プンソース・コミュニティに属するのが良いと思います。

 ただし、オープンソースの世界では、待っているだけでは何も起こりま
せん。
 オープンソースの技術を身につけるためには、汗を流して情報を収集し
自らも情報発信し、積極的に動く必要があります。

 逆にいえば、今まで上司から言われた仕事を、黙々とこなしていた仕事
のスタイルを変革する良い機会にもなるのです。
 また、会社以外のコミュニティに属することで、エンジニアとしての自
分自身を立体的に捉えることができるようになります。

 そして、最も重要なのは、オープンソースから恩恵を受けるだけではな
く、自分もオープンソースに貢献することです。
 扱うオープンソースのライセンスを正しく理解し、ボランティアをいと
わないことが大切です。

 このような活動を長期的・継続的に続けることで、SEとしての魂が磨
かれていくに違いないと、私は信じています。

------------------------------------------------------------------
■「自分戦略」へのヒント

 ・実装に自分の方向性を見出しているSEは、技術を長期的・継続的に
  蓄積するような自分戦略を策定し行動する必要がある。
 ・そのようなSEにとってオープンソースに関わることは効果的な自分
  戦略になりうる。
 ・オープンソースのコミュニティに属し積極的に活動することで、SE
  としての魂が磨かれる。

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▼閑話休題▼

 「PMシンポジウム2004」企画フェーズの仕事が佳境です。
 最近のアフターファイブは、大半をこのボランティア作業に費やしてい
ます。
 でも、楽しくてやりがいのあるプロジェクトです。
 皆さんのお役に立てるプログラムをお届けしたいと思っています。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.033]緩やかな生き方としてのSE

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2004/01/28━
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●島に唯一人のSE

 日本経済新聞に「働くということ」という連載記事があります。
 先日までは、「猛烈とスローライフ」という2つの価値観がテーマとし
て取り上げられていました。

 2004年1月21日の紙面には。スローライフの事例としてSEの植田さん
が紹介されました。
 植田さんは、南十字星が見える鹿児島の県与論島にいる唯一人のSEで
す。

 東京の大手通信会社に勤務していた植田さんは、知人の誘いで3年前に
与論島に移住しました。今では、島民の大半が顔見知りだそうです。

 普段は、機器修理や診療所のシステム管理で生計を立てており、一日中
働くこともあれば、2時間で終わることもあるそうです。
 収入は東京時代より30%減ったそうですが、記事からは、非常に充実し
た日々を送っているの様子が感じられました。

●シニア向けパソコン教室

 「シニアSOHO普及サロン・三鷹」というNPOがあります。
 企業を退職したシニアのビジネス参加のプラットフォームとして設立さ
れ、地域に密着したシニア向けのパソコン講習会の開催等、退職したシニ
ア達が起業した地域密着型ビジネスの成功事例として、いろいろなところ
で紹介されています。

「シニアSOHO普及サロン・三鷹」のサイト

 この「シニアSOHO普及サロン・三鷹」が経営するシニア向けパソコ
ン教室の中心人物であるMさんは、私の高校の大先輩にあたる人です。

 Mさんは大手電機メーカーでシステム開発を担当されていたエンジニア
でした。数年前の50代の半ばに早期退職をして、「シニアSOHO普及サ
ロン・三鷹」を立ち上げる市民プロジェクトに参画されました。

 Mさんが会社を辞める時に、「自分が選んだ道は、生涯賃金としては大
幅な減になる。しかし、自分としては生きがいと時間を買ったつもりだ。」
と笑顔で話されていたのが、とても印象に残っています。

●「コミュニティ・ビジネス」

 「シニアSOHO普及サロン・三鷹」のようなビジネスを、「コミュニ
ティ・ビジネス」と呼びます。
 「コミュニティ・ビジネス」とは、住民が主体性を持って地域社会の多
様なニーズや問題解決に取り組み、顔の見える関係の中で営まれる事業の
ことです。

 「コミュニティ・ビジネス」の提唱者である細内信孝さんは、その特徴
を以下のようにまとめています。

  「コミュニティ・ビジネス」の特徴
   ■住民主体の地域密着型ビジネス
   ■必ずしも利益追求を第一としない適正規模、適正利益のビジネス
   ■営利を第一とするビジネスとボランティア活動の中間領域的なビ
    ジネス
   ■グルーバルな視野のもとに、行動はローカルの開放型のビジネス

 上記の特徴にあてはめれば、与論島の植田さんの仕事も「コミュニティ
・ビジネス」として捉えることができると思います。

 「コミュニティ・ビジネス」は、「競争」を前提とした一般のビジネス
のとは異なり、「共生」を前提としたビジネスです。

 ボランティア活動の延長線上にあるため、ビジネスとしては必ずしも成
功事例ばかりではないのですが、着実にその数を増やしています。

 ★「コミュニティ・ビジネス」について詳しく知りたい方には、以下の
  書籍がお薦めです。

「コミュニティ・ビジネス」
コミュニティ・ビジネス

●町のSE

 私の実家は地域密着型の食料品店でした。
 私の父は、新鮮な青果物を低価格で地域の人々に提供することに使命感
を持っており、お年寄りや小さな子供のいる家庭には配達サービスを無料
で行なっていました。

 そのような環境で育った影響があるのかもしれませんが、「地域社会に
対する貢献」は、私の人生におけるテーマの一つです。

 その一貫で、私は「コミュニティ・ビジネス」に対する中間支援活動に
参加しています。
 その活動を通じて実感するのは、今後、地域社会に発生するさまざまな
問題の解決ツールとして、ITが活用される機会が増えてくるということ
です。

 そこには、SEが果たす役割がたくさんあるように思います。

 例えば、以下のようなものです。

  ・お年寄りや障害者のためのパソコンやインターネット指導
  ・子供のための情報化教育
  ・零細企業のためのシステム開発やネットワーク構築
  ・地元商店街のホームページ作成やECサイト運営
  ・町内会や子供会を活性化するためのサイト運営 等

 顔の見える関係の中で仕事をしているSEは、与論島の植田さんのよう
に、利用者の喜びの声や感謝に接する機会に恵まれることでしょう。
 これは、とても幸せです。


 多くの場合、SEの仕事は競争社会の中で営まれます。
 しかし、中には「競争」の中で生きることに息苦しさを感じるSEもい
るのではないかと思います。

 そのような人たちには、地域密着型の「町のSE」という選択肢もある
ように思います。

 競争社会の中で生きるより、収入は少ないかもしれません。
 しかし、顔の見える関係の中で、SEとして地域社会に貢献しながら、
緩やかに生きることができるのです。

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■「自分戦略」へのヒント

 ・これからは、SEが地域社会の中で果たす役割が増えてくる。
 ・SEの仕事は競争社会の中だけに存在するわけではない。
 ・地域密着型の「町のSE」として、身近な人々の生活に貢献しながら、
  緩やかに生きる道を選択することもできる。

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▼閑話休題▼

 先日、ビーバースカウトの子供達と「忍者ごっこ」をしました。
 ロープを立ち木の間に張って渡ったり、折り紙で作った手裏剣を投げて
遊びました。

 でも男の子達にとって一番楽しかったのは、新聞紙の刀で行なったチャ
ンバラ(死語?)のようです。
 集会終了後、大人たちが次回の打ち合わせをしている間もずっとチャン
バラは続いていました。

 TVゲームよりも、もっと楽しい遊びのあることを、今の子供達に教え
る必要があるように思いました。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.032]SE本に惑わされるな!

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2004/01/12━
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●中期経営計画とローリング・プラン

 昨年より、情報サービス産業の業界団体が主催している経営企画担当者
懇談会に参加しています。
 この会合には約30社が参加しており、現在は各社の中期経営計画のフレ
ームワークや策定プロセスを発表し意見交換を行っています。

 興味深かったのは、参加企業のうち約3割が中期経営計画にローリング
・プランを採用していたことです。

 ローリング・プランというのは、例えば3年の中期経営計画を立てたと
して、1年目が過ぎた時点で経営環境の変化を考慮して、またそこから3年
間の中期経営計画を策定する方法です。
 つまり、毎年、中期経営計画を策定するわけです。

 これに対して、出席者の一人から「中期経営計画にローリング・プラン
を用いることは適切なのだろうか?」と言う問題提起がありました。

 「200X年の当社のあるべき姿」という様なオーソドックスな中期経営計
画を採用している企業にとって、経営計画は目標とそれを達成するための
方法をあらかじめ定め、それを着実に実行していくことです。
 達成すべき目標が毎年修正され、なおかつ目標年度が毎年移動するロー
リング・プランには少なからず違和感を覚えるようです。

 私は、この問題提起に対して、「ローリング・プランが中期経営計画の
あり方として不適切ということはないと思う」と意見を述べました。
 なぜなら計画には、大きく分けて二通りあると考えているからです。

 一つは原則として修正を前提としない「公式計画・統制型」で、もう一
つは修正を前提とした「仮説・検証型」です。

 「200X年の当社のあるべき姿」というタイプの中期経営計画は「公式計
画・統制型」であり、ローリング・プランの中期経営計画には「仮説・検
証型」の要素があると考えられます。

(あくまで個人的な意見ですが、経営環境の変化が激しい今日では、中期
経営計画はローリング・プランを採用した方が良いと考えています。)

 「公式計画・統制型」と「仮説・検証型」の違いについて、もう少し説
明します。

 例えば、情報処理技術者試験に合格するための学習計画は「公式計画・
統制型」と考えられます。
 飲み会に誘われたり、見る予定のないテレビ番組をついつい最後まで見
てしまったりで、計画をやたら修正してばかりだと目標に到達することは
困難となるでしょう。

 一方、リスクの高いプロジェクトや研究開発プロジェクトなどでは、
「仮説・検証型」が適切です。硬直的な「公式計画・統制型」では、現実
と計画の乖離が進み役に立たなくなるからです。
 「仮説・検証型」における計画は、あくまで仮の解決策に過ぎません。
実行してみてはじめてそれが正しいかどうか分かります。
 従って短期間で仮説と検証を反復し、仮の解決策である計画を修正して
いく必要があるのです。そこには完璧な計画などありえないという前提が
あります。


【参考までに】

 SEの皆さんには「公式計画・統制型」と「仮説・検証型」の違いは、
「ウォーターフォール型」と「イタラティブ型(反復型)」の違いと言っ
た方がイメージしやすいかもしれませんね。

●「自分戦略」に関する読者からのお悩み

 「自分戦略」に関する質問で、読者の方から時々頂くのは、「真の価値
観や強みが見つけられず、うまく戦略策定できないが、どうすればよいか
?」というものです。

 これらの質問をしてくる方々は、「自分戦略」を「公式計画・統制型」
のイメージで捉えているのではないかと思われます。

 おそらく「戦略」という言葉に、自分の置かれた環境の変化をしっかり
と分析し、その分析に基づいて自分の進むべき道を決定するというイメー
ジがあるのかもしれません。

 そこには正しく分析をすることによって正解(完璧な戦略)が生み出さ
れる。そしてその正解を実行することが「自分戦略」なのだという意識が
あるように感じます。

 従って、正解を生み出すためには、「真の価値観」や「強み」にも正解
を発見しなければならないという強迫観念があるのでしょう。

 はっきりと言いますが、少なくともSEの「自分戦略」に関しては、こ
の考えは間違っています。もし、「自分戦略」に上記のようなイメージを
持っているなら、それは改める必要があります。
 なぜなら、SEの「自分戦略」は「仮説・検証型」だからです。

 SEの「自分戦略」は、仮説(計画)と検証(実行)の繰り返しです。
 机上で演繹的・短期的に生み出すのではなく、日々の活動や発想の中か
ら帰納的・長期的に生み出し、フィードバックを受けることで「進化」さ
せるものなのです。

 「進化」ですから、時には偶然が大きく影響します。
 偶然は誰にも予想することはできません。自分の人生に思ってもみなか
った展開が訪れます。
 「自分戦略」に正解(完璧な戦略)は必要ないことを理解して下さい。

●SE本に惑わされるな

 昨年は、SEの今後のあり方を提言した書籍(いわゆるSE本)がたく
さん出版されました。
 私がこのメルマガを発行しはじめた頃は、そのような書籍はほとんどあ
りませんでしたから、世の中のSEの悩みの深さがわかります。

 すべてのSE本を読んだわけではありませんが、その中のいくつかの本
には少なからず違和感を感じました。

 書かれていることは間違っていないと思うのですが、外部環境分析を重
視した内容で、SEの「自分戦略」策定にとっては必ずしも有効でないと
感じたからです。

 SE本の多くは外部環境分析をした上で、SEに対して「何をなすべき
か・何になるべきか」の理想を説いています。この内容そのものは、素晴
らしい分析力と洞察力によるものであり、非常に参考になります。

 しかし個々のSEの「自分戦略」は、まずは「何をしたいか・何ができ
るか」でアプローチすべきです。理想論でアプローチすると道を誤ってし
まいます。

 「仮説・検証型」の戦略で重要視すべきは、これから世の中がどうなる
かという外部環境分析ではなく、自分の能力を見つめた内部環境分析です。

(外部環境分析が無用と言っているわけではありません。念のため。)

 外部環境分析を重視し、画一的な理想を押し付けるSE本に惑わされて
はなりません。
 SEの「自分戦略」は十人十色なのです。

 「自分戦略」に正解を求めたり、短期的に答えを出そうとしてはいけま
せん。
 SEの「自分戦略」は、日々の地道な活動の中から生み出され長期的に
「進化」していくということを忘れないで下さい。

------------------------------------------------------------------
■「自分戦略」へのヒント

 ・自分の置かれた環境(外部環境)を分析するより、自分の持つ能力(
  内部環境)の分析とその能力開発を重視する。
 ・「何をなすべきか・何になるべきか」ではなく「何をしたいか・何が
  できるか」でアプローチする。
 ・机上で演繹的・短期的に生み出すのではなく、日々の活動や発想の中
  から帰納的・長期的に生み出す。(活動そのものが戦略である。)
 ・「自分戦略」は実行であり、フィードバックにより磨かれることを理
  解する。
 ・「自分戦略」は、偶然によって大きく「進化」することを理解する。
 ・「自分戦略」に正解(完璧な戦略)は必要ないことを理解する。
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▼閑話休題▼

 「あきらめの壁をぶち破った人々」の著者である中尾英司さんからメー
ルを頂きました。
 このメルマガの主旨に共感頂き、私のメルマガを中尾さんのサイトで掲
載し、私のサイトにリンクまで張って頂きました。
 本当にありがたいことです。

 中尾さんのサイトは、暖かい雰囲気で心が和みます。
 「大事なことは自然が教えてくれた」は、田舎育ちの私にとっては、子
供の頃を思い出して懐かしい気持ちになりました。

 ↓↓中尾さんのサイトは、こちらです。
 http://www.jiritusien.com/index.htm

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.031]「自分戦略」と「あきらめの壁」

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/12/24━
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●今年一番のお薦め本

 今回も前回に引き続いて、小説「あきらめの壁をぶち破った人々」を題
材にします。
 この本は、私が今年読んだ中で一番のお薦め本です。

「あきらめの壁をぶち破った人々」
 
 ※前回のメルマガを読んでいない方は、まず前回のメルマガをお読み下
さい。

 [No.030]「あきらめの壁」をぶち破れ!
 
 前回はプロジェクトマネジメントの観点から、この本を紹介しました。

 今回は組織の観点から述べたいと思います。

 この小説の中には数々の問題上司が登場することは前回のメルマガでも
お伝えしました。

 問題上司の類型はいくつかありますが、この小説には、「お神輿型」
(無能型)と「軍隊型」(パワーハラスメント型)の代表的な問題上司が
登場します


●無能型上司

 まずは「お神輿型」(無能型)の上司です。
 この小説の中ではプロジェクト責任者である柳田部長が、このタイプで
す。

 柳田部長は組織内に問題があっても、それをなかなか明確に認めようと
はしません。
 明確に認めると何か対策を打たねばならないからです。

 また、何を優先して進めるかと言う経営的な判断をするべき時に、その
決断をせず個人の裁量で対処するように指示します。
(当人には自分がなすべき経営的な判断から逃げているという意識すらあ
りません。決断をしない体質に染まりきっているからです。)

 主人公の島津はこれに対して、「上が下に無理難題を押し付ければ、下
はしたたかに無化する。経営者が決断責任から逃げるのであれば、下も実
行責任から逃げる。」と述べ、この集団無責任体制こそが現在の日本経済
停滞の元凶であると指摘します。
 またこれが、日本に優秀な経営者が育たない原因であるとしています。

 私たちの周りでも似たようなことは、たくさんありますね。
 経営者や事業責任者は、営業が安易にとってきた仕事を、プロジェクト
マネージャに押し付け、プロジェクトマネージャはメンバーに丸投げし、
メンバーはさらに協力会社に任せっぱなしにします。

 このような行動様式を持つ組織においては、問題の所在を個人に求めま
す。
 そうすると失敗や問題は正しく分析されず、知恵やノウハウは共有され
ることがないので、組織にナレッジが蓄積されません。

 このような企業風土を持つ組織は、だんだんと組織自体が無能化してい
きます。
 「学習せざる組織」となるのです。

【参考までに】

 なぜ昇格すると人は無能になるのかについては、以下のバックナッバー
をご参照下さい。

 [No.023]上司について考える(1) ピーターの法則

●パワーハラスメント型上司

 この小説の中で、主人公の最も大きな障害となるのが直属の上司である
岩田次長です。
 やり手営業マンであったこの人物は典型的なパワーハラスメント型上司
で、部下は自分の手足としか考えていません。

 このような上司にとっては、主人公のような人間は、自分勝手に振舞う
反逆者以外の何者でもありません。
 岩田は、自分の下で徹底的に鍛えてやるとばかりに、主人公の言動のす
べてを否定し叱責します。
(本人はイジメのつもりは毛頭なく、部下に対する正しい教育方法だと信
じています。)

 程度の差はあれ、このような上司はどこの会社にもいると思います。

 この手のタイプは行動力があって高い業績を残している自信家に多いよ
うに感じます。
 自信も行き過ぎると傲慢に変わります。自分自身の価値観を一方的に押
し付けて、部下を枠にはめようとします。

 また、この手の上司は働くことの目的を間違えている人が多いと思いま
す。
 本来、企業や団体は何らかのビジョンや目的を達成するために組織を形
成します。つまり組織というのは手段に過ぎません。

 ところが、パワーハラスメント型上司は、自分自身が崇め奉られるため
のポジションを築き上げること目的としています。
(本人はそれすら気がついてないケースが大半ですが)
 つまり本来手段であるはずの組織構築が目的化しているのです。

 このような上司は極めて危険な存在です。権力も能力もあるので、この
ような上司に対して部下がリーダーシップを発揮するのは、それなりの覚
悟が必要です。

【参考までに】

 有能な人材が問題上司になってしまうケースについては、以下のバック
ナンッバーをご参照下さい。
 [No.024]上司について考える(2) ディレールメント

●島津の強さの秘密

 主人公の島津は、岩田のパワーハラスメントにも自分を見失うことなく、
岩田という壁を乗り越えてプロジェクトを推進します。

 プロジェクトの仲間達が、主人公に対して、どうしたらそのように強く
なれるのかを問うシーンがあります。

 主人公は、人間が強くなるためには経験が必要で、その経験には二通り
あると述べます。
 その二つとは、「受動的な経験」と「能動的な経験」です。

 「受動的な経験」とは、経験により免疫ができるケースです。
 例えば、パワーハラスメント上司の下で働けば、ごく自然に耐性が身に
付くということです。

 しかし、「受動的な経験」だけでは打って出る強さ(真の強さ)は身に
付きません。
 主人公は、打って出る強さは主体的な行動とフィードバックにより身に
付くものだと説明しています。
 自ら能動的に起こした行動に対してフィードバックを得て、次にとる行
動を変えていくのが生物の基本だと述べます。

 フィードバックは周りの評価や反応です。
 ただし一つの組織の中だけでフィードバックを受けても強くはなれない
と、主人公は説明します。
 会社に限らず組織には一つのモノサシしかないので、会社の組織に縛ら
れている限りは会社に対して依存しており強気にはなれないからです。

 主人公は、会社以外の複数の組織に所属することが必要であると説明し
ます。
 違ったモノサシに接することで自分のいろいろな側面が見えてきて、自
分自身を立体的に取り戻すことができるからです。

 私はこの主人公の発言に深く共感しました。
 なぜなら、それは私自身の実体験でもあるからです。

 私は、PM推進団体や中小企業経営者が集まる異業種交流会等、分野の
異なる複数の組織に所属しています。
 正直なところ、この本を読むまでは自覚していなかったのですが、それ
ぞれの組織での様々なモノサシよるフィードバックは、確かに自分自身を
立体的に取り戻す効果があります。

 そして主人公は、自分自身を取り戻したら、次は自分の時間をどこに使
うかを自分自身で決定する必要があるとしています。

 この主人公の発言内容は、まさに「自分戦略」の実践です。
 言い換えれば、主人公の強さの秘密は、「自分戦略」を持っていること
にあったと言えるのです。

【ご参考までに】

 会社以外の組織に属することは、以下のバックナンバーで、私もお勧め
しています。

 [No.012]自分戦略策定の最終ステップ

 [No.016]メンターを探せ!

●システムズアプローチ

 この本の中で、印象に残った主人公の考え方を、最後に一つ紹介します。

 それは「システムズアプローチ」という考え方です。

 これは家庭療法の基本概念だそうです。
 カウンセリングを学んでおり家庭相談士でもある主人公は企業組織を
「システムズアプローチ」の観点で分析しています。

 「システムズアプローチ」では、家族や組織を一つのシステムとして見
なします。
 もしそこに問題児が現れた場合は、その個人を「指標となる人」として
捉えます。
 あたかも炭鉱のカナリアのように、システムに問題がある場合は、その
システムの中で最も弱いところに現象が現れると考えるからです。

 個人にだけ焦点をあてて、その個人だけを治療しても問題は解決しませ
ん。
 健全な人間同士であってもその関係性によって問題や症状が現れるから
です。

 主人公は、問題の発生を個人だけの原因に帰しても、組織というシステ
ムを変えない限り同様の問題が発生するとを考えています。

 組織を一つのシステムとして捉える考え方は、プロジェクト運営や問題
分析・解決(ソリューション)にとって非常に有効な考え方だと思いまし
た。

 いつかこの考え方を、このメルマガで深く掘り下げてみたいと思います。

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▼閑話休題▼

 現在、オープンソースに関するプロジェクトに参画しています。
 このプロジェクトでは、ドキュメント作成ツールとして「OpenOffice.
org 1.1.0」を使用することになり、早速ダウンロードして使っています。
 使ってみて驚きました。表計算ソフトのグラフ作成機能等に弱さはあり
ますが、基本的なドキュメント作成には、十分な機能が備わっています。
 Microsoft Officeのドキュメントも、ほとんど問題なく利用できます。

 企業内の標準ツールとして採用すれば、ライセンス料金の大幅な削減に
つながると思います。

  ↓↓「OpenOffice.org 1.1.0」のダウンロードは、こちらから。
 ■OpenOffice.org 日本ユーザー会
  
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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.030]「あきらめの壁」をぶち破れ!

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□■■  上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
■■□  [No.030]「あきらめの壁」をぶち破れ!
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/12/11━
▼上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン バックナンバー
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●今年一番のお薦め本に出会いました

 久々に感動的な本に出会いました。
 その本のタイトルは、「あきらめの壁をぶち破った人々」です。

 買ったその日に、一気に読んでしまいました。
 今年読んだ本の中では、間違いなくベストワンのお薦め本です。

「あきらめの壁をぶち破った人々」
あきらめの壁をぶち破った人々

 この本は実話に基づく小説で、大手製薬会社を舞台にした情報化推進プ
ロジェクト推進が題材です。
 硬直化し、まるで全身を生活習慣病に侵されているような組織が、改革
プロジェクトを推進する主人公の活躍によって活力を取り戻すプロセスが
描かれています。

 プロジェクトの行く手には、事なかれ上司やパワーハラスメント上司等、
数々の困難や障害が現れます。
 それらの幾多の壁にぶちあたりながら、プロジェクトリーダーである主
人公とプロジェクトメンバー達は、その壁をぶち破っていきます。
 そして遂には、この困難なプロジェクトを成功させる感動のドラマです。

 当メルマがの読者であるITエンジニアの方々にも是非読んで欲しい本
です。
 この本からは、実に多くを学べます。

(1)プロジェクトマネジメント実践のケーススタディになります。

 ITプロジェクトの場合、単にシステムを開発するというだけでなく、
業務プロセスや意識改革をともなうことが多いのは、ご存知の通りです。

 そのためITプロジェクトを成功させるためには、人の心を動かし行動
を変えるという点が重要になります。いわゆるヒューマンスキルやコンピ
テンシーが必要となるのです。

 この本は、リーダーシップやコミュニケーション等、プロジェクトマネ
ジメントにおけるヒューマンスキルやコンピテンシーの実践の書です。
 この点に問題意識のある方であれば、多くの「気づき」を得ることがで
きるでしょう。

(2)上司に恵まれない方にとっては数多くのヒントがあります。

 この物語には、たくさんの問題上司が登場します。
 主人公は、そのような上司に対してリーダーシップを発揮することで、
これらの上司との問題を解決していきます。
 上司との関係に悩むSEにとっては、共感する場面やヒントとなるエピ
ソードがたくさんあります。

(3)改革プロジェクトの意味と全体最適を実感できます。

 改革を目的とした情報化プロジェクトが顧客企業にとって、どのような
意味を持つのか、また全体最適とは何かを実感することができます。
 これは、プロジェクトを委託される側にいる私達には、頭では理解でき
ても、なかなか実感できないことです。
 顧客の立場や視点を理解する良い機会になります。

(4)プロジェクト推進のヒント

 主人公の会議の進め方やコミュニケーション・ツールの活用方法等、私
達のプロジェクトでも参考になる実践的手法が、数多く紹介されています。

 以上、私自身が感じたことを上げてみましたが、皆さんであれば、もっ
と多くのことを読み取れるかもしれません。

●改革プロジェクト推進のポイント

 プロジェクトを進める点において、私が共感し参考になった箇所を紹介
します。

(1)組織に問題を認知させる

 舞台となった製薬会社は様々な問題があるにも関わらず、それを不問に
しています。
 問題があることを明確にすれば、誰かがそれをやらねばならず、そのた
めの体制づくりやコストも発生するため、誰もが思考を停止させ行動をお
こさないのです。

 私達が所属する組織にも、多かれ少なかれ同様の状況があるのではない
でしょうか。このような時に、私達はどのような行動を起こせば良いので
しょうか。

 主人公は、この状態を打破するためにボランティアからなるランチタイ
ムミーティングを開催します。ここで自分達の組織にある問題点を顕在化
させ、上層部にその解決を提案することで、問題点の所在を公式に認めさ
せます。
 この時点から、縦割り組織を横断し医薬品申請プロセスを改革するため
の『文書管理システム開発プロジェクト』がスタートします。

(2)正式名称は範囲を規定する

 『文書管理システム開発プロジェクト』の発足にあたって主人公は、正
式名称にこだわります。
 プロジェクトの名称が、その範囲(スコープ)を規定するという考えが
あるからです。

 主人公は、以前『勤怠管理システム』の開発に従事した経験があります。
 その時は、上位の役職職から様々な要望が出てきて事態を収拾するのに
苦労しました。
 主人公は、その原因の一つに『勤怠管理システム』という名称があった
と分析しています。何でもできそうな名称が、システムのコンセプトを不
明確にしてしまったという反省です。
 主人公は、『勤怠管理システム』という名称を途中から、『電子出勤簿』
に変更し、よけいな雑念が入らないようにします。

 この経験を踏まえて、『文書管理システム開発プロジェクト』の正式名
称は『申請文書業務改革プロジェクト』に決定されます。

 ITプロジェクトの提案段階において、企画を通したいがために、つい
つい何でもできそうな名称をつけてしまいがちです。
 そして、その後で膨らむユーザの期待を収拾できなくなってしまうのは
よくある話ですね。
 このエピソードには、私も反省しました。

(3)略称は判断基準となる

 主人公は正式名称だけでなく略称にもこだわります。略称によってプロ
ジェクトの判断基準を表すべきという思いがあるからです。
 プロジェクトメンバーが単純で明確な判断基準を共有することで、同じ
ベクトルに対し足並みをそろえ、組織効率を最大化できるようになるとい
うわけです。

 私達のプロジェクトには、単純かつ明確な判断基準はあるでしょうか。
 最優先すべき項目は、ステークホルダー(利害関係者)の間で、共有さ
れているでしょうか。
 プロジェクトの略称で、その判断基準を明確にすろというのは、実践的
で優れた方法だと思います。

(3)やらされる側の心のコップ

 『申請文書業務改革プロジェクト』は立ち上がりましたが、各部門代表
で参加したコアメンバー達の動きは、組織の壁もあって、本腰ではありま
せん。自覚的なメンバーほど、その壁にもがくことになります。
 この状況を打破するために、主人公はコアメンバーの本音や愚痴をコン
サルタントの女性にヒアリングさせます。

 この行為に対して仲間から、「コアメンバーが言っていることは甘えに
すぎないし、聞くことがその甘えを助長しているように思われる」という
意見が出ます。

 この意見に対して主人公は、「人間は意義と重要性をインプットすれば
行動が変わるロボットではない」と反論します。
 そして、「やらされる側が何か新しいことに取り組む時には、心のコッ
プにストレスという水がたまってしまう。誰かがその水を受け止めてコッ
プの中をいったん空にしてあげないと、新しい価値観は受け入れられない」
と説明します。

 私たちは他人に何かを変えてもらおうとする時に理論で説得しようとし
てしまいがちです。まず相手の感情を理解し受け止めてなければ、どんな
正しい理論も受け入れてもらえないということを忘れてはいけません。
 この箇所は、改革プロジェクトを進めた経験のある方であれば、深く共
感できると思います。

(4)聴くべきは現在のユーザの声でなく三年後のユーザの声

 『申請文書業務改革プロジェクト』が運用準備段階に入ると、ユーザか
ら様々な不平不満が発生します。
 運用の責任者はユーザの声を大事にする人で、ユーザの不満の解消を最
優先にしてシステムを変えようとします。

 これに対して主人公は、ユーザの声を重んじるのは大切なことだが絶対
に変えてはいけないシステムのポリシーがあることを訴えます。
 運用責任者が毅然とし、現場でユーザとの攻防に踏ん張っている運用担
当者をバックアップすべきだと主張します。

 そこには「妥協することによって、変えるべき現実を延命させてはなら
ない」という主人公の固い決意があります。

 主人公は、この運用責任者に大して、聴くべきは現在のユーザの声でな
く三年後のユーザの声であることを説明します。

 これは、私達の周りにも、よくある話ですね。
 新しいシステムを導入した時には、必ずユーザからの抵抗が発生します。
 もちろん、こちらの意見を一方的に押し付けてはいけないのですが、ど
うしても譲れないポリシーのあることを忘れてはいけません。

 その時は、「聴くべきは現在のユーザの声でなく三年後のユーザの声」
という主人公の言葉を思い出すことにしましょう。

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▼閑話休題▼

 先日、練馬地区のビーバースカウトが合同で運動会を行いました。
 運動会といっても、「スリッパとばし」や「しっぽとり」等、学校では
やならいような種目ばかりです。
 みんな元気いっぱいで、とても楽しそうでした。
 私も、心から楽しむことができました。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.029]サービスプロセスを磨く

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□■■  上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
■■□  [No.029]サービスプロセスを磨く
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/11/26━
▼上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン バックナンバー
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●X課長からのクレーム

 ある日、私がお客さんのX課長をブラっと訪問した際のエピソードです。

 X課長は、極めて重要性の高い情報システム開発プロジェクトのマネー
ジャで、私の勤務先はそのサブシステムの開発を請負っており、私は営業
窓口を担当していました。
 X課長は、ちょっと話したいことがあると、私を打ち合わせブースに連
れ出しました。

 話の内容は、そのサブシステム開発のリーダを務めていた当社のZ氏に
対するクレームでした。
 X課長の話では、Z氏は技術力は格段に優れており、それは高く評価し
ているが、報告や事前の相談がなくて困るとのことでした。
 進捗状態や発生している問題が正しく把握できない上に、独断専行で仕
事を進めることが多い。今までの実績から結果的には納期も守ってくれる
し品質面でも確かなものができると信じてはいるが、不安でしょうがない
とのことでした。

 ■X課長「SEには仕事ができるSEとそうでないSEがいるが、仕事
 ができるかどうかと信頼できるかどうかとは関係ない。Z氏は仕事がで
 きるSEかもしてないが、私にとっては信頼できないSEだ。」

 ■私「申し訳ありません。ご不満にまったく気がつかず、監督不行き届
 きでした。さっそくSEマネージャに報告して対応します。」

 ■X課長「仕事もできて信頼もできるSEが最高なことは言うまでもな
 い。その次に役に立つのは、仕事はできないが信頼できるSEだ。戦力
 として計算ができるのでリスクが少ない。」

 ■私「なるほど。そうすると、仕事もできないし信頼もできないSEが
 一番困りますね。」

 ■X課長「いや、そういうSEは、はなっから戦力として計算しないの
 で問題ない。もしプロジェクトに配属されても、他者の足を引っ張らな
 いようにマネジメントすれば良い。私にとって、一番扱いに困るのがZ
 氏のようなタイプなんだよ。技術力は確かに高いので、どうしてもお願
 いせざるを得ない仕事があるが、任せた方としては心配で夜も眠れない
 よ。」

 X課長のSE分類を図に示すと以下のようになります。

   【信頼できるSEと仕事ができるSEの分類】

           信頼できる
             ↑
             │      
         B   │  A   
             │      
             │      
  仕事が ←──────┼──────→仕事が
  できない       │       できる
             │      
         C   │  D   
             │      
             ↓
           信頼できない

 誰もが高く評価するのは、Aの領域にいるSEですね。これは、誰も文
句ないでしょう。
 X課長の場合、A領域の次に評価するのがB領域のSEでした。
 Z氏はD領域におり、X課長にとっては一番扱いに困るSEという評価
でした。

 皆さんにとって、このX課長のZ氏に対する評価は同意できるものでし
ょうか。それとも同意できないものでしょうか。

 確かにD領域のSEは困りものだが、B領域のSEよりはプロジェクト
に対する貢献は高いのではないかという意見もありそうです。


 では、もしこれがSEでなく外科医の話だったらどうでしょうか?

 私は、腕前が良くても信頼できない外科医に自分の命や家族の命を任せ
ることはできません。
 しかし、その病気がその外科医にしか治せないのなら、選択の余地はあ
りませんね。

 事の重大さがまったく違いますから比較することに無理があるかもしれ
ませんが、X課長はプロジェクトマネージャとして重責を担っていました。
X課長にとって、Z氏に仕事を任せるのは、腕前がよくても信頼できない
外科医に身内の命を任せるのと似たような心境だったのかもしれません。

●「信頼」の機能

 X課長のZ氏に対する評価に同意できるかできないかは別にして、「信
頼」は何か事をなそうとする時に極めて重要な要素です。

 仮に「信頼」がない世界があったとしたら誰も生きていくことができな
くなるでしょう。
 極論すれば、「信頼」がない社会では、道路を歩くことも理容店で髭を
剃ってもらうこともできません。弱肉強食のジャングルにさえ「信頼」は
存在しています。

 アリストテレスは、説得の種類を以下の3つに分類しました。

 ・「エトス(ethos)」による説得
 ・「パトス(pathos)」による説得
 ・「ロゴス(logos)」による説得

 「エトス」は、話し手と聞き手の間にある「信頼」です。
 「パトス」は、聞き手の「感情」です。
 「ロゴス」は、話し手の「論理」です。

 相手を説得するのは、この三要素のすべてが重要です。
 しかし、順番は「エトス」→「パトス」→「ロゴス」でないと、相手を
効果的かつ効率的に説得できないとされています。

 この順番は、何事においても非常に重要です。
 特に、「感情」や「論理」の前に、まず「信頼」があること、肝に銘ず
る必要があります。

 「信頼」がないところで何かを推進するのは、多大な時間とコストを費
やします。
 「信頼」がない状態で仕事するのは、あたかも荒野の悪路を走行してい
るようです。
 一方、「信頼」がある状態で仕事するのは、フリーウエイを疾走するか
のようです。

●「信頼」とサービスプロセス

 では「信頼」はどのように形成されるのか、これはSEの自分戦略にお
いても非常に重要なテーマであると考えています。

 「信頼」については、今後もさまざま視点から考えてみたいと思います
が、今回はサービスプロセスの点から考えて見ましょう。

 Z氏がX課長の信頼を得られなかったのは、最終的な結果(アウトプッ
ト)ではなく、その結果を生み出すまでのサービスプロセスにありそうで
す。
 先ほどの図の軸を変更すると以下のようになります。

      【信頼できるSEと仕事ができるSEの分類】

         サービスプロセスが優れている
               ↑
               │      
           B   │  A   
               │      
               │      
  結果を出す ←──────┼──────→結果を出す
  能力が低い        │       能力が高い
               │      
           C   │  D   
               │      
               ↓
         サービスプロセスに不安がある

 あくまで一般的な話ですが、サービス業にとってプロセスというのは商
品そのものであり技術そのものです。
 SEの仕事の分野には、製造業的な内容とサービス業的な内容があるの
で、一くくりにはできませんが、サービス業的な分野のSEであれば自分
自身のプロセスを検証することは重要な技術戦略となります。

 皆さんはご自身が顧客に提供しているサービスプロセスを検証してみた
ことがあるでしょうか。

 なければ一度是非やってみて下さい。いろいろな気づきがあるかもしれ
ません。

 サービスプロセスを検証するには、例えば以下のような方法があります。

(1)顧客との接触機会を洗い出す

 この1週間から2週間の間で、顧客と接触した機会を洗い出して下さい。
 接触は、面談だけでなく、電話、電子メールでの連絡等も含みます。

(2)接触したシーンを思い出す

 接触時の会話をできるだけ詳細に思い出して下さい。また自分が送った
メールの文面や顧客からのメールの文面を読み直して下さい。

 その接触を通じて、顧客の自分に対する「信頼」はプラスされたでしょ
うか、それともマイナスされたでしょうか。
 できる限り顧客の立場に立って想像してみて下さい。
 そして、まったくの主観で構わないので数値化して下さい。

(3)評価を分析する

 皆さんの「信頼」の収支決算はプラスでしょうか。
 もしマイナスになったのなら、それはどんな原因でしょうか。
 また、それを改善するのは何をすればよいでしょうか。

 優れたサービスプロセスの提供は、一朝一夕でできるものではありませ
ん。日々の振り返りと改善による地道な活動の成果です。

 優れたサービスを提供できるSEは、顧客にとっては「オンリーワン」
の存在となりえます。
 優れたサービスプロセスの提供は、SEにとっての「コア・コンピタン
ス(中核的能力)」となるのです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

▼閑話休題▼

 ここのところ少々オーバーワーク気味です。
 ちょっと休息が必要かなぁと思っています。
 私の場合、ビジネスとはまったく関係のない小説を読むことが何よりも
休息になります。(読みたい本が溜まっています。)

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.028]なんてたって問題解決

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□■■  上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
■■□  [No.028]なんてたって問題解決
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/11/03━
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●SEの仕事の本質は何か

 「SEの仕事の本質は何か?」という質問をすると、ベテランSEから
はさまざまな答えが返ってきます。

 ある人は「モノづくり」だと言い、またある人は「サービス」だと言い
ます。
 SEというくくりは、かなり大雑把なので、それぞれの役割や得意分野
によって答えが違うのだと思います。
 上記の質問に対する答えはそれぞれのSEで異なっていてよいのかもし
れません。


 そんな中で、SEの仕事の本質は「問題解決(ソリューション)」であ
るという意見を持つベテランが何人かいました。

 SEの仕事の本質が何かについて私自身は明確な答えを持ち合わせてい
ません。
 しかし「問題解決」がSEにとって重要な役割の一つであることは間違
いないと思います。

●SE暦50年のベテランの話

 以前、SE暦50年という戸田保一さんの講演を聴いたことがあります。
 戸田さんは1953年に野村證券に入社され、以来SEとして情報システム
と格闘されてきた大ベテランです。「生涯一SE」をモットーとされてい
ます。

 その講演の中で、私が最も印象に残ったのは、なぜSEを50年も続ける
ことができたのかというくだりです。
 戸田さんは、自分がSEを50年間も続けてしまったのは、ほかでもない
「問題解決」の面白さにとりつかれてしまったからだと説明されました。

 私はSEではありませんが、「問題解決」の面白さと楽しさはよくわか
ります。
 現象を洗い出し、問題を発見し、そのメカニズムを分析して、解決策を
講じる楽しさは、やり出したらやめられなくなります。
 戸田さんの話しには非常に共感しました。

●選ばれるSEの条件

 日経コンピュータに「選ばれるSEの条件」という連載があります。
 IT教育コンサルタントとして著名な芦屋広太さんによる辛口の記事で、
私は馬場史郎さんの「SEデベロップメント」とともに毎号欠かさず読ん
でいます

 2003年11月3日号に掲載された記事は、「問題を解決できる能力を備えよ」
というタイトルで問題解決がテーマでした。

 この記事の中には、保守が極めて困難な状態になった人事システムを、
まったく改善できなかった(と言うよりも改善する気がなかった)井上さ
んと、短期間で見事に改善してしまった吉田さんという二人のSEが登場
します。
 芦屋さんはこの二人のSEの差は問題解決能力にあったとし、問題解決
能力は選ばれるSEの大きな条件であると結んでいます。

 芦屋さんのこの指摘は的確であり、意義はありません。

 しかし、私は能力以前に、吉田さんは問題解決が楽しくてしょうがない
SEだったのだろうなぁと思いました。「面白いからやる」という元々は
極めて単純な話しのような気がします。

●問題解決を習得する機会

 問題解決が、選ばれるSEの条件かどうかは別にして、「やればきっと
面白いからやってごらんなさい」というのが私の主張です。

 また、SEとして基本的なセンスを有する人であれば、問題解決は訓練
しだいで習得できる能力であると、私は思っています。

 習得の機会は、皆さんの身の回りに掃いて捨てるほど転がっています。
 よく眼をこらして現象を観察し、問題を発見して下さい。

 それが、問題解決訓練の第一歩なのです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

▼閑話休題▼

 先日、出身高校(山口県立光高等学校)の同窓会関東支部総会で、舞台
俳優の増野亜土さんと知り合いました。増野さんは私の8年後輩になります。

増野さんのホームページ

 増野さんは、演劇を通じての子供の健全育成やその土地にしかないネタと
素材を使った地酒のような劇である地劇に力を入れています。
 今度、地元山口県光市にある劇場で地劇をするそうです。

 この劇場は、地域貢献を目的に市民主導で作られたもので、大正四年創業
の「山中酒造」の酒蔵を劇場として生まれ変わらせたものです。
 いろいろ話をしていると、この劇場を作り出した中心人物が私の小学校の
時の同級生であることがわかりました。
 増野さんの話によると、彼は地元活性化のために大きなビジョンを持って
活動しているようです。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.027]プロフェッショナルに進路を取れ!

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□■■  上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/10/20━
▼上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン バックナンバー
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●ITエンジニア達の悩み

 先日、現場で働くITエンジニア達の声を直接聞く機会がありました。
 テーマは自分自身のキャリア形成についてです。

 若手からは、実務経験を積む場がないという声があがっていました。
 短納期・低価格化のためにプロジェクトに余裕がなくなり、若手に試行
錯誤させたり、仕事を任せることができなくなっているようです。

 中堅からは、自分はこれからどんな方向に進めば良いのかが分らないと
言う声が数多くありました。
 その背景には、「自分が業界の中で、どのくらいのレベルにあるのかが
見えず不安」、「自分の弱みは簡単に思いつくけど、強みはなかなか思い
つかない(自己分析ができない)」ということがあるようです。

 経験10年を超えるプロジェクトリーダクラスからは、「自分が所属する
組織にはマネジメント力が不足していることは実感しており、プロジェク
トマネージャの育成や管理職の育成が重要だと思う。しかし、個人的には
マネジメントではなくITで食っていきたい。」という声がありました。

 彼等の悩みを聞いて、あらためてITエンジニア達は一生懸命に頑張っ
ているなぁと感じました。

 現在の彼らは暗中模索の状態にありますが、とにかく自分の頭で考え、
何らかの行動を起こそうとしています。
 そう簡単に答えは見つからないかもしれませんが、今日を悩むことは必
ず明日につながっていくと思いました。

●ITエンジニアは管理職でなくプロを目指して欲しい

 私は、勤務先(情報サービス業)において、人材育成や人事制度改革を
担当しています。

 現在、私が最も頭を悩ましているのは、ITエンジニアが楽しく充実し
たエンジニア人生を過ごせるような人事制度とはどのようなものかという
ことです。
 いろいろと試行錯誤していますが、なかなか狙い通りに進まず、失敗の
連続です。

 そんな私にとって、2003年9月25日の日経産業新聞に掲載されたアルゴ21
社の新しい人事制度に関する記事は、たいへん興味深い内容でした。
 以下にその記事を抜粋して紹介します。

  ■情報システム開発のアルゴ21は今年度からSEに新人事制度を導入
  する。目玉は技術力の評価のみで賃金が動く仕組み。

  ■新制度は今年度から段階的に運用を始め、2005年には全面的に移行
  する予定。

  ■明確な基準で技術力を評価したうえで報酬を現行より引き上げる。
  「社員は管理職ではなく技術者を志向してほしい」との狙いがある。

  ■新制度では「ITスキル標準」を参考にして技術者の職種を大きく
  9つに分類。さらに職種ごとに専門分野を設けている。

  ■一つの専門分野で150~180もの技術力を評価する診断項目をつくっ
  た。それぞれの項目について知識や経験を四段階で点数を付ける。

  ■社員は自分が認定を受けたい職種・分野のレベルを申請。知識・経
  験の診断、資格取得、面接などの総合的な審査を通じて合否判定する。

  ■新制度は技術力を上げてより高いレベルに認定されない限り、月給
  が上昇することはない。

  ■同社会長の佐藤氏はここにきて「生き残る道は技術力しかない」と
  いう強烈な危機意識を抱いている。

  ■独立系の情報サービス会社は多くが大手や顧客のシステム子会社の
  発注に従ってソフトを開発する下請け的な仕事を担ってきた。

  ■だが安い人件費を武器に中国のソフト会社にそうした仕事が流れる
  ようになってきた。また技術面でも急速に日本を追い上げている。

  ■このままでは中国勢などに太刀打ちできなくなる可能性がある。

  ■アルゴ21は新人事制度がこれらの課題を解決する有力策になると期
  待している。

  ■一方で日本的な人事制度と完全に決別することでもあり、同社はリ
  スクもあることを自覚しているが、「情報サービス企業の競争力は技
  術たるべしという創業以来の経営方針を実行する」として発進した。

 「ITエンジニアであれば、管理職ではなくプロを目指すべき」という
のは、かねてから私も主張していたことであり、この記事に対しては基本
的に共感を覚えました。

 いろいろと異論を持つ方もいるでしょうが、ITエンジニアから出世圧
力を外し、自分の専門領域で勝負させようとするアルゴ21社の試みは高く
評価できると思います。

 実は、つい先日、この人事制度改革を中心になって進めている人事担当
の方から直接お話しを伺うことができました。
 いろいろと質問をさせて頂き、本当に参考になることがたくさんありま
した。

 特にITエンジニアが自ら希望する職種とレベルを選択して認定を受け
るという仕組みには感心しました。

 若手社員であっても自信があれば、最高レベルの認定に挑むことができ
ます。そして、見事に認定を得ることができれば、そのレベルに応じた仕
事を任されるようになります。
 意欲も実力もある技術者が、塩漬けにならないようにしているのです。

 もちろん、その逆もあります。現在は上位のポジションにあっても、そ
のレベルの実力がないと判定されれば、下位レベルに降格となります。

 また、その人事担当の方は、最上位レベルにある優秀なエンジニアは絶
対に管理職しないのが基本方針であると言われました。
 自社の強みの源泉がどこにあるかを考えれば、これは当たり前のことで
あると述べられました。

●経営者や管理職もプロたるべし

 ただし、記事の中にもありますが、この新制度は大きなリスクを抱えて
います。
 人事担当者の方は眠れない日々を過ごしているとのことでした。
 同じ人事制度改革の担当者として、この気持ちはよくわかります。

 この制度を成功させるためには、いくつかの留意すべき点があると思い
ます。

 私が考える留意点は以下の三つです。

 一つめは、人材切捨てやエリート偏重の制度にならないようにすること
です。
 優れた組織は一部の有能な人間だけで運営されている訳ではありません。
 それぞれ層にそれぞれの役割を果たしている人達がいます。それらすべ
てに対する敬意を忘れないことが大切です。

 二つめは、この制度の第一の目的が人材育成にあることを忘れないよう
にすることです。
 給与制度の改革は、人事制度の改革をすれば、ごく自然に付随してくる
ものです。給与制度改革が第一の目的にならないようにすることが大切で
す。

 三つめは、この新制度においては経営者や管理職が果たす役割が非常に
重要になるということです。
 認定されたITエンジニア達に使命感と活躍の場が提供できなければ、
この制度は間違った方向に進む危険性があります。

 単に給与やポジションでITエンジニアを動議付けることはできません。
 まず第一には、経営者や管理職から言霊の入ったビジョンの提示が必要
です。
 つまり、この新制度においては、経営者や管理職もITエンジニアと同
様に、マネジメントのプロフェッショナルでなければならないということ
です。

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▼閑話休題▼

 ビーバスカウトの子ども達といっしょに芋ほりに行ってきました。
 芋ほりは宝探しのようで、子ども達は大喜び!
 持参したスーパーの袋に入りきらないほどのサツマイモがとれました。
 その場で作って食べた豚汁も、とびっきりの美味しさで、野菜がたくさ
ん入っていたにも関わらず残す子どもは一人もいませんでした。
 もちろん、ホクホクの焼き芋もたくさん食べました。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.026]情報サービス業の経営戦略

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■■□  [No.026]情報サービス業の経営戦略
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/10/07━
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●携帯電話ショップになったメンズ・ショップの話

 十数年前の話しですが、当時住んでいた家の近くに店長が一人で経営し
ているトラッド系のメンズ・ショップがありました。店長のAさんは30歳
前後で、いつも笑顔を絶やさない感じのよいナイスガイでした。

 有名ブランドは置いてありませんでしたが、トラッドらしい落ち着いた
デザインの品揃えで、トラッド・ファッションが好きだった私はよく立ち
寄りました。当時のネクタイやシャツ、コットンパンツはすべてこの店で
購入したものです。

 しかしその後、引越しにより、その店に行く機会はなくなってしまいま
した。

 それから数年後、その店の近くを通ることがありました。久々に立ち寄
ってみると、その店は携帯電話ショップになっていました。

 「あれー、つぶれてしまったかなぁ。」と思いながら、気になって店内
に入ってみました。
 なかなかの繁盛店で、若い店員さんがお客さんに対応しています。ひょ
っとしたらという気持ちはあったのですが、Aさんはいません。
 もともと携帯電話を買うつもりはなかったので帰ろうとしたら、店に入
ってくるAさんにばったり出くわしました。

 Aさんの話しによると思い切って商売変えをしたとのことでした。事業
は成功しているようで、他にも何件かの店を持っているとのことでした。

 Aさんに限らず、商業の世界では、今までとはまったく違う商売に転向
して成功した例がたくさんあります。

 実践マーケッターとしてカリスマ的存在である神田昌典氏は、その著書
の中で、経営戦略はまず商品ありきだとしています。
 「運よく成長する商品に出会えば、どんなバカな経営者でも爆発的に儲
かってしまう」と述べています。
 そして成功している起業家は共通して、絶妙なタイミングで成長する商
品を取り扱い、絶妙なタイミングでその商品を手放していると述べていま
す。

 「ほったらかしでも売れてしまうものを見つける。そしてその商品が売
れているうちに、次のほったらかしでも売れる商品を見つける。」
 これが商売の極意なのかもしれません。

●分析型かプロセス型か

 あくまで一般論ですが、多くの商業系企業の経営戦略は神田氏が述べる
経営戦略と、基本的に同じスタンスにあるように思います。
 簡単に言ってしまえば、いかにして市場のニーズを見つけるか、あるい
はいかにして成長市場の中に身を置くかということです。

 商業系企業間の競争は短期決戦の応酬であり、驚くほど短い間に業界の
地図が塗り変わることがあります。

 そこでは、市場機会等の外部環境分析が主体となります。もちろん自分
が持つ強みの分析も行いますが、強みは市場に切り込むため、または競争
の優位性を維持するための道具という位置づけになります。

 一方、工業系やサービス系企業の経営戦略は商業系企業と根本的に異な
るところがあるように思います。

 冒頭のAさんのように、昨日まで服を製造していたメーカーが携帯電話
を製造することはできません。生産設備はもちろんのこと、組織内に蓄積
された技術が大きく異なるからです。

 工業系・サービス系企業においては、いかに売れ筋商品を見つけるかと
いうトップダウン型・分析型の経営戦略ではなく、自分達の強みをいかに
蓄積し展開するかというボトムアップ型・プロセス型の経営戦略が重要で
す。

 その経営戦略は、短期的で華やかな商業系企業の戦略に比べて、長期的
で地道です。

●情報サービス業の経営戦略

 私が所属する情報サービス産業の多くの企業は、これまで明確な経営戦
略を持たずに発展してきました。ここにきて、ようやく戦略的な思考やマ
ーケティングを経営に取り入れようとしています。

 厳しい経営環境の中、多くの情報サービス業はビジネスの方法を大きく
変えようとしています。従来の人材派遣型ビジネスモデルからの脱却を図
ろうと模索をしているのです。

 これは自体は、とても良いことだと思います。

 しかし、現在の情報サービス業の経営戦略のあり方には、少々違和感を
感じています。
 特に気になるのが、売れ筋の製品を担いだり、自社で開発したシステム
を製品化して受託型から商品販売型のビジネスに転向しようとする動きで
す。

 これらの経営戦略の多くは、トップダウン型で分析的です。市場には何
が受けるのかということに意識が向かいすぎているように思います。

 自社の内部にある強みを、さらに蓄積し、それをどう市場に展開すれば
良いかという意識が希薄です。
 SWOT分析等を通じて自社の強みを洗い出してはいるものの、それは
単なる営業ツールを作るという発想に留まっています。

 このような経営戦略では、もし運良く「ほったらかしでも売れてしまう
商品」にめぐり合ったとしても、長期的に組織力を向上させることはでき
ません。

 情報サービス業は商業系企業でなく、工業系・サービス系企業ですから、
その経営戦略はボトムアップ型プロセス型が適しています。
 情報サービス業のトップマネジメントは自社のエンジニアが持つ潜在的
な能力に注目し、組織力開発や人材開発の戦略を打ち出す必要があります。

●可能性は自分自身が持っている

 思い起こせば、バブル経済が崩壊した約10年前に、情報サービ産業では、
業態を改革し戦略的な思考で会社の方向性を考えなければいけないとの機
運が盛り上がったことがあります。

 しかし、その機運はいつの間にか下火になってしまいました。
 その後、公共投資の増加とその後のITバブルによって、情報サービス
産業は不況どころか産業界の中で一人わが世の春を謳歌することになって
しまったからです。
 そのような中で、危機感はいつのまにか薄れ、相変わらずのビジネス・
スタイルで、とうとう21世紀まできてしまいました。

 今の経営環境は、情報サービス業にとって自己改革し組織力を備える最
後のチャンスです。
 そしてそのチャンスを掴む可能性は外部ではなく、自分自身の中にある
ことを自覚する必要があると思います。

 そしてこれは一人一人のSEにも言えることなのです。

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■閑話休題

 我家の娘(小三)は、ずぅーと犬を飼いたがっています。
 私としては、飼育マニュアルを作成することと家族全員の賛成を条件に
してOKを出したのですが、母親の許可がなかなかでませんでした。
 娘の粘り強い交渉の結果、犬の世話はすべて娘がやることを条件によう
やく許可がおりました。

 娘は図書館で犬の飼育に関する本を何冊か借りてきて、ノートに飼育マ
ニュアルを作成中です。

 私は子供の頃、犬を飼っていたので犬が好きです。小学生の頃はコリー
(♀)、中学生からは紀州犬(♂)を飼っていました。
 犬がいる生活って本当によいですよね

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.025]PMBOKの甘く危険な香り

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■■□  [No.025]PMBOKの甘く危険な香り
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/09/19━
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●プロジェクトマネジメントブームに対する危惧

 去る9月2日と3日の二日間にわたって、財団法人エンジニアリング振興
協会と日本プロジェクトマネジメント・フォーラムの主催で「PMシンポ
ジウム2003」が開催されました。
 私は、初日はITトラックの会場責任者、二日目はセミナーの講師とし
て、このシンポジウムに参加しました。

 今回のシンポジウムは、参加者数が800人を超え、過去最高の入りとな
りました。プロジェクトマネジメント(以下、PM)の機運は年々盛り上
がっていると言えます。

 しかし、この状態に危惧の念を持つ方々も少なくありません。

 現在のPMは一種のブームであり、ブームである以上その熱は遠からず
冷めてしまうだろうという危惧です。

 なぜこのような危惧が生まれるかというと、現在のPMに対する熱心な
取組みは、過度な期待と誤解の上に成り立っていると思われるからです。
 関係者の間には、今のままでは過度な期待と誤解が失望に変わり、PM
が根付かない内に、忘れ去られてしまうだろうという懸念があるのです。

 特にPMBOKに対して、その心配があります。

 本日は、PMBOKを講義している者の立場から、PMBOKに対する
過度な期待と誤解を解く目的で、PMBOKを学ぶことの意義と危険性に
ついての私見を述べたいと思います。

●PMBOKを学ぶ意義

 先日の「PMシンポジウム2003」で日経BP社の谷島さんに「プロ
ジェクトマネジメントはなぜITで普及しないか」というタイトルで講演
をして頂きました。

 その講演の中で谷島さんは、「PMに関する記事を書くと、読者からネ
ガティブな反応がある。それも底深い根強い反発である。」と話されてい
ました。

 谷島さんは、これらの反発は大きく三つ分類できるとし、その二つめに
ついて以下のように説明されました。

   二つめはPMBOKを読んで納得できない人たちからの反発である。
   これらの人たちは、さらに二つに分けることができる。
   第一は、「これのどこが新しいのか」とういう反発である。特に製
  造業でTQCを手がけた人たちに多い。これらの人たちにはモダンP
  Mと従来のTQCの違いをわかりやすく説明しないと納得してもらえ
  ない。
   第二は、PMBOKを読んで怒り出す人である。「こんな能書きだ
  けでプロジェクトマネジメントはうまくいかない」という反発である。
  ベテランほど怒る。
   これにはメディアに責任がある。PMBOKをPMノウハウの決定
  版のように紹介してしまったからである。PMBOKは知識体系に過
  ぎない。具体的に何をすれば良いかが書いてあるわけではない。

 谷島さんの指摘の通り、PMBOKを呼んで怒り出すベテランがいるの
は事実です。私にも心当たりがあります。
 なぜベテランが怒り出すのかと言えば、PMBOKには当たり前のこと
しか書いてないからです。そこには画期的なものは何もありません。

 しかし、私の経験からすると、PMBOKを読んで怒り出すベテランよ
りは、PMBOKを高く評価するベテランの方が多いと思います。
 なぜ多くのベテランがPMBOKを評価するかと言えば、それらのベテ
ランはPMBOKを学ぶ意義を捉えることができたからです。

 意義としては、以下の二点です。

 一点めは、PMBOKを読むことで属人的なノウハウを他人に伝えやす
くなるということです。

 これは谷島さんも講演の中で話されていましたが、あるPMのベテラン
は、「PMBOKを読んで、今までの経験が体系的に整理できた。自分が
長年かけて蓄積したノウハウの教え方に気がついた。目からウロコが落ち
た。」とPMBOKを高く評価したそうです。
 これとまったく同じことを言ったベテランを私は知っていますし、実は
私自身もそう感じました。

 二点めは、PMBOKをきっかけにして、新たなノウハウが自分自身の
中から生み出されるということです。

 あるベテランのプロジェクトマネージャによると、新しいプロジェクト
に臨む際には必ずPMBOKを読んでいるそうです。
 そして、読みかえすたびに新たな発見があると言っています。

 私はこの話を聞いた時、映画監督のスティーブン・スピルバーグのこと
を思い出しました。
 スピルバーグ監督は、新しい映画を撮る前に必ず黒澤明監督の「七人の
侍」を観るそうです。その理由は、観るたびに新たな発見があるからだと
言っていました。

 あくまで個人的な感想ですが、PMのベテランやスピルバーグ監督は、
PMBOKや「七人の侍」自体から何かを学んでいるのではないように思
います。

 PMBOKや「七人の侍」といった優れた知的成果物に触れることで、
自分自身の中にある断片的な経験や知識が連結され新たなノウハウが生ま
れるのではないかと思います。
 長い間、潜在的に醸成されていた知恵が、PMBOKや「七人の侍」を
きっかけとして、ある瞬間に突然、顕在化するのではないかと思います。

 あくまで個人的な意見ですが、PMBOKは、PMのベテランが読んで
こそ真価が発揮されると思います。


●美しいものにはトゲがある

 次にPMBOKを学ぶことの危険性ついて言及しておきます。

 PMBOKは非常に美しい知識体系です。
 しかし、その美しさ故に、個人も組織も惑わされてしまう可能性があり
ます。

 まずは個人にとっての危険性の話です。

 PMのベテランは、プロジェクトは、のたくる大蛇のようなものである
ことを知っています。実際のPMはPMBOKのように美しいものではあ
りません。

 しかし、PM経験の少ない人の中には、PMBOKを読んだだけでPM
が分かったような気になってしまう人がいます。
 もちろんPMBOKは勉強することは良いことですし、PMPを取得す
るのは意義あることなのですが、魂の入っていない頭でっかちなPMPは
有害な存在であることを肝に銘ずるべきです。

 次に組織にとっての危険性の話です。

 PMBOK準拠のプロジェクトマネジメントシステムを導入することで
組織力がつくと安易に考えてはいけません。
 これを安易にやると形骸化した手順だけが残り、百害あって一利なしに
なります。

 PMは土壇場では個人のスキルに依存します。組織のPMプロセスにP
MBOKを取り入れるのは良いのですが、プロセス改善だけでは限界があ
ることを理解しなければなりません。

 PMBOKは、企業が抱えるすべての問題を解決する特効薬ではありま
せん。
 そのことをよく踏まえて、導入の際には経営戦略とリンクさせ、組織文
化や意識改革するつもりで取り組む覚悟が必要です。


●PMBOKは基本型である

 PMBOKはPMの知識体系として極めて優れていますが、あくまで基
本型であることを忘れてはいけません。

 先日、柔道の田村選手が世界柔道6連覇という偉業を成し遂げました。
 田村選手のような柔道の達人になるためには、まずは基本型を習得しな
ければなりません。
 しかし、基本型を覚えただけで実際の試合で勝つことができないのは言
うまでもありません。実戦を通じて経験を積む必要があります。

 そして経験を通じて自分なりの型を作っていく必要があります。
 まさしく「守・破・離」がPMにおいても大切なのです。

 【守・破・離】
   武道などにおいて以下の三段階で道を究めること
    守:教えを忠実に守る
    破:自分なりの発展を試みる
    離:教えを離れ独自の境地に達する


●おまけの話

 「PMシンポジウム2003」の講演において谷島さんが挙げたPMに
反発する分類の第一番めは「知らない人」でした。

   一つめは、そもそもPMBOKを代表とする「モダンPM」を知ら
  ない人である。数としてはこれが一番多い。
   現在、プロジェクトマネジメントは一種のブームになっているが、
  読者の書き込みを読むと、まだまだ世間には知られていないと実感す
  る。PMBOKの存在すら知らずに、記事の批判している人が多いの
  で困ってしまう。

 これは、私も実感します。
 つい先日、ユーザ系の某大手SIerでPMBOKの講師を務めました。
 参加者は30歳前半から40歳前半のまさしく現場の最前線にいるプロジェ
クトマネージャやプロジェクトリーダ達でしたが、参加者40名のうちPM
BOKの名前を知っていたのは、わずか数名でした。残りの方々は名前す
ら聞いたことがなかったようです。

 SEであれば、プロジェクトマネージャになる気がなくてもPMBOK
には一度、目を通しておいた方が良いと思います。
 まだPMBOKを読んだことがないという方は、これを機会に是非、読
んでみて下さい。

 読んでみて不明な点があったら、質問のメールは大歓迎です。


「PMBOK2000年版(日本語訳)」
PMBOK2000年版(日本語訳)

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■閑話休題

 私の住まいは東京の西武池袋線の沿線にあります。
 先日、この路線で踏み切り事故があり、電車が不通になってしまいまし
た。帰宅時間と重なってしまったため池袋の駅は大混乱でした。

 私は、東武東上線に乗って自宅に一番近い駅で降り、そこからバスで帰
るルートを選びました。
 電車はそれほど混んででなかったのですが、駅を降りてびっくり!
 バス停は、最後尾がどこかわからないほどの大行列で、バスに乗るまで
1時間以上かかってしまいました。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.024]上司について考える(2) ディレールメント

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■■□  [No.024]上司について考える(2) ディレールメント
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/08/29━
▼上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン バックナンバー
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●有能さが問題を引き起こす

 前回は、「ピーターの法則」をツールにして、問題上司が何故生まれる
かを考察しました。

 昇格により無能のレベルに達し、いつの間にか問題上司なってしまった
人々について考えてみたのです。

 しかし世の中を見渡してみると、問題上司とは無能のレベルに達した人
達ばかりではないことに気がつきます。

 実際には、まだ無能のレベルに達していない有能な上司が問題行動を引
き起こしているケースが少なくないのです。

 「自分は上司に恵まれていないなぁ」と感じている多くの方々の上司は、
決して無能ではなく有能な場合が多いのではないかと思います。

 そして、極めて深刻なのは、有能な問題上司が部下にもたらすダメージ
の大きさは、無能のレベルにある問題上司の比ではないということです。

●アナキンからダース・ベイダーへの変貌

 「スターウォーズ」とういう映画があります。

 ご存知の方も多いと思いますが、「スターウォーズ」の中には、ジェダ
イの騎士という正義の戦士が登場します。

 このジェダイの騎士達は、生まれ持っての素質と過酷な訓練によって、
超人的な肉体と精神を有しています。

 彼等のパワーの根源は「フォース」と呼ばれるものです。ジェダイの騎
士として優秀であればあるほど、この「フォース」の持つパワー強く引き
出して利用することができます。

 しかし、この「フォース」には暗黒面があり、優秀なジェダイの騎士で
あるほど、この暗黒面に引き込まれやすいという傾向があります。

 「スターウォーズ エピソード1~3」に登場する主人公のアナキン・
スカイウォーカーは、優秀であるが故に「フォース」の暗黒面に引き込ま
れ悪の権化であるダース・ベイダーになってしまいます。

 優秀な人材が昇進してポジションを得るうちにいつの間にか、問題上司
に変貌してしまうのは、あたかもアナキンがダース・ベイダーに変わって
しまったかのようです。

 これは、人に高い業績を生み出させる根源になっている要素には「フォ
ース」と同じく、暗黒面があるからではないかと考えられます。

 例えば、自信も過剰になると傲慢や偏執になりますし、統率力も強すぎ
ると支配や抑圧になってしまいます。

 つまり、優秀で高い業績を上げている人だからこそ陥りやすい罠が存在
するのです。

●コンピテンシーとディレールメント

 高い業績を上げる人達の行動特性を「コンピテンシー」と言います。
 最近の人材開発にはこのコンピテンシーを取り入れる企業が多くなって
きました。
 コンピテンシーをモデル化し、それを見習わせることで人材育成につな
げようとするものです。

 マネージャ育成にも、このコンピテンシーモデルは利用されています。

 しかし、有能で高い業績を上げてるマネージャ達にはコンピテンシーだ
けでなくマイナスの行動特性があることが知られています。

 それは、例えば以下のような行動特性です。

  ・部下の意見や行動に対して常に否定的な反応をする
  ・トラブル等が発生すると、悪いのはすべて部下だと考え自省しない
  ・完璧主義者で部下の些細なミスを許せない
  ・公の場で部下を叱責し、相手の自尊心を傷つける
  ・公私に渡り部下のすべてを自分の支配下に置こうとする
  ・批判されると、過剰な自己防衛反応を示す
  ・人に対して無関心で、部下の面倒をみない
  ・部下の失敗を感情的に叱責する
  ・常日頃から部下のモチベーションを下げる言動がある
  ・細かいことまでにいちいち口をはさみ部下に任せることができない
  ・何事も、部下に任せ放しでマネジメントを放棄している

 このように優秀なマネージャが陥りやすいマイナスの行動特性のことを
「ディレールメント(レールを踏み外す)」と言います。

 読者の皆さんが問題上司であると感じるマネージャ達には、このディレ
ールメント特性があるのではないでしょうか。

 最近の人事管理の現場では、コンピテンシーを習得するようりもディレ
ールメントを排除する方が、費用対効果が高いという意見があるようです。

 年功序列が崩壊し、SEの業界にも成果主義による賃金制度が採用され
るようになっています。
 このような制度により上司の権限はますます増大化の傾向にあります。

 トップマネジメントは、問題上司の存在が組織の発展を阻害する大きな
要因であることを理解し、マネージャ達のディレールメントを排除する仕
組み作りをする必要があります。


 ★ディレールメントについて、もう少し詳しく知りたい方には、以下の
  書籍がお薦めです。

「同僚と10倍差がつく職場の心理学」
同僚と10倍差がつく職場の心理学

●我がメンターからの忠告

 では、ディレーメントを防ぐにはどうすれば良いのでしょうか?

 組織レベルでは、多面評価やメンタリングを導入することが対策として
有効と言われています。

 しかし何よりも有効なのは、個人個人が自分自身が持つディレールメン
トを自覚することです。

 誰でもディレールメント特性を持っていることを認識し、自分は他者と
は違うと思わないことが大切です。

 最後に、私のメンター(指導者)から私に対する忠告を紹介して、今回
の締め括りにしたいと思います。

(我がメンター曰く)

   人は誰にでも長所と短所がある。
   組織の中でポジションが上がると、その人の持つ長所が増幅され組
  織や他者にプラスの効果を及ぼすが、同時に短所も増幅されてマイナ
  スの効果をもたらす。
   ポジションが上がった際には、天狗にならず自分の持つ短所をよく
  把握し、それが組織や周りの人々に悪影響を及ぼさないように心する
  ことが大切である。

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■閑話休題

 PMシンポジウム2003に多数の申し込みをありがとうございました。
 お陰様を持ちまして満員御礼にて受付を終了致しました。
 また、私が講師を担当するセミナーにも多数のお申し込みを頂き、本当
に感謝致します。
 セミナー当日にお会いできることを楽しみにしております。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.023]上司について考える(1) ピーターの法則

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/08/15━
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●はじめに

 このメルマガは、タイトルの通り「上司に恵まれないSEのために」発
行しています。

 「良い上司に恵まれていなくても、楽しく充実したSE人生をおくるに
は、どうすれば良いのか」について、少しでもヒントになることを書きた
いというのが、このメルマガの基本的なテーマです。

 良い上司に恵まれていない状態は、言わば変えようのない外部環境であ
り、そのような逆境にくじけることなく、強く生きていくために「自分戦
略」を考えましょうという提案をしています。

 従って、変えようのないことに触れても仕方ないので、これまでは上司
の問題については、あまり言及していませんでした。

 しかし、何故、問題上司が生まれてしまうのか、また問題上司のどこが
問題なのかを考察することもまた、楽しく充実したSE人生を送るために
役に立つと思います。

 今回と次回にわたって、問題上司について考えてみたいと思います。

●「ピーターの法則」について

 ご存知の方も多いと思いますが、世の中には「ピーターの法則」という
ものがあります。

 これは、1969年にカナダの社会学者ローレンス・ピーター博士が、その
著書「ピーターの法則-創造的無能のすすめ-」で発表したものです。

 「ピーターの法則」の主な内容は以下の通りです。

   ■階層社会にあっては、その構成員は(各自の力量に応じて)それ
   ぞれ無能のレベルに達する傾向がある。

   ■時がたつに従って、階層社会のすべてのポストは、その責任を全
   うできない構成員によって占められるようになる傾向がある。

   ■仕事は、まだ無能のレベルに達していない構成員によって遂行さ
   れる。

 企業等の階層社会においては、構成員に対して昇進圧力がかかり、出世
することが求めらます。
 構成員が上昇志向を持ってより上位ポストを目指して働くことが、組織
を活性化し推進する原動力になると考えられているからです。


 そんな中で、組織の目標に対して貢献した優秀な構成員は評価され、昇
進していきます。

 しかし、すべての仕事に対応できるような能力を持ったスーパー人材は、
そうそういるものではありません。

 多くの人材は昇進によって、いつの日か自分自身の力量を超えるポスト
に就いてしまい、無能のレベルに到達します。
 そして、無能のレベルに達した段階で、その人材の昇進はストップし、
そのポストに留まることになります。

 さて、これが繰り返されていくことを想像してみて下さい。

 恐ろしいことに、やがて組織のすべてのポストは、無能な構成員によっ
て占められるようになってしまうのです。(一般に企業の寿命が30年と言
われる原因も、ここにあるのかもしれませんね。)


 従って、ある組織が何らかの価値を世の中に生み出している場合、その
組織を推進しているのは、まだ無能のレベルに達していない人材であると
いうことになります。

 この法則の通りだとすると、無能のレベルに達した部長よりも、発展途
上の新入社員の方が、組織に対して貢献しているということになりますね。
 何とも身につまされる話ではありませんか。

「ピーターの法則」
ピーターの法則

●SE業界に見られる「ピーターの法則」

 この「ピーターの法則」はSEの業界でもよく見られると思います。

 多くの企業に見られるSEのキャリアパスは極めて単線的です。

 即ち、
  (1) 最初は、見習いとしてコーディングやプログラミングを担当する。

  (2) プログラミングが一人前にできるようになると、徐々に上流工程
    を担当するようになる。

  (3) プロジェクトの経験を重ねていく中で、チームリーダーやプロジ
    ェクトリーダーを任されるようになり、やがてプロジェクトマネ
    ージャになる。

  (4) プロジェクトマネージャとして実績を積むと、ラインマネージャ
    となり予算管理や労務管理に関する責任を負うようになる。

  (5) ラインマネージャとして実績を上げると、役員となり企業経営に
    携わるようになる。

 このようなキャリアで人生を過ごすのは、もちろん悪いことではありま
せん。素晴らしい人生だと思います。

 しかし、SEである読者の皆さんは、こんな人生に魅力を感じますか?
 (魅力を感じるのが悪いというわけではありませんよ。念のため。)

 私の身近でも、多くの優秀なSEがこのようなキャリアパスを辿ってい
きました。彼らは、所得には比較的恵まれているので、ひょっとすると満
足な人生を送っているのかもしれません。

 しかし、私の目からは、彼らがハッピーであるようには見えないのです。

  ■テクニカルな分野では一流の腕前を持ちながら、対人折衝が苦手で
  顧客からの評判を落としてしまったプロジェクトマネージャ。

  ■SEとして顧客からも社内からも評価が高かったのに、管理職にな
  ってからは、部下からの不平や不満が絶えないラインマネージャ。

  ■管理職になって部門の採算責任や労務管理責任を持たされるのが嫌
  になって退職してしまったプレイングマネージャ。

 「ピーターの法則」が、問題上司を生み出す原因のひとつであるのは疑
う余地がありません。

 管理職で無能のレベルに達してしまった人材は、確実に問題上司になっ
てしまうのです。

●ノーベル賞を受賞した田中さんの偉大さ

 日本の多くの企業では、ラインにのって出世することがサラリーマンの
花道という固定観念があります。

 ラインから外れることは不名誉なことであり、ラインマネージャとスタ
ッフであるスペシャリストの間では、収入にも大きな差がついてしまいま
す。

 かくして、日本の多くのサラリーマンは、日々無能のレベルに達するた
めの努力を重ねることになるわけです。

 そんな日本企業にあって、ノーベル賞を受賞した田中さんが、昇進を断
って研究職に留まったのは本当に尊敬に値します。

 スペシャリストである田中さんが果たした貢献は、ラインマネージャが
束になってもかないません。

 田中さんが階層社会の圧力に負けて昇進していたら、あの成果は生まれ
なかった訳ですからスペシャリストにとって「ピーターの法則」を回避す
ることがいかに大切かがわかります。

●「ピーターの法則」を回避するにはどうするか

 SEというスペシャリストの集団である情報サービス業やソフトウエア
ベンダーにおいては、なんとしても「ピーターの法則」を回避しなければ
なりません。

 個人的に思う「こうなればいいなぁ」という姿は、以下の通りです。

  ■有能な人材はラインのマネージャであるべしという固定観念や企業
  文化を払拭する。(昇進圧力をなくす。)

  ■ポストと処遇を連動させることを止めて、たとえ平社員であっても
  優れた成果を生み出すプロフェッショナルには役員クラスの給与が支
  払われる。

  ■ポストと名誉が切り離れ、優秀なスペシャリストは優秀なラインマ
  ネージャと並び称されるようになる。

 しかし、上記のような理想は、縦型社会に馴染んだ日本の企業で実現す
るには、かなり骨の折れることです。

 個々の努力は大切ですが、理想を実現するには、やはりトップマネジメ
ントの変革意欲が最も重要です。

 ただ困ったことに、トップマネジメントには、「スペシャリストでいよ
うとする人材は利己主義者であり、昇進意欲があり帰属意識の高い人材よ
り組織貢献が低い」という誤った認識を持った人が多いように思われます。

 確かにスペシャリストは組織に対する帰属意識よりも、自分の専門領域
に対する帰属意識の方が強いのは事実であると思います。

 しかし、スペシャリストは利己主義者ではありません。組織に対する貢
献の形が違うだけであって、スペシャリストが組織の目的や目標に対して
果たす貢献の度合いはラインマネージャに劣るものではありません。

 組織を育成しているのはラインマネージャだけではありません。
 優秀なスペシャリストは、組織の知識ベースや人材育成に多大な貢献を
しています。

 本来スペシャリストは組織内の昇進よりも自分の専門領域を極めたいと
いう欲求の方が強いはずです。

 そしてスペシャリストは、自分の専門領域で世の中に貢献を生み出す時
に、最大の力を発揮するように思います。
 これは昇進意欲よりも組織を推進する大きな力になります。

 なによりも大切なのは、トップマネジメントが、優秀なスペシャリスト
人材は企業を推進する原動力であること理解し、スペシャリストの働きに
心から敬意を払うことです。

 スペシャリストの多くは企業に対する忠誠心は低いかもしれません。し
かし同じ目的を達成するための力強いパートナーなのです。
 昇進を第一とし組織に同化している人材よりも、はるかに頼りになる存
在です。

 トップマネジメントが、スペシャリスト人材に対して、昇進圧力をかけ
るのを止めることを切に願います。
 それが、「上司に恵まれないSE」を救い、組織を真に活性化させるこ
とになると信じるからです。

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■閑話休題

 先日、「人生ゲーム」を買ってきて子供達と一緒に遊びました。
 スペシャリスト・コースかビジネス・コース(サラリーマン・コース)
のどちらかを選んでからスタートします。

 スペシャリスト・コースにはプログラマーもあります。(スペシャリス
トになれないとフリーターになってしまいます。なかなか含蓄に富むゲー
ムですね)

 ゲーム開始前に、小学校三年生の娘と小学校一年生の息子に、それぞれ
の職業について説明しました。
 娘が息子に「サラリーマンならお父さんと同じ仕事だね」と言ったせい
か、息子は常にビジネス・コースに進んでしまいます。

 常にスペシャリスト・コースを好んで進む私としては、複雑な心境です。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.022]EA(Enterprise Architecture)の思想

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■■□  [No.022]EA(Enterprise Architecture)の思想
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/08/01━
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●EAとは何か

 前回、日本政府がソフトウエア開発にエンジニアリングを導入しようと
している動きを紹介しました。
 今回も前回に引き続き、政府が力を入れて進めている施策について紹介
します。

 今回は、EA(Enterprise Architecture)の話です。

 EAの概念は米国で誕生し、米国政府が連邦政府のシステムを統合化す
る目的で推進しています。

 米国政府は、機関をまたがる業務プロセスを統合化し情報システムの投
資対効果を最大限にするために、1999年9月に「連邦政府エンタープライ
ズ・アーキテクチャ・フレームワーク(Federal Enterprise Architecture
Framework)」を作成しました。

 そして、2002年2月にエンタープライズ・アーキテクチャ・プログラム
管理局(FEAPMO:The FEA Program Management Office)が設立さ
れ、FEA開発に着手しています。


 日本においては、「e-Japan戦略」に基づいて、電子政府を構築
する中でEAの必要性が認識されはじめました。

 行政システムに限った話ではありませんが、これまでの情報システムは、
それぞれの現場や場面のニーズに沿って個別に開発・運用されてきました。

 それぞれのシステムが個別に稼動しているうちは良かったのですが、電
子政府のように、すべてを連携させようとすると、相互接続性の点で大き
な問題が発生します。

 つまり、縦割り行政の中で継ぎはぎで開発されてきた情報システムを統
合するために、システムに「アーキテクチャ」という「思想」を導入する
ことが必要になってきたのです。

【補足説明】

 EAをよく理解するには、まず「アーキテクチャ」の概念を知ることが
必要です。

 ANSI/IEEE 規格 1471-2000による「アーキテクチャ」の定義
は以下の通りです。

  システムのコンポーネント、コンポーネント同士と環境との間の関係、
  およびその設計と進化を支配する原理に体現された、システムの基本
  的な構造 。

 「アーキテクチャ」に関する理解を深めたい方には、以下の本をお薦め
します。

「職業としてのソフトウェアアーキテクト」
職業としてのソフトウェアアーキテクト

●部分最適化から全体最適化へ

 EAを簡単に言ってしまうと、組織を「部分最適化から全体最適化」す
るということです。

 従来の情報システムの多くは、部分最適化に留まっていました。EAは、
バラバラで継ぎ接ぎだらけのシステムを最適にかつ美しく統合するための
設計図とルールと捉えることができます。

 従って、EAには業務オーナーのビジョンと意思決定が極めて重要です。
スコープをどこに設定するかも業務オーナーの意思によります。


 そして全体最適化を実現するために大切なのは、システムはモノではな
いということを理解することです。

 すべてのシステムは、それだけで全体を実現していません。コンピュー
タシステムは、経営や社会などのシステムの一部であり、それだけで完結
しているわけではありません。

 このことは、日本政府がEAで利用している機能モデルを見ると良く理
解できます。

        図1.業務全体の機能モデル

  ┌─┬─┬─┐ ┌─┬─┬─┐ ┌─┬─┬─┐
  │A1│A2│A3| │B1│B2│B3| │C1│C2│C3|
  ├─┼─┼─┤ ├─┼─┼─┤ ├─┼─┼─┤
  │ │A│ | │B4│B│B5| │C4│C│C5|
  ├─┼─┼─┤ ├─┼─┼─┤ ├─┼─┼─┤
  │A4│ │A5| │B6│B7│B8| │C6│C7│C8|
  └─┴─┴─┘ └─┴─┴─┘ └─┴─┴─┘
         \   ↑   /       
  ┌─┬─┬─┐ ┌─┬─┬─┐ ┌─┬─┬─┐
  │D1│ │D2| │A│B│C| │F1│F2│F3|
  ├─┼─┼─┤ ├─┼─┼─┤ ├─┼─┼─┤
  │ │D│ |←│D│X│F|→│ │F│F4|
  ├─┼─┼─┤ ├─┼─┼─┤ ├─┼─┼─┤
  │D3│ │D4| │G│H│I| │F5│F6│F7|
  └─┴─┴─┘ └─┴─┴─┘ └─┴─┴─┘
         /   ↓   \       
  ┌─┬─┬─┐ ┌─┬─┬─┐ ┌─┬─┬─┐
  │G1│G2│G3| │H1│H2│H3| │I1│ │I2|
  ├─┼─┼─┤ ├─┼─┼─┤ ├─┼─┼─┤
  │ │G│ | │H4│H│H5| │ │I│ |
  ├─┼─┼─┤ ├─┼─┼─┤ ├─┼─┼─┤
  │G4│G5│G6| │H6│H7│ | │I3│ │I4|
  └─┴─┴─┘ └─┴─┴─┘ └─┴─┴─┘

 例えば、Xが企業全体の業務だとすると、Aは人事給与、Bは財務会計、
Cは購買管理・・・というふうにモデル化されます。そしてさらに、Aの
人事給与は、A1の人事評価、A2の給与支払・・・というふうにモデル化さ
れます。

 この図を見ると、システム構築は単なるモノづくりではないことが理解
できると思います。

(ちなみに、この図は仏教の「曼荼羅(まんだら)」にそっくりなことか
ら「マンダリックス」と呼ばれています。)

●政府のEAに対する具体的取組み

 EAは以下の4つのアーキテクチャで構成されます。

  ・BA(ビジネス・アーキテクチャ)
  ・DA(データ・アーキテクチャ)
  ・AA(アプリケーション・アーキテクチャ)
  ・TA(テクノロジー・アーキテクチャ)

 またEAを形成するために以下の5つの参照モデルが提供されます。

  ・PRM(パフォーマンス参照モデル)
  ・BRM(ビジネス参照モデル)
  ・SRM(サービスコンポーネント参照モデル)
  ・DRM(データ参照モデル)
  ・TRM(技術参照モデル)

 政府は、今年の3月からEAを使った実験プロジェクトを行なっていま
す。
 まず第一弾として、経済産業省の図書館システムをEAで構築しました。

 ITベンダーにとっては、RFP(提案依頼書)がEAベースで作成さ
れるようになると、対象システムの内容がわかり易くなります。
 新規参入者にも体系的に対象システムが理解できるようになり、提案を
しやすくなるというメリットがあります。
 また、得意分野別に協業を組みやすくなり、領域別フェーズ別の参加が
できるようになることが期待されます。

 これまでのように大手メーカに独占された政府調達案件に、小規模な会
社やベンチャー企業が参入できるチャンスが生まれます。


 政府は、今回の実験プロジェクトで開発されたツールや手法は、すべて
公開する予定です。
 そして、これらのツールや手法は、政府調達の中心人材となるCIO補
佐官やITコーディネータに使わせることでブラッシュアップしていく意
向のようです。

 Webサービス等の普及により、今後あらゆるシステムを連携させる時
代が来ることが予想されます。

 電子政府が成功するかどうかは、また別の話ですが、「アーキテクチャ」
の思想とともにEAのフレームワークがIT業界に普及する可能性は高い
と考えています。

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■閑話休題

 先日、「マトリックス・リローデット」を観ました。

 この映画の中で、主人公のネオが仮想現実である「マトリックス」を生
み出した人物と会うシーンがあります。
 ネオが「お前は誰だ?」と尋ねたところ、この人物は「私は“アーキテ
クト”である。」と答えました。

 「マトリックス」を生み出したのが、政治家や企業家ではなく“アーキ
テクト”であるという設定に、思わず感心してしまいました。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.021]楽しいソフトウエアエンジニアリング

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●ソフトウエアエンジニアリング導入の動き

 最近、ソフト開発にエンジニアリングを導入しようとする動きが盛んに
なっています。
 つい先日はJISA(情報サービス産業協会)が主催する「ソフトウエ
アプロセスエンジニアリングシンポジウム」が開催されました。

 また、2003/07/08の日本経済新聞には以下のような記事が一面に掲載さ
れました。

  ■経済産業省は企業や官庁で続発するシステムトラブルを防止するた
  め、システムを動かすソフトウエアの開発工程の標準化に乗り出す。

  ■2004年度に産業界と共同で専門研究機関を新設、ミスが起こりにく
  く効率の良い開発工程を確立し、標準モデルとする。

  ■モデルができれば、システム統合も容易になる。ソフトの信頼性向
  上で、国全体の産業競争力を高めるのが狙いだ。

  ■開発工程の標準モデルには、どのタイミングでバグを発見するテス
  トを何回実施するかといった決まりを盛り込む。設計図の書き方や用
  語の意味も統一する。

  ■ソフト開発会社の多くは技術者の経験に頼ってソフトを作っており、
  欧米に比べ工程の標準化で後れを取っている。

  ■経産省は完成したモデルを一般公開し、普及を促すため官公庁がシ
  ステムを購入する際の条件にすることを検討している。

  ■経産省がソフトウエア開発工程の標準化に乗り出すのは、相次ぐシ
  ステムトラブルに強い危機感を持っているためだ。

  ■トラブルによる被害は、銀行業務の停止から株式市場の混乱、航空
  機の発着不能、厚生年金の過支払いまで多岐にわたり、経済や社会生
  活を揺さぶっている。

  ■ソフトウエアの需要が増えるにつれて経験の浅い技術者の出番が増
  えているが、標準的な開発工程が未確立なため、ミスが多発している。

  ■「職人芸に頼る前近代的な製作方法から、欧米のように標準化され
  た開発工程による大量生産に脱皮すべきだ」(経産省)

  ■経産省が設置する新機関の仮称はソフトウエア・エンジニアリング
  センターで、同省の既存の外郭団体を衣替えするか、非営利組織とし
  て新規に立ち上げる。

 この記事の内容や表現には一部、違和感を覚えるところがあるのですが、
個人的な意見としては、ソフト開発にエンジニアリングを導入することは
非常に重要なことだと考えています。

●ソフトウエアエンジニアリングに対する現場SEの反応

 しかし、私の身近にいるSEには、このような動きは必ずしも評判がよ
くありません。

 CMMレベル3を取得し「プロセス改善」や「ソフトウエアエンジニア
リング導入」を推進している大手SI企業で働いている知り合いのSEは
以前に比べて仕事が面白くなくなってきたと言っています。

 またJISAのソフトウエアプロセスエンジニアリングシンポジウムに
参加したSEは、「自分にはまったく興味の持てない話ばかりだった。こ
のシンポジウムは自分のような現場のSEが参加しても無意味で、経営者
や管理職が参加すべきだったと思う。」と言っています。

 この二人のSEは、けして斜めに構えている人間ではありません。技術
力が高く、お客さんの評価が非常に高い人達です。

 頭の良い彼等は、エンジニアリング導入の必要性について、頭ではちゃ
んと理解しています。
 しかし、身体が拒否反応を起こしているのです。

 彼等は、ソフトウエアエンジニアリングは技術者の仕事ではなく管理者
の仕事と考えているようです。
 またソフト開発にエンジニアリングが導入されると型にはまった仕事ば
かりになってしまう上に、管理強化されてしまうという印象を抱いている
ようです。

 おそらく、トップマネジメントや企業内でエンジニアリングの導入担当
になっている人が、彼等の話を聞くと、「まだまだ現場のSEは意識が低
くて困るなぁ」ということになるのでしょうね。

 確かにそういった側面はあると思うのですが、ここにはそれだけで簡単
に片付けてしまってはいけない根の深い問題があると思います。

 エンジニアリング導入を単に組織の仕組み作りの面だけで捉えてしまっ
ては、ISO9001に基づいた品質マネジメントシステムやPMBOK
を取り入れたプロジェクトマネジメントの仕組みがうまく機能していない
のと同じような結果に終わってしま可能性があります。

 特にトップマネジメントは、このような現場のSEの感覚をよく理解す
ることが大切です。
 エンジニアリングを導入するのであれば、組織レベルで止まるのではな
く個人のレベルまで掘り下げて推進する必要があると思います。

●ソフトウエアエンジニアリングに対する私の意見

 さて、私がソフトウエアエンジニアリングを現時点でどう捉えているか
という話をします。(あくまで現時点でという前提です。)

 私のメンター(指導者)の一人に、製造業の現場からソフト業界に入ら
れたAさんがいます。

 Aさんは大手精密機器メーカに勤務していた経歴をお持ちで、Aさんが
勤務されていた時に、このメーカは品質管理の賞であるデミング賞を受賞
しています。
 Aさんは、この時に中心的な役割を担われています。

デミング賞

 Aさんは、「エンジニアリング」や「プロセス改善」という言葉こそ使
いませんでしたが、十数年前からソフト開発のあり方を改革する必要性を
述べられていました。

 Aさん曰く

   製造業の生産現場からこの業界に移って、まず驚いたのが「ソフト
  にはバグがあって当たり前」という感覚ですね。今では事情がわかる
  ようになったけれど、最初はなかなか理解できませんでした。
   でも、いつまでもそれを当たり前にしていてはよくないと思います。
  いつの日にか「バグ・ゼロ」を実現する志を持つこと、そしてそのた
  めの行動を日々起こすことが大切だと思います。

            * * * * * *

   「バグ・ゼロ」を実現するにはどうすればよいと思いますか?
   仮に、バグの多いプログラマーがいたとして、彼の作るプログラム
  の品質を上げるためには、どうすればよいでしょう?上司が彼を呼び
  つけて懇々と説教すれば、心構えが変わって品質が向上するのでしょ
  うか?
   少なくとも製造業の現場ではそんなことはしません。製造工程だけ
  でなく設計工程まで遡って改善策を考えます。

            * * * * * *

   以前に勤務していた会社と競争相手の会社では、製品の精度を出す
  能力に格段の差がありました。こちらが経験10年以上のベテランをも
  ってして出せる精度を、先方は新入社員が簡単に出していました。
   この差はいったい何なんだろうと調べてみると、原因は生産技術の
  違いにあることがわかりました。

   こちらの工場では皆が一生懸命にモノづくりに専念していました。
  それに対して競争相手の工場には、工程の最適化や新しい生産手法や
  治具の開発などに積極的に取り組んでいる技術者が何人もいました。
   つまり、それらの技術者は、モノではなく「工場」を開発していた
  んですね。
   これから先、ソフト開発にも、そういう技術を導入することが重要
  になると思います。

 さて、私には、この「工場を開発する」という仕事は、とても楽しそう
でやりがいのある仕事のように感じられます。
 必ずしも創造性を奪われ誰かコントロールされてしまうことではないよ
うに思います。

 取り組み方によっては、現場のSEにとっても楽しいソフトウエアエン
ジアリングがあるような気がします。
 これは、しょせんSEではない私だからそう思うのでしょうか。

 皆さんはどう思われますか?

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■閑話休題

 来週から夏休みをとって家族で帰省します。

 私の田舎は瀬戸内海に面した山口県の小さな市で、実家から歩いて3分
のところに海水浴場があります。
 子供の頃は、ジュークボックスから流れるヒット曲や人々の歓声が聞こ
えてきたものですが、今は訪れる人も少なくなって寂しくなりました。
 たくさんあった海の家も今では二軒くらいしかありません。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.020]ダライラマの教えと自分戦略

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■■□  [No.020]ダライラマの教えと自分戦略
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/07/04━
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●ダライラマ法王の教え

 先月の日本経済新聞「私の履歴書」は、バイオ研究で有名な(株)林原
の林原健社長でした。

 林原社長は、この中でチベットのダライラマ法王を日本に招いた際のエ
ピソードを紹介しています。

  法王との対話の中で、これから何を目標にすれば良いかと尋ねたとこ
  ろ、「自分の好きなことだけをしても、それが知らず知らずのうちに
  世の中の役に立つようになるまで修行しなさい。」との教えを頂いた。
  (手元に原文がないので、多少ニュアンスが違うかもしれません。)

 私は、ダライラマ法王に傾倒しているわけでも信仰心があるわけでもあ
りませんが、これは本当に素晴らしい教えだと思いました。

 この教えをポジショニングマップで表してみましょう。

      【ダライラマ法王の教えのポジショニングマップ】

           「世の中」の役に立つこと          
                ↑                
                │                
             C  │   A            
 好きではないこと       │        好きなこと   
(我慢しながらやる)←─────┼─────→(楽しみながらやる)
                │                
             D  │   B            
                │                
                ↓                
           「世の中」の役に立たないこと        

 皆さんが今やっている仕事は、どの領域にあてはまりますか?
 ダライラマ法王の教えは、言うまでもなくAの領域ですね。

 自らの意志と努力でこの領域に達した人は、賞賛に値します。
 周りの人々の導きによりこの領域のいる方は、恵まれています。本当に
ありがたいことですね。心から感謝しましょう。

 でも実際は、CまたはDの領域にいる人が多いのではないでしょうか?
 また、Cの領域にいる人も「世の中」のスコープを広く取ると、Dの領
域になってしまう場合があるかもしれません。

 つまり自分の所属組織というスコープでは役に立っているが、スコープ
を社会全体と考えると必ずしも役に立っていないというケースです。
(部分最適ではあるが、全体最適ではないということです。)

 所属組織の利益のためだけに好きではない仕事を我慢しながらやってい
る人はDの領域にいることになります。

 さて、Aの領域に達するには、どうすればよいのでしょうか。

 ダライラマ法王の教えを実践する上では、重要なポイントがあります。
 それは、心の在りようとして、まず横軸方向を左から右に進むというこ
とです。

 D領域にいる場合は、もちろん「D→A」を目指すのですが、気持ちと
しては「D→A」や「D→C→A」ではなく、「D→B→A」ということ
です。

●自分戦略策定の順番

 この順番はとても大切だと思います。
 なぜなら、この順番こそが自分を自身を動機付けし、行動を促すコツだ
からです。

 私は、自分戦略策定において「真の価値観を明確にする」→「自分が持
つ強みを考える」→「時流を分析する」という順番で策定することが大切
だ主張していますが、この背景には上記の考えがあります。

【ちょっと補足です】

  以前、読者の方からファーストステップである「真の価値観」がなか
 なか発見できないという意見を頂きました。
  必ずしも、この順番にこだわらなくてよいのではないかという御意見
 でした。

  確かにその通りで、自分戦略策定のフレームワークは人それぞれでよ
 いと思います。自分にとって使いやすいものがベストです。
  ただ、個人的には、やはり上記の順番を意識することが大切だと考え
 ています

  私は自分戦略策定は、仮説と検証の繰り返しです。
  最初から明確な「真の価値観」にたどり着けなくても、プロセスのサ
 イクルを繰り返して近づいていけばよいと思っています。

●「楽しいこと・好きなこと」を貢献につなげるのが「自分戦略」

 そして、自分にとって楽しいことを、いかに「世の中」に対する貢献に
結びつけるか、これを考えることで、さらなる動機付けができるのです。

 先日、「自分戦略」の本家本元である@ITの藤村社長とお会いする機
会がありました。
 「自分戦略」という言葉を勝手に使用している私としては、開祖に会う
ようなもので、とても嬉しくまた有意義な時間を過ごすことができました。

@IT自分戦略研究所のサイト
 http://jibun.atmarkit.co.jp/

 藤村社長は、@ITのサイトの中で「自分の内部にあるビジョンを、社
会や職場という現実の場を通じて実現するための方法を戦略と呼ぼうと思
う。」と述べられています。

 まさしく「自分戦略」の真髄がここにあります。

●ある週末起業家の事例

 ここで、私の知り合いの「自分戦略」実践事例を紹介します。
 「週末起業家」の事例ですが、「自分戦略」の在り方という点でSEの
方にも参考になると思います。

 紹介するのは、ビーシーワークスの田中さんです。
 田中さんとは一度お会いしただけですが、その後メールをやり取りして
いる間柄です。
 田中さんが発行されているメルマガで、私のメルマガを紹介して頂いた
こともあります。

 田中さんのご本業は、医療サービス会社でのウェブマスターです。
 「週末起業家」として、遠方から朝早く釣りに来る人や、初めての釣り
場で情報が無くて困っている人に、インターネットで遊漁券(釣り券)を
販売するビジネスを展開されています。
 同じ釣り好きの仲間や漁協の方々に対してサービスを提供し、将来的に
は自然を守る活動につなげていこうとされています。

ビーシーワークスのサイト

 田中さんのサイトやメルマガを読むと、田中さんが本当に活き活きと行
動されているのが伝わってきます。


 田中さんのビジネスは、つい先日、日経BP社のサイト「Small Biz」で
週末起業フォーラム代表の藤井孝一さんに紹介されました。

 「社会貢献という側面があれば、週末起業家は強くなれる」
(注:この記事を読むためにはユーザ登録(無料)が必要です。)

 この中で、藤井孝一さんは「週末起業家は、まず好きなことをやるのが
ポイント。好きなことであれば、継続できるし、いろいろなアイディアが
沸いてくる。さらに社会貢献というビジョンを持つことで充実感と生き甲
斐を持つことができる。」と解説しています。

 藤井さんの言葉は、SEにも、そのまま当てはまると思います。

●SEにとって「楽しいこと・好きなこと」は何か

 All About Japan ソフトウエアエンジニアガイドの好川さんが、最近の
メルマガで「エンジニア人生を楽しむ」という内容を書かれていました。

All About Japan ソフトウエアエンジニアのサイト

 「Tech総研」のサイトにある「エンジニア人生を楽しみたい」とい
うメッセージと堀場雅夫さんの著書にあるメッセージを取り上げて、「エ
ンジニアは、楽しんでこそ初めて良い仕事ができる。楽しめない人はいく
ら叱咤激励されても疲れるだけで成長しないようにと思う。」と述べられ
ています。

 私もまったく同感です。
 エンジニアであるSEにとって何が「楽しいこと」なのか、ここを外し
てしまうとSEとしてのアイデンティティが失われます。
 これはSEが自分自身を動機付ける上で、とても重要なポイントです。

 自分戦略策定は、SEである自分にとって何が「楽しいこと・好きなこ
と」なのかを考えるところから始めて下さい。

 そこから生まれる答えは、最近流行のSE向け説教本やサバイバル本で
述べられていることとは、随分と違っているかもしれません。

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■閑話休題

 暗い話題で申し訳ありませんが、ここ最近、幼い子供が被害者になる事
件が目につきます。
 このようなニュースに接すると、何とも表現できない堪らない気持ちに
なります。

 幼い子供に危害を加える人間は絶対に許せません。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.019]ソフトウェア特許は天使か悪魔か?

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●OBCのソフトウェア特許に関する記事

 2003年6月16日の日本経済新聞にオービックビジネスコンサルタントの
特許取得に関する記事が出ていました。以下はその記事の抜粋です。

 ■業務用ソフト大手のオービックビジネスコンサルタント(OBC)は
 特許庁から、パソコンのファンクションキーに機能を割り当て操作性を
 向上する仕組みについて1999年末にさかのぼって基本特許が認められた。
 
 ■同じ仕組みは競合する業務用ソフトの大半で使われており、市場シェ
 アが塗り替えられる可能性がある。

 ■OBCはピー・シー・エーや応研など競合7~8社と特許使用に関しロ
 イヤルティー契約交渉を進める。

 ■OBCは個別開発でファンクションキー機能を使う場合も特許に抵触
 しないか検討するという。

 OBCが提供しているこのファンクションキーの仕組みの詳細は知りま
せんが、新聞記事を読む限りでは、正直なところ「えっ、これが特許にな
るの?」と思いました。

 今回の特許内容を十分に理解している訳ではないので間違っているかも
しれませんが、このような特許は本当に特許の目的に沿っているのだろう
かという疑問がわきます。

 特許の目的とは、言うまでもなく「先行開発者の開発費を回収し、同時
に技術を公開することで技術の進歩に寄与すること」です。

●ソフトウェア特許の歴史

 ソフトウェア特許には、成立までの長い歴史があります。

 ソフトウェアの知的財産権については、1985年の著作権の改正により著
作物として保護されるようになりました。
 しかし、著作権は著作物の表現部分を保護するだけで、全体構成やアル
ゴリズムなどの上流工程部分を保護しないため、著作権による保護には限
界がありました。
 そのためソフトウェアを保護するためには、特許法による保護が必要だ
という意見が強くなってきました。

 特許法による発明の定義は以下の通りです。
  ・自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの
  ・発明のカテゴリーを「物」と「方法」に分類

 上記の定義に沿うと、数学的ロジックに基づいて作成されているソフト
ウェアは「発明」に該当しないし、そもそも情報の提示であるソフトウェ
アを発明としては取り扱えないということになります。

 そのため、ソフトウェアを特許法で扱うことに関しては、長い間議論が
重ねられました。
 そして数々の議論を経た後、特許庁は以下の場合にはソフトウェア技術
を特許法上の「発明」として扱うことにしました。
  ・ハードとソフトの組み合わせの場合(物)
  ・ソフトがハードに働きかける過程(方法)

 つまり、ハードと一体であればソフトウェアにも特許が認められるよう
になったのです。

 その後、1997年4月1日に審査基準が改訂され、「物」の定義がαとβに
分かれることになりました。
 αは従来の「物」の定義、βは「媒体クレーム」(ソフトウェアを記録
した記録媒体またはデータを記録した記録媒体)です。
 これにより、いわゆる「媒体特許」が認められるようになりました。

 しかし、これでは媒体を介さないソフトウェアの取り引き(ネットワー
ク上)に対しては特許権行使ができません。

 そして遂に、2002年の特許法改正で、ソフトウェアそのものを「物」と
して取り扱うことにより、ソフトウェア自体を特許対象とすることが可能
になったのです。

 昨年度からソフトウェア特許の出願件数は増大しています。
 今回のOBCの特許の件も、この流れの中にあります。

●ソフト会社の特許戦略

 企業や経営の立場からすると、ソフトウェア特許は真剣に考えなればな
らない問題です。
 今回のOBCの一件のように、ソフト会社(ソフトウェアベンダーやシ
ステムインテグレータ)にとって特許戦略の重要性が増しています。

 [特許戦略の重要性]
  ・特許を自社製品や技術力の差別化に利用できるようになる。
  ・ロイヤリティー収入を確保でき、損害賠償請求も行使できる。
  ・逆に他社からの特許権行使を受ける可能性もある。

 OBCの特許戦略は、ソフトウェア技術の発展という視点では様々な物
議を起こしそうですが、経営側の視点では極めて有効な戦略であると言え
ます。

 日本の特許は先願主義なので、例え自分の頭から生み出したアイディア
であっても、他者が取得している特許に抵触していると判断されれば、お
金を払わなければならないのです。

 私は、プライベートな活動で中小企業の経営者と接する機会があります
が、製造業であれば特許の一つや二つは持っています。
 ソフト会社も特許取得が当然になる時代が来つつあるのかもしれません。

 また、特許の権利は、基本的にそれを考案した個人に属します。従って、
今後は特許を持っているSEが増える可能性があります。
 個々のSEにとっても特許は、武器になっていくのかもしれません。

【参考までに】
 JISA(情報サービス産業協会)では「SEのための特許入門」を発
行してソフトウェア特許取得の啓蒙活動に努めています。
 http://www.jisa.or.jp/activity/report/booklets5.html

●ソフトウェア特許はソフトウェア技術の進歩を阻む悪

 ソフトウェア特許については推進派がいる一方で反対派が存在します。

 例えば、GNUプロジェクトで著名なストールマン氏は、ソフトウェア
特許はソフトウェア技術の進歩を阻む悪以外の何者でもないと主張してい
ます。

 「どんな優秀な技術者も無から有を生み出すことはできない。既存のア
イディアに新しいアイディアを『フリー(自由)』に追加し配布すること
でソフトウェア技術は進歩する。」と言うのがストルーマン氏の考えです。

 私は、ストルーマン氏の理念や思想を十分に理解している訳ではありま
せんが、氏の主張には共感できるところが随分あります。
(オープンソース陣営との意見の食い違いやLinuxに対する批判など、妥
協を許さない頑ななストルーマン氏を変人扱いする人も少なくないようで
すが。)

 あくまで個人的かつ新聞記事から受ける印象でしかありませんが、今回
のOBCの一件などは、企業戦略としては有効であっても、技術進歩を妨
げる要因になるのではないかという気がします。

 この点、企業経営を職務としている私の立場は微妙です。

 エンジニアである皆さんは、この件をどのように捉えるのでしょうか?

 私は、きっと職務上の立場やエンジニアとしての理念の違いによって、
人それぞれでスタンスが異なるのだろうなぁと思っています。

 何れにせよソフトウェア特許は、個々のSEにも無関係な話ではありま
せん。
 ソフトウェア特許に対して否定的な立場を取るにしろ、自分戦略の中に
積極的に取り入れるせよ、一度じっくり考えてみて下さい。

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■閑話休題

 先日、日経ITプロフェッショナルが実施しているITSS準拠スキル
調査に参加しました。

 「マーケティングマネジメント」で診断を受けたところレベル4という
結果でした。まだまだ修行が足りません。(ちなみに私の回答の信頼度は
91%でした。)
 強みは『ロジカルアプローチ』『イノベイティブ・アクション』『リス
クマネジメント』で、弱みは『チームデベロップメント』だそうです。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.018]「ニワトリ会議」を撲滅しよう!

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●失敗やトラブルは正しく扱われているか

 こんなことを言っては叱られるかもしれませんが、仕事に失敗やトラブ
ルはつきものです。鉄壁の守備を誇る野球選手がなんでもない凡フライを
落としたり真正面のゴロをトンネルするように、どんなに優秀な人でも、
失敗したりトラブルを起こした経験のない人はいないでしょう。

 このメルマガの読者の皆さんには言うまでもないことですが、システム
開発プロジェクトは失敗とトラブルの宝庫みたいなものですね。何の失敗
やトラブルもなく無事に完了するプロジェクトは、よほどの幸運に恵まれ
ないかぎりないと思います。

 皆さんが所属されている組織やプロジェクトチームでは、失敗やトラブ
ルはどのように扱われているでしょうか?
 そもそも失敗やトラブルの情報は素早く正しく報告され関係者に共有さ
れるようになっているでしょうか?

 失敗やトラブルの情報が素早く正しく共有されない組織やプロジェクト
チームは、計器や管制塔とのコミュニケーションがないままに飛んでいる
旅客機みたいなものですね。


 多くの組織やプロジェクトチームでは、これらの情報が現場から適切に
上がってくるように様々な仕組みを構築しています。
 例えばISO9001を導入した品質マネジメントシステムやPMBO
Kに準拠したプロジェクトマネジメント・ガイドまたはPMO(プロジェ
クトマネジメント・オフィス)の設置等です。

 しかし、これらの仕組みを導入したからといって失敗やトラブルの情報
が適切に共有されるようになるとは限りません。
 何故なら、結局のところこれらの仕組みはハードウエアに過ぎないから
です。(これらの仕組みを導入することはとても素晴らしいことで、それ
を否定している訳ではありません。念のため。)

 ではこの場合のハードウエアに対するソフトウエアは何かというと、失
敗やトラブルを正しく回避または解決し成功しようとする行動様式や思考
様式、そしてスキル等です。

 そして、このソフトウエアの稼動に大きな影響を与えるのが企業文化や
企業風土です。

 いくら立派な仕組みを持っていても、失敗やトラブルを隠す企業文化や
企業風土がある以上は、それらの仕組みは有効に機能しません。適切な行
動様式やスキルも発揮される機会もありません。

 ここ数年、いくつかの大手企業や有名企業で経営の企業存亡の危機に発
展する不祥事が発生しました。これらの企業では失敗やトラブルが経営ト
ップに正しく伝わっていませんでした。
 これらの企業では、ISO9001やHACCPなどの立派な仕組みは
構築されていましたが、それを適切に使う企業文化や企業風土が醸成され
ていなかったのだと思います。

●ニワトリを殺すな

 では何故、失敗やトラブルを正しく扱えない企業文化や企業風土が生ま
れてしまうのでしょうか?

 原因はいろいろと考えられますが、その一つには、問題解決時に失敗や
トラブルの犯人探しをしてしまうことがあると思います。

 皆さんにも経験があると思いますが、システム開発プロジェクトの進捗
会議や上長に対するプロジェクト状況の報告会などで失敗やトラブルの報
告をすると、議論が問題の解決ではなく個人の責任追及に向かってしまう
ことがあります。

 まず、最初は「プロジェクトリーダーは誰だ?」「誰が作成したプログ
ラムだ?」等の「誰だ」攻撃からはじまります。
 そして次には、「どうして確認しなかったんだ?」「どうして文書で残
っていないんだ?」等の「どうして」攻撃が続きます。「どうして~」と
いうのは、一見問題分析の質問のようですが、会話の文脈を注意深くみる
と個人の責任を追及しているに過ぎないことに気が付きます。

 なぜ、このように直ぐ犯人探しをしてしまうのでしょうか?

 これは私の推測ですが、誰のせいなのかを明確にした方が、話が分りや
すいし手っ取りばやいからではないかと思います。
 しかし、これはただ単に分かりやすいというだけであって、真の原因を
つかまえることや適切な対策を打つことにつながりません。


 今年の3月に発行されて売行きが好調な本に「ニワトリを殺すな」があ
ります。企業内研修のテキストとしてかなり使用されているようです。

「ニワトリを殺すな」
ニワトリを殺すな

 この本は、本田技研工業の本田宗一郎氏をモデルにして書かれた寓話で
す。
 内容を簡単に説明すると、町工場のようなベンチャー企業に銀行から出
向してきた主人公が、失敗を奨励しそれによって創造性を発揮しようとす
る企業文化にカルチャーショックと感銘を受けるという物語です。

 このベンチャー企業の会議室には「ニワトリを殺すな」という張り紙が
貼ってあります。
 ニワトリというのは残酷な生き物で傷ついた仲間がいるとよってたかっ
たその仲間を突いて殺してしまいます。それと同じように失敗した人を責
め立てるような「ニワトリ会議」を開いてはいけないという戒めなのです。

 この寓話に登場するベンチャー企業で開催されている会議の特徴は、以
下の通りです。

 ・人を責めるのではなく、問題の解決に集中して議論する。
 ・二度と同じ原因で失敗しないように、失敗の原因を徹底的に追究する。
 ・ただし、ただ謝罪するだけで問題分析が不十分な場合は叱責を受ける。

●ニワトリ会議のデメリット

 このような「ニワトリ会議」を行なっていると失敗やトラブルが海中深
く潜ってしまい、顕在化しないというデメリットの他に大きな問題があり
ます。

 それは問題分析能力や問題解決能力が育成されないということです。

 SEにとって「ソリューション」は大きな使命です。
 顧客にソリューションを提供する際に、問題発見能力・問題分析能力・
問題解決能力は必要不可欠な能力です。

 これらの能力はセミナーや書籍で学ぶだけでは習得することはなかなか
困難です。
 やはり日々の仕事の中で訓練され身に付くものなのですが、会議の場と
いうのは、そのような能力を習得する良い場になると考えています。
 しかし、その訓練の場でこのような「ニワトリ会議」を開催するのは、
せっかくの学習の機会を捨ててしまっているようなものです。

 「ニワトリ会議」のアウトプットは、誰が悪いのかが明確になることと、
失敗やトラブルに対する対処方法が決まることです。
 しかし、問題の構造が明確になっていないため、真の原因を除去するよ
うな対策は取られません。
 かくして同じような失敗やトラブルが繰り返されることになり、「同じ
ことを何回やれば気がすむんだ!」とまた「ニワトリ会議」が繰り返され
る結果になるのです。

 私の周りにも、まだまだ「ニワトリ会議」があります。
 偉そうに言っている私がその「ニワトリ会議」を開いていたこともあり
ます。
 自分自身の反省もあって、何としても「ニワトリ会議」を撲滅しなけれ
ばならないと思っています。

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■閑話休題

 前にも書きましたが、私は「週末主夫業」をしています。
 料理のレパートリは、焼きソバ、炒飯、カレーライス等の手抜き料理ば
かりです。(子供には評判がいいですが。)
 最近、「ハワイアン・ソルトとベーコンのパスタ」という超手抜き料理
をあみ出してしまいました。これが、けっこう美味いんです。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.017]中国シフトに対するSEの競争戦略

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/05/23━
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●情報サービス産業の業況悪化

 2003年5月21日の日本経済新聞朝刊に、調査会社IDCジャパンの発表
が掲載されていました。
 IDCによると2003年のIT投資は前年比1.2%減の11兆9,700億円で、
3年連続の減少になるようです。昨年度まで伸び続けていたITサービス
も横ばいにとどまるとのことです。

 確かに情報サービス産業の業況は悪化しています。
 ここ最近、私のところには中小ソフト会社の営業担当者から頻繁に連絡
が入るようになりました。不況の影響で各社とも正社員エンジニアに空き
が発生しているようです。
 特にオープン系やWeb系エンジニアの仕事がないようで、引合いがあれ
ば直ぐにでも要員を揃えられると言っています。

 私の勤務先でも、昨年まで旺盛だったオープン系やWeb系の引合いの数
が減少傾向にあります。操業度が大きくダウンするような状況にはありま
せんが、価格は急激に下落しています。
 ここ数年、我々の業界はWeb系の技術者を増やすことに注力していまし
たので、供給過多になっているものと思われます。
 高い技術力を持つエンジニアに対する需要は相変わらず旺盛で供給力不
足なのですが、エントリーレベルのエンジニアが担当できる仕事の量が少
なくなっています。

●中国オフショア開発の本格化

 そして、もう一つ見逃せないのは、ソフトウエア開発工程の中国シフト
が本格的になってきていることです。特にオープン系やWeb系の開発作業
で中国エンジニアの利用が進んでいます。

 私の身の回りでも、この動きは顕著になってきました。
 顧客からはソフトウエア開発フェーズをオフショア(日本国内ではなく
中国本土での開発)で行なうことを前提とした料金提示を求められるよう
になっています。
 競合他社も中国のオフショア開発を前提とした価格を提示してくるケー
スが増えてきました。
(この動きに対してSARSの発生はブレーキになる思いますが、大きな
視点では、中国シフトの流れは変わらないように思います。)

 中国のソフト会社にオフショアで開発を委託した場合、料金は1人月あ
たり35万円程度になります。世界一高い日本の人件費をもってしては、い
かに生産性を上げても太刀打ちできません。
 そして、彼等は技術面でも極めて優秀です。

 「情報サービス産業白書2003」でも、このことに言及しており、以下の
ような問題提起をしています。

   また,海外へ外注される開発委託も年々増加する傾向にある。JI
  SAとJPSAの調査からは,シンガポールや中国からのカスタムソ
  フトの輸入(外注)が大きいことがわかる。当初はコスト面を重視し
  た海外発注であったが,現在では技術レベルや必要とされるITエン
  ジニアの確保を目的としたものに変わり,今後ますます拡大すること
  が予測される。
   このようにITエンジニアの労働市場が国際化していくなかで,日
  本のITエンジニアは生き残っていけるのであろうか。

「情報サービス産業白書2003-選択と集中の時代における情報サービスの役割-」より抜粋
情報サービス産業白書2003-選択と集中の時代における情報サービスの役割-

●流れに翻弄されないための自分戦略策定

 この大きな流れの中で、プロのSEとしてより良い人生を送るためには、
しっかりとした人生観やキャリアビジョンを持つ必要があります。
 このメルマガを通じて繰り返し主張していることですが、そのためには
自分戦略を策定することが必要です。
 自分戦略がないままに、最新ITやコミュニケーションスキル等を修得
したり資格を取得しても、結局のところ世の中の流れに翻弄されることに
なります。

 最近、SEの今後の在り方に対して様々な提言をしている書籍がいくつ
か発行されています。
 私も、そのうちの何冊かを読みました。これらの本に書かれていること
は、それぞれに含蓄があり、SEが今後のキャリアビジョンを考える上で
非常に参考になることが多いと思います。
 このメルマガの読者の方や身近なSE達に読むことを薦めたいと思って
いる本もあります。

 しかし、これらの書籍に書かれている内容をただ単に鵜呑みにするのは
良くありません。やはり内容について自分なりに噛み砕いて消化し、自分
自身の経験や信念と連結させる必要があります。

 一人の人間に与えられた資源(お金と時間)には限りがあります。
 すべてのスキルを満たすようなスーパーマンにはなることはできません
し、人には得手不得手があります。そして外部環境も人それぞれに異なっ
ています。

 結局、自分がどういう方向性に進むかは自分自身で考え自分自身で決め
るしかありません。
 また、自分の頭で考えたことでなければ、結局のところ行動に結びつか
ないと思います。
(ただし、独りで悩むのではなく誰かの手助けを得ることは必要です。)

●中国シフトに対抗するための競争戦略

 さて、自分の方向性は自分自身で考えなければならないということを前
提にして、中国シフトの流れに対抗するためのSEの競争戦略について私
なりに考察してみたいと思います。

 ※新しくこのメルマガの読者になって頂いた方は、過去の自分戦略策定
 プロセスを一通り目を通してから以下の記事をお読み頂くことをお勧め
 します。

 【自分戦略策定プロセス】

  ○Step1.自分の中心にある「真の価値観」を発見する

  ○Step2.自分の強みと弱みを明確にする

  ○Step3.自分を取り巻く時流を把握する

  ○Step4.目指すべき方向性を定める

  ○Step5.目標と行動計画(仮説)を策定し実行(検証)する

  ○Step6.仮説と検証の繰り返しを通じスキル等の資源を蓄積する
 
 どのような競争戦略を取れば良いかについて、二つのポジショニングマ
ップを使って考えてみることにします。


●ポジショニングマップによるSEの競争戦略(その1)

 まず、最初のポジショニングマップです。縦軸に賃金、横軸にSLCP
(ソフトウエアのライフサイクルプロセス)を取ります。

     【図1.SLCPと賃金によるポジショニング】
  賃金
  高|                         
   |←A→                      
   |   ←──────────B────────→ 
   |   ←───C───→             
   |←─D─→        ←─E─→ ←─F─→ 
   |                         
   |                         
   |             ←───X───→   
  低|                         
   └────────────────────────→
    経営戦 情報化 要求分析 詳細設計  運用保守
    略策定 企画  方式設計 ソフト開発

  ※賃金は、あくまでイメージです。必ずしも実態を表していません。

 現在の多くのSEは、Eの位置にポジショニングされると思います。
 ここに中国でのオフショア開発という競争相手が出現した訳です。オフ
ショア開発の対象になるのは、詳細設計およびソフト開発、そして一部の
保守作業です。図1.のXが、これにあたります。

 この図で分かるように、従来Eの部分で行なわれていた多くの仕事がX
に流れる可能性があります。従って、ここの工程は、国内では供給過多と
なり価格の大幅な低下が予想されます。

 これに対応するためには、競争戦略の発想が必要です。

 競争戦略の生みの親であるマイケル・ポーターによると、「最も優れた
競争戦略は競争しないこと」です。
 この理屈によると、まず考えるべき戦略は、自分自身のポジションをX
と競合しない領域に取ることになります。(ここでは、国内での競争は考
えないものとします。)
 具体的には、図1.のA(ビジネスコンサルタント)やB(プロジェクト
マネージャ)やC(ITコンサルタントまたはITアーキテクト)やD(
セールス)といった位置に自分をシフトすることです。

 また、図1.の外にある領域へのシフトも方向性としては考えられます。
 具体的には、ライン管理職、マーケティング担当者、教育担当者等が該
当します。

 ただし、この戦略を取る場合は今までとは違ったスキルやコンピテンシ
ーが要求されることになります。自分自身の価値観や保有する強みを活か
しながら、この位置で必要な資源(スキルや他者とのリレーション)が蓄
積できるならば、この方向性に向かうことは正しい戦略と言えます。

 奇手ですが、いっそのことXの領域に行くという手も考えられます。
 つまり生活基盤を中国に移し、日本市場を相手にして仕事をするという
ことです。これなら給料が半額になっても日本にいるより高級な生活がで
きるかもしれません。
(ただし、この戦略を実行に移すのはSARSが落ち着いてからにした方
が良いですね。)

●ポジショニングマップによるSEの競争戦略(その2)

 では図1.のEにいるSEが、そのままの位置で活躍する方法はないので
しょうか。
 ここでは、別のポジショニングマップを使って考えてみます。
 縦軸に顧客との密着度、横軸に主流のITか非主流のITかを取ります。

   【図2.顧客密着度とITのタイプによるポジショニング】

        顧客との密着度が高い       
             ↑           
             │           
          B  │  A        
             │           
  非主流IT←─────┼─────→主流IT 
             │           
          C  │  X        
             │           
             ↓           
        顧客との密着度が低い

 言うまでもなく、中国でのオフショア開発はXにポジショニングされま
す。Xと競合しないためには、以下の二つの仮説が考えられます。

 一つ目の仮説は、顧客との高い密着性が必要な仕事は中国シフトに馴染
まないと言うことです。図2.のAとBがこれに該当します。
 例えば、アプリケーションエンジニアが担当する仕事の多くが、この領
域に該当します。ITだけではなく何らかの業務に強くなると言うことは、
エンジニアにとって大きな強みになります。
 また、技術系エンジニアであってもオンサイトでしか対応できないよう
な仕事もこの領域に該当します。顧客と接することを敬遠するSEは多い
ですが、顧客密着型のサービスに自分の方向性を見出すことは正しい戦略
です。

 二つ目の仮説は、主流でないITに関わる仕事は、中国でのオフショア
開発のターゲットにはならないということです。図2.のBとCがこれに該
当します。
 中国に限らず、市場規模が小さいまたは縮小傾向にある市場に参入して
くる企業やエンジニアは稀です。粘り強くその中で競争力を維持していけ
ば、その中での勝ち組になることができます。
 主流のITに接することができずに業界の流れから取り残されたような
気がして焦っているSEの方は、是非そのような観点で自分自身の方向性
や競争戦略を考えてみて下さい。

 以上、私の独断と思いつきでSEの競争戦略を考察してみました。
 実は、このような考察は、複数人で集まってワイワイガヤガヤとやる方
がブレークスルーします。もし、もっと他の競争戦略が思い浮かんだ方や
質問のある方はメールを下さい。
 是非、いっしょに考えてみたいと思っています。

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■閑話休題

 小学校一年生の息子をビーバースカウト(ボーイスカウトの最年少クラ
ス)に入団させました。来月から私もいっしょにビーバースカウトの活動
に参加します。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.016]メンターを探せ!

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/05/09━
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●SEが成熟するには誰かの手助けが必要

 SEが成熟するためには、長い時間が必要です。成熟するとは、単にシ
ステムが設計できるようになるとか顧客とのやり取りができるようになる
ということではありません。
 また、「技術の複雑化・多様化にともない、以前と比べて稼げるSEに
なるのに時間がかかるようなった」という最近よく聞く話でもありません。

 私がここで言っている「成熟」とは、「大人のSEになる」「SEとし
て成人する」ということです。
 子供が大人に一足飛びでなれないように、SEも短期間で「大人のSE
になる」ことはできません。

 「SEとして成人する」ためには、誰かの手助けが必要です。
 何故なら、多くの凡人にとって孤独な自己啓発は良い方向に進まないと、
思うからです。

 未熟な若者の成長を手助けをしてくれる人物のことを「メンター(良き
助言者、導き手)」といいます。
 SEにもメンターが必要なのです。

 メンターはただ単に技術やノウハウを教えてくれるだけではありません。
 メンティ(助言を受ける側)に対して以下のような支援をしてくれます。

  ・メンティの中にある潜在能力を引き出してくれます。
  ・メンティに対して機会や人的なリレーションを提供してくれます。
  ・メンティが、新たなテーマを見つけ出すことを手伝ってくれます。

●メンターはどこにいる?

 自分の身近、特に勤務先の上司がメンターであるSEは本当に幸せです。
 何故なら、自分の勤務先でメンターにめぐり会えることは、滅多にない
からです。
 自分の勤務先でメンターを見つけることができれば理想的ですが、メン
ターは勤務先以外で見つける方が、よほど簡単です。

 実は、良きメンターとなる潜在能力を持ったベテランSEはどの企業に
もたくさんいるのですが、彼らの多くは自分の役割に気がついていません。
 たいていは、管理職としての鎧兜を身にまとい、その鎧兜を脱いだ時に
は、居酒屋で飲んだくれているか、ゴルフ場をうろついているかの、どち
らかです。

 中には、若手の指導や教育に情熱を持っているベテランSEもいます。
 しかし残念なことに、このような熱血ベテランにもメンターと呼べる人
は少ないのが現実です。
 あくまで個人的な見解ですが、このような熱血ベテランは、自分自身が
理想としているSE像に無理やり若手を押し込めようとしています。
 はたから見ると、育成しているのではなく、相手の弱点を攻め立てるこ
とで、自分の優位性を確認しているように思えてしまいます。
 これらの熱血ベテランは、若手の成長の方向を捻じ曲げてしまう危険性
が少なからずあると思います。

 なぜこういうことが発生するかというと、これらのベテランSEもまた
良きメンターに出会わないままで年月を過ごしてしまったからです。
 「上司に恵まれないSE」の上司もまた「上司に恵まれなかったSE」
なのです。私たちは、どこかで、このメンター不在の連鎖を断ち切らない
といけません。
 これは、今後のトップマネジメントに課せられたテーマだと思います。

 とは言え、トップマネジメントに任せていても事は解決しません。
 自分の周りにメンターがいないSEは、自らメンターを探す必要があり
ます。

 なかなか難しそうですが、その気になれば以外に簡単に見つかるものな
のです。

 メンター探しのコツはただ一つ、「人には会ってみろ、場には行ってみ
ろ」です。
 メンターを心から求めている人の前には、必ずメンターが出現します。
 嘘だと思うなら試してみて下さい。

●メンターとの遭遇(私自身の体験から)

 本当にありがたいことですが、私は多くのメンターに恵まれています。
(私が心の中で、一方的に自分のメンターだと決めつけている人がほとん
どですが。)
 その多くは年長者ですが、なかには年下の方もいます。

 メンターに関する私の体験を二つ紹介します。

 まず一つめの体験です。
 私はJPMF(日本プロジェクトマネジメント・フォーラム)というコ
ミュニティでボランティア活動をしています。
 これらの活動を通じて私がPMのベテラン達から得た知識や知恵は、研
修や座学では得ることができないものです。
 また、そのベテラン達との会話を通じて、私自身の中にあった「ただの
経験」がを錬金術にように「良い経験」に変わっていくことを体感しまし
た。
 このコミュティで知り合った方の何人かは、損得勘定はまったくなしで、
私に対して様々なチャンスを与えてくれ、様々な人に引き合わせてくれて
います。
 本当にありがたいことです。

 二つめの体験です。
 私は出身高校の同窓会関東支部で事務局次長を務めています。もちろん
これもボランティア活動です。
 世話役の中では最年少で、だいたい父親くらいの年齢の人たちと親密な
交際をしています。

 肉親でもなく上司でもない年長者との間には、不思議な関係が構築でき
ます。そのくらい年齢が離れていると、先輩風を吹かされることもありま
せん。父親や上司のように会うたびに説教をされるわけでもありません。

 彼らは私に対して何のケレンもなく接してくれます。自分の人生の出来
事を着飾ることなく在りのままに語ってくれ、また私の話に耳を傾けてく
れます。
 これはおそらく父親や上司との間では、なかなか形成されがたい関係だ
と思います。

 彼らとの対話を通じて、私は自分の人生を深く見つめることができるよ
うになりました。
 一人の人間としてまた男として、「家族」や「仕事」がどういった意味
を持つのかを考えることができるようになりました。
 これもまた非常にありがたいことです。

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■閑話休題

 先日、All About Japanのガイド好川哲人さんのインタビューを受けま
した。
 そのインタビューを好川さんが素敵な記事にまとめて下さいました。
 是非、お読み下さい。
 ●メンターに聞く(1)「自分戦略を策定せよ」

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.015]テクノロジストとしての第一歩

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/04/25━
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●雇用先との関係を見つめ直す

 このメルマガの読者の中には、多くのサラリーマンがいらっしゃると思
います。(かく言う私もそうですが。)
 これからのSEにとって、自分を雇用している会社(雇用先)との関係
を見つめ直し、雇用先との間にどのような関係を構築するかを考えること
が、自分戦略における重要なテーマの一つになります。

 SEを取り巻く雇用環境は、これからの数年で大きく様変わりすること
が予想されます。
 私の勤務先では、従来の年功序列的な給与制度が廃止され、成果主義が
導入されようとしています。
 また、適格年金制度については見直しが必至で、確定拠出型年金への移
行が検討されています。

 同業他社では、中高年SEのリストラがはじまっています。一部の優良
企業を除いて、終身雇用は保証できなくなっています。
 サラリーマン川柳に「一生をかけた会社に先立たれ」というのがありま
したが、これもまた人ごとではありません。
 会社がつぶれないまでも、吸収合併等の企業統合があちらこちらで発生
しています。

●テクノロジストとしてのSE

 ピーター・ドラッカーは、その著書である「ネクスト・ソサエティ」の
中で、ネクスト・ソサエティ(来るべき社会)は、テクノロジストが社会
や政治の中核を占めるようになるであろうと述べています。

「ネクスト・ソサエティ」
ネクスト・ソサエティ

 (個人的な意見ですが、この本はSEの必読書であると思います。)

 テクノロジストは、コンピュータ技術者やソフト設計者等で、自分の肉
体に生産手段を携帯しているナレッジワーカ(知的労働者)のことです。
(SEは紛れもないテクノロジストですね。)

 ドラッカーは、これらテクノロジストは、生産手段という資本を自ら所
有しており、企業にとってのパートナーとして雇用者と同格になるとして
います。つまり両者は、主人と従者ではなく、相互依存状態にあります。

 このようなテクノロジストは自分が所属する組織よりも自身の専門領域
に忠誠心を持つようになり、もはや雇用先に対して帰属意識を持たせるこ
とは困難になるだろうと、ドラッカーは予想しています。

 ドラッカーは、このようなテクノロジストに対しては、従来の管理手法
は成り立たず、トップマネジメントのあり方も大きく変わることになるで
あろうと述べています。
 すなわち、雇用や管理不可能なテクノロジスト達をいかにマネジメント
するかということです。
 ドラッカーは、テクノロジストを金で釣ることは不可能であり、目的を
明確に示し敬意を持って接する必要があると述べてます。

 それは、スターやオーケストラ等の様々で異質の人々を、「楽譜」を使
ってまとめ上げるオペラの総監督のようなものだとしています。

●トップマネジメントを意識改革するには

 残念なことに、日本のSEを雇用するトップマネジメントの多くはまだ、
そのような段階に至っていないと感じます。

 テクノロジストであるSEに対して、組織の方向性を示すことができて
いません。本当の意味での責任を与えていません。継続学習の機会を十分
に持たせていません。
 そして何よりも、敬意を払っていません。

 残念ながら、トップマネジメントの多くは、今のところSEを雇用し管
理するという発想から抜けだせていません。そこにはSEをあくまで支配
下に置こうとする姿勢があります。

 そもそも組織は、何らかのビジネスを成し遂げるための手段であるはず
なのに、自分が君臨するための組織を生み出すことを目的としていると思
われるトップマネジメントが少なくありません。

 またSEも、まだまだそのような境遇に甘んじており、トップマネジメ
ントに対して、緊張感をもって対峙しようとする姿勢に欠けています。
 SEはそろそろ自分自身の可能性を信じ、自立に向けての行動を起す時
が近づいているように思います。(転職を勧めているのではありません。)

 SEは来るべき社会においてテクノロジストとして社会をリードする役
割を担う存在になると、私は信じています。
 プロフェッショナルとしての倫理観と専門領域に対する誇りを持ち、社
会に貢献する存在になるためには、まず自分が所属している組織に依存す
るのではなく自立した存在になる必要があると思います。

 SEがそのようなテクノロジストとして自立の道を歩みはじめることで、
トップマネジメントもまた変わりはじめるのではないでしょうか。

●チームづくりへの参画

 では、自立のためにまず何から始めれば良いのでしょうか。
 何よりも重要なのは、自分戦略を策定することですが、自分戦略策定が、
なかなかピンとこないようなら、まずはサラリーマン思考の枠組みを壊す
工夫が必要です。

 サラリーマン思考の枠組みを壊す方法として、最も良いのはプロフェシ
ョナルのコミュニティに所属することです。
 自分の専門領域との関わりあいを深め、雇用先の柵から少しでも逸脱す
ることで視野が格段に広がります。

 そしてそのコミュニティを通じ人的なリレーションができてきたら、何
か共通の価値や目的を持った自主的なチームに参加することが大切です。

 その中で、プロフェッショナル同士のチーム作りを実践し、チーム作り
のノウハウを学んでいくことがテクノロジストとしての第一歩になります。

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■閑話休題

 今年の2月に中小企業診断士の実務補習で、ある商店街のコンサルティ
ングを行いました。
 その時に作成した診断報告書が思いのほか好評で、行政予算での増刷が
決定しました。商店街の店主や関係各方面へ配布するようです。
 素直に嬉しく、一緒にチームを組んだ仲間達と祝杯をあげる予定です。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.014]PMBOK(R)と二人の石工

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●二人の石工

 私は、業界団体等においてプロジェクトマネジメントの知識体系である
PMBOK(R)の入門講座の講師を勤めています。
 この講座では、PMBOK(R)をITプロジェクトに適用する際のポイ
ントを解説しています。
 基本的には、PMBOK(R)をはじめて学ぶ人に、PMBOK(R)という
手法を解説しているのですが、私自身としては、PMBOK(R)の底に流
れるプロジェクトマネジメントの魂(と私が思っているもの)を受講者に
伝えたいという思いがあります。

 この講座の中で必ず紹介する例え話に「二人の石工」という逸話があり
ます。この逸話は、ヤン・カールソンの「真実の瞬間」という書籍の中で
紹介されているもので、内容は以下の通りです。


   ある日、一人の旅行者がバルセロナのサグラダ・ファミリア(ガウ
  ディが設計した石の大聖堂で、現在も建設中)を訪れた。

   辺りを歩いていると、道端で一人の石工が石を削っていた。
   好奇心旺盛な旅行者は、その石工に声をかけた。
  「あなたは、いったい何をしているんですか?」
   するとその石工は、迷惑そうな顔をしながら腹立たしげにこう言っ
  た。
  「見て分かんねぇのかよ。この糞いまいましい石を削ってんじゃねえ
  か!じゃまだから、とっとと向こうに行ってくれ。」

   慌ててその場を離れ、しばらく歩いていると、別の石工が同じよう
  に石を削っていた。
   その旅行者は、懲りずに先ほどと同じ質問をしてみた。
  「あなたは、いったい何をしているんですか?」
   するとその石工は、晴れやかな顔をして誇らしげにこう答えた。
  「よくぞ聞いてくれました。私は今、世界で一番美しい大聖堂の基礎
  を作っているんですよ!」

 (注釈:実のところ私は「真実の瞬間」を読んでいません。一橋大学の
 米倉教授が講演の中で紹介されたこの逸話に感銘を受けて、それを自分
 なりに理解して紹介しているものです。従って、中身はオリジナルと微
 妙に違っている可能性があります。)

 この二人の石工には大きな違いがあります。
 同じ作業をしていながら、一人は糞いまいましい石を削っているだけの
不幸な石工、もう一人は大聖堂の基礎を作っている幸福な石工です。

●二人のITエンジニア

 ITエンジニアにも、糞いまいましいコーディングをしているだけの不
幸なエンジニアと、社会やお客さんに対して何らかの貢献をしている幸福
なエンジニアがいるように思います。

 この違いは、自分の行っている仕事の目的を理解しているかどうかによ
り発生しています。
 私は、「二人の石工」の逸話を、プロジェクトの目的が明確にされてい
ることによって、プロジェクトメンバーのモチベーションを向上させるこ
とができるということの例えとして紹介しています。

 個人的な意見ですが、プロジェクトを成功させるためには、まずプロジ
ェクトの真の目的が何かを明確にし、それをそのプトジェクトに関わる全
員が共有することが大切だと考えています。
 プロジェクト目的の明確化は、私が自分の講義の中で、特に強調して伝
えたいと思っていることの一つです。

 実際、私の講座を受講したプロジェクトリーダから、さっそくメンバー
にプロジェクトの背景や顧客のビジネス上のニーズを説明するようにした
ところ、モチベーションが格段に違ってきたという話を頂くことがありま
す。
 こういう時は、本当に嬉しく思います。

 しかし、多くの場合、受講者の関心はどうしても手法自体に向いてしま
いがちです。
 もちろん手法を理解して頂くことはとても大切なのですが、こちらとし
ては「もっと理解して欲しいことがあるんだけどなぁ」という感じです。
 これには講師としての私の技量が、まだまだなのかもしれません。

●目的志向型と手段志向型

 あくまで個人的な意見ですが、人には「目的志向型」と「手段志向型」
があるように思います。

 目的志向型の人は、物事を遂行する際に、その真の目的は何かというこ
とに注意が向きます。そしてその目的を達成するために、あくまで道具と
して手法を用います。
 一方、手段志向型の人は、真の目的よりも、そこで用いる手法に注意が
向きます。

 私の経験からすると、手段志向型の人には目的志向的な話は、あまり受
けません。
 受けないだけならまだ良いのですが、困るのは、このような人達にかか
ると手段自体が目的化してしまうケースが少なくないということです。

 PMBOK(R)も手法である以上は、その危険性があります。
 PMBOK(R)で登場する手法を実行さえすれば、プロジェクトが成功
する訳ではありません。真の目的を踏まえていないプロジェクトマネジメ
ントは、いくらWBSをきっちりやっても、EVMをしっかりと導入して
も、優れたPMツールを使っても成功しないと思います。

 もちろん手段志向型のプロジェクトマネジメントが必ず失敗する訳では
ありません。成功事例もたくさんあることでしょう。
 しかし、不確定要素が多い、ステークホルダー間の利害が大きく対立し
ている等、難易度の高いプロジェクトにおいては、手段志向型のプロジェ
クトマネジメントでは成果を生み出せないと思います。

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■閑話休題

 ご存知の方が多いと思いますが、2003年4月7日は「鉄腕アトム」の誕生
日でした。
 何を隠そう私は「鉄腕アトム」の大ファンです。
 アトムのTVアニメを観て育ち、4歳の頃の将来の夢はお茶ノ水博士の
ような科学者になることでした。
 アトムのことなら数時間しゃべり続ける自信があります。

 先日のはじまったアトムの新作アニメも子供といっしょに観ました。
 なかなか良い出来だと思いますが、主題歌を変えてしまったのは、どう
しても納得できません。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.013]質問する力

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/03/28━
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●大前研一さんの「質問する力」を読みました

 先日、大前研一さんの著書「質問する力」を読みました。
 大前さんは、この本の中で、これからの世の中を生きていくためには
「質問する力」をつけることが大切だと述べています。

「質問する力」
質問する力

 「質問する力」とは、『政府や、マスコミや評論家の言うことをうのみ
にするのではなく、まず自分の頭で考え、疑問点があればとことん追求し、
自分で納得してから決断する』力です。
 これからの時代においては、『「質問する力」を発揮して、自分と家族
を守っていくことが必要』というのが大前さんの主張です。

 大前さんは、日本の経済がいっこうに立ち直らないのも、日本人に「質
問する力」が不足しているからであると指摘しています。

●日本のSEは「質問する力」を有しているでしょうか

 さて、日本のSEに「質問する力」はあるでしょうか。
 あくまで個人的な意見ですが、残念ながら「質問する力」を有していな
いSEが少なからず存在します。特に最近は、その数が増えているように
思います。

 多くの情報システム開発プロジェクトが失敗する根本原因には、やはり
SEに「質問する力」が不足していることがあるのかもしれません。

 顧客からのヒアリングや要件分析などで目の覚めるような質問ができる
SEは、それほど多くないように思います。
 中には顧客の要求をただ黙ってメモするだけで、ほとんど質問をしない
SEがいます。
 このようなSEが担当する情報化プロジェクトの多くは、悲惨な道をた
どることになります。メンバーは月月火水木金金で働くことになり、採算
は大赤字、その上顧客にも損害を与え、そのプロジェクトに関わった多く
の人々が不幸になります。

 ここには、大前さんが指摘する、政府の言いなりになって行動したため
に悲惨な目にあっている日本人達と同じ構図があります。

●SEにとって「質問する力」は、とても重要なスキルです

 そもそも、ヒアリングの場での要望やRFP(提案依頼書)などの顧客
から提示される文書には、矛盾点や曖昧な点が数多くあります。
 そして多くの場合、顧客自身もそのことに気がついていません。
 そのような要望やRFPに対して、ろくに質問もせず、そのまま見積も
ったり作業に着手したのでは、命がいくつあっても足りません。

 情報システムの構築に限らず、日本人は、あらかじめ自分の要求を明確
にすることが苦手な人種です。
 かく言う私も、居酒屋などで注文をする際に「とりあえずビール3本」
とか「本日のお薦めを適当にみつくろって」などと頼むことがあります。
 これは、飲む酒の銘柄や料理に使用するドレッシングの種類など、注文
する際から要求仕様を明確にできる欧米人とは明らかに違います。
 日本人は、出された料理を目にすると、ようやく本当に自分が食べたか
ったものが、わかるのです。
 つまり、日本人は質問という刺激を受けてはじめて自分が本当に欲しい
ものや必要なものが明確になるのです。

 顧客の要求をヒアリングしたりRFPを読むという行為は、罠が山ほど
しかけられた迷路の中を進むようなものです。その迷路から、無事に生還
するスキルとして「質問する力」は必要不可欠なものです。

●「質問する力」は、どうすれば修得できるのでしょうか

 どうやったら「質問する力」を修得することができるのでしょうか。

 大前さんは、「質問する力」はすなわち「論理的に思考する力」である
と述べています。
 日本人が論理的思考に弱いことは、多くの方が指摘しています。
 大前さんは、日本人が論理的思考に弱いのは、先天的なものではなく、
そのような訓練を受けてこなかったからだと指摘しています。質問をする
ことは論理的な思考を身につける訓練になり、論理的な思考を身につける
ことで「質問する力」が備わるというわけです。

 論理的な思考力を身につけるためには、まず、他人の話を聞く際や他人
が書いた文章を読む際に、その中で展開されているストーリーを構造化す
ることです。

 この構造化に慣れてくれば、相手の言っていることが、頭の中で視覚化
できるようになります。
 そうなると、視覚化された構造の中で欠落している箇所や曖昧な箇所を
見つけ出し、それを明確にするための質問ができるようになります。
 これが「質問する力」の正体なのです。

 構造化には、いくつかのツールがあります。
 そのうち主なものを以下に列挙します。

 ○問題構造

  ┌──────┐  ┌────┐  ┌────┐
  │問題(事象)├─→│ 原因 ├─→│ 対策 |
  └──────┘  └────┘  └────┘

  ┌──────┐
  │あるべき姿 ├┐
  └──────┘| ┌────┐  ┌────┐
          ├→│ 原因 ├─→│ 対策 |
  ┌──────┐| └────┘  └────┘
  │  現状  ├┘
  └──────┘

 ○ピラミッドストラクチャ

           ┌─────────┐
           │メインメッセージ │
           └─────────┘
                ↑
        ┌───────┴───────┐
    ┌───┴───┐       ┌───┴───┐
    │サブメッセージ│       │サブメッセージ│
    └───────┘       └───────┘
        ↑               ↑"So What?"
   ┌────┼────┐     ┌────┼────┐
 ┌─┴─┐┌─┴─┐┌─┴─┐ ┌─┴─┐┌─┴─┐┌─┴─┐
 │事 象││事 象││事 象│ │事 象││事 象││事 象│
 └───┘└───┘└───┘ └───┘└───┘└───┘
 ※"So What?"は、「それっていったい何?」と自問自答することです。

○マトリックス

 ┌─────┬─────┬─────┬─────┐
 │     │切り口A1│切り口A2│切り口A3│
 ├─────┼─────┼─────┼─────┤
 │切り口B1│     │     │     │
 ├─────┼─────┼─────┼─────┤
 │切り口B2│     │     │     │
 └─────┴─────┴─────┴─────┘

○機能モデル(IDEF0)

       制約条件(C)
          ↓
        ┌───┐
  入力(I)→│機 能├→出力(O)
        └───┘
          ↑
        手段(M)

 上記のようなツールを使いながら構造化を行なう訓練をすれば、自ずか
ら「質問する力」を修得することができます。

 もし、時間がある方は、さっそくこのメルマガのストーリーを構造化し
てみて下さい。
 どこかに質問が必要な欠落箇所が見つかるかもしれませんよ。

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■閑話休題

 先日、地酒のオンラインショップで有名な静岡県蒲原町の「市川商店」
から「雁木”槽出あらばしり”」というお酒を購入しました。

 ○幸せの酒 銘酒市川

 市川商店の市川社長とは、静岡県主催の「インターネットフェア」で、
セミナーの講師をごいっしょさせて頂き、それがご縁で定期的にお酒を注
文をしています。
 市川さんのお店で扱っているお酒は本当に絶品です。
 実は我が家には晩酌の習慣がありません。近所の方から頂いた日本酒が
空くのに半年もかかるほどです。ところが、市川さんのところで買ったお
酒はあっという間になくなってしまうのです。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.012]自分戦略策定の最終ステップ

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□■■  上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
■■□  [No.012]自分戦略策定の最終ステップ
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/03/14━
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●自分戦略の最終ステップを解説します

 今回は、自分戦略の最終ステップを解説します。
 最終ステップでは、これまでのプロセスによって策定された戦略や計画
を実行します。

 このステップのポイントは、計画に沿って単に実行するだけではないと
いうことです。
 戦略や計画は言わば成功するための「仮説」にあたります。そして戦略
や計画を実行することは、その「仮説」の正しさを「検証」することに他
なりません。
 計画に沿って行動をとりながら、戦略や計画がねらい通りの成果を生み
出しえるかどうかをモニタリングすることが何よりも大事です。

 戦略や計画は、いくら綿密に策定されたものであっても、しょせん机上
の思いつきです。本当にそれが正しいかどうかは、実際にやってみなけれ
ばわからないのです。

 もし、自分が策定した戦略や計画が想定したほどの成果が上がりそうに
なければ、それを修正することが必要です。そして修正された戦略や計画
は新たな「仮説」としてまた「検証」されるのです。
 このように「仮説」と「検証」のサイクルを継続的に行なうことによっ
て、自分の中にコア・スキルや人的リレーションなどの資源が蓄積されて
いきます。そしてその蓄積された資源を展開することで、また新たな戦略
が生み出されていくのです。

●戦略を行動に移すための工夫を紹介します

 自分戦略を策定したら、「検証」のために、とにかく実行しましょう。
戦略や計画は実行してはじめて価値が生まれるものなのです。

 とはいえ、実行することがなかなか難しいのは事実です。自分戦略のプ
ロセスにおいても、最も高いハードルがあるのは、実のところ最終ステッ
プなのかもしれません。
 多くの人が「わかっちゃいるけど、なかなかできない」という状態にあ
るのではないでしょうか。
 行動に向けて自分自身をどう動機付けするか、これは簡単なようで難し
いテーマです。

 以下は私自身の経験に基づいた行動を促すための工夫です。参考にして
下さい。

(1)紙に書く

 きわめてオーソドックスな方法ですが、効果はあります。私の場合は、
常に持ち歩いている手帳に書いてあります。
 この方法は、常に眼にすることがポイントになります。私の知り合いに
は、トイレに貼っている人がいます。

(2)公言する

 これもまたオーソドックスな方法ですね。
 ただ、効果については個人差があるかもしれません。
 私の場合、資格試験の勉強は、この方法によってモチベーションを維持
できたように思います。

(3)コミュニティに所属する

 最もお薦めする方法です。
 例えば、「禁煙を目指す人のためのメーリングリスト」というのがあり
ます。これは禁煙目指す人がお互いに叱咤激励しながらくじけないように
頑張るためのものです。
 これと同様に自分自身と同様の目的や価値観を有する人が集まるコミュ
ニティに属するのは、モチベーションを維持するためにとても良い方法と
思います。
 SE向けのコミュニティは世の中にたくさんあります。これらの中から
自分にあったものを見つけ出して下さい。

 ただし気をつけなくてはいけないのは、会費を払って会報誌だけを受け
取るような状態にならないようにするということです。
 そのコミュニティで開催されている分科会やSIG活動に積極的に参加
し、コミュニティとの関わりを深めることが大事です。

●自分戦略の全プロセスを図で示します

 さて、以上で自分戦略策定プロセスのすべてのステップを解説し終わり
ました。

 まとめとして、自分戦略策定プロセスを図で示します。

        ┌─────────────┐
        │「真の価値観」を発見する │
        └──────┬──────┘
         ┌─────┴─────┐
         ↓           ↓
  ┌───────────┐ ┌───────────┐
  │強みと弱みを明確にする│ │  時流を把握する  │
  └──────┬────┘ └────┬──────┘
         └─────┬─────┘
               ↓
        ┌─────────────┐
        │目指すべき方向性を定める │
        └──────┬──────┘
               ↓
   ┌───────────────────────┐
   │目標と行動計画(仮説)を策定し実行(検証)する│
   └───────────┬───────────┘
               ↓
  ┌─────────────────────────┐
  │仮説と検証の繰り返しを通じスキル等の資源を蓄積する│
  └─────────────────────────┘

●自分の頭で考え自分の責任で行動しましょう

 今まで私たちはこの日本という国で、比較的安穏に暮らしてきました。
 親や教師に与えられた課題をこなし、社会に出てからは与えられた仕事
をまじめにコツコツとやっていれば、安泰な人生を歩むことができました。

 しかし、そういう恵まれた時代は終わりつつあるように思います。
 例えば、私もそうですが今の40歳以下の人たちには、65歳まで年金は支
給されません。60歳で定年を迎えたとして空白の5年間をどのように過ご
したら良いでしょうか。
 そもそも、60歳まで今の会社が雇ってくれるかどうかも保障されていま
せん。年金が支給されるかどうかにも疑問があります。

 これまでは、このようなことは自分の頭で考えなくても、どこかの誰か
が考えてくれて手を打っていてくれました。
 しかし、これからは自分の頭で考え、自分の責任において行動すること
が求められていると思います。

 これは今まで使っていなかった筋肉を使うようなもので、最初はなかな
か大変かもしれません。自分戦略を策定し実行するということは、今まで
使っていなかった筋肉を鍛えることの一つであると言えるかもしれません。

------------------------------------------------------------------
■閑話休題

 先日、息子と二人で映画「ハリー・ポッター秘密の部屋」を観にいきま
した。
 私は、エンディングロールが終わって館内が明るくなるまで席を立たな
い主義です。
 今回は、その主義のお陰でちょっとだけトクをしました。
 この映画には、最後にちょっとしたオマケがあったからです。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.011]成功のための行動計画を策定し実行する

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■■□  [No.011]成功のための行動計画を策定し実行する
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/02/28━
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●今回は行動計画の策定プロセスを解説します

 これまで解説してきた「自分戦略」策定のプロセスは以下の通りです。

 ○Step1.自分の中心にある「真の価値観」を発見する

 ○Step2.自分の強みと弱みを明確にする

 ○Step3.自分を取り巻く時流を把握する

 ○Step4.目指すべき方向性を定める

 今回は、目指すべき方向性に進むための目標と行動計画の策定プロセス
について解説します。

●まず財務と顧客に関する目標を設定します

 Step4.において作成した成長する方向性(ドメイン)を、具体的な目標
に落とし込みます。
 以下の表は、そのためのツールです。

 ┌────────┬─────┬─────┬─────┐
 │        │ 短 期 │ 中 期 │ 長 期 │
 ├────────┼─────┼─────┼─────┤
 │財務に関する目標│     │     │     │
 ├────────┼─────┼─────┼─────┤
 │顧客に関する目標│     │     │     │
 └────────┴─────┴─────┴─────┘

 まず財務に関する目標を、短期・中期・長期で設定して下さい。(短期
は1年、中期は3年、長期は5年程度を目安とします。)
 具体的には、年収、副収入、貯蓄等の定量的な目標を定めます。

 次に、顧客に関する目標を、短期・中期・長期で定めます。
 ここでいう「顧客」とは、自分に対して仕事を委託している人や組織、
あるいはその発生源のことです。

 ここの記述内容は、人によってさまざまな内容が考えられます。「顧客」
という言葉を広く柔軟に解釈することが大切です。

 ITコンサルタントを目指して、将来は独立開業を考えている方であれ
ば、以下のように記述します。
  ・短期:社内のコンサルタント部門に異動
  ・中期:コンサルティングファームに転職
  ・長期:独立開業

 その他には以下のような記述例が考えられます。
  ・会社に新規事業を提案してプロジェクトを立ち上げる
  ・社内ベンチャーを立ち上げる
  ・週末起業をはじめる

 上記で掲げた目標は、マイルストーンでありゴールでもあります。
 しかし、最も重要な機能は、総合的な評価指標であるということです。
 この目標をインジケータとして、自分自身の行動の成果をモニタリング
することが大切です。

●次に目標を達成するための行動計画(仮説)を策定します

 さて次に、上記の目標を達成するための行動計画(仮説)を策定します。

 行動計画の立て方は、さまざまな切り口があるので、自分にとって最も
フィットする方法を選択して下さい。

 その際に忘れてはならないのは、その行動の成果をモニタリングするた
めの評価指標を必ず設定するということです。
 自分自身が策定した行動計画が正しいかどうかを、定期的にチェックし
ます。

 例えば、データベースのプロフェッショナルになるために以下のような
行動計画を策定したとします。
 ・某ベンダーの認定試験を学習し認定を取得する
 ・社内報や社内の論文大会にデータベースに関する記事を投稿する

 この場合の評価指標としては、データベースがらみの仕事で自分に声が
かかる件数や相談件数が考えられます。
 定量的な指標値を予め設定しておけば、モニタリングに使えます。
 あまり成果があがらないようであれば、行動計画(仮説)を修正する必
要があります。

●行動計画の策定方法を一つ紹介します

 さて、行動計画策定の方法を一つだけご紹介したいと思います。

 コアコンピタンスを蓄積し展開するという視点から考えると、行動計画
はスキル向上と人的ネットワーク形成ということになると思います。

 自分自身の成長の方向性に向かって目標を達成するために必要なスキル
と人的ネットワークは何かを考えて下さい。
 そして、そのスキルと人的ネットワークを蓄積するための行動計画を策
定して下さい。
 この時に便利なのが、以下の表です。

 ┌──────┬─────────┬─────────┐
 │      │ 一人で行なう  │ 複数人で行なう │
 ├──────┼─────────┼─────────┤
 │オンビジネス│         │         │
 │・行動計画 │         │         │
 │・評価指標 │         │         │
 ├──────┼─────────┼─────────┤
 │オフビジネス│         │         │
 │・行動計画 │         │         │
 │・評価指標 │         │         │
 └──────┴─────────┴─────────┘

 一人で行なう行動はスキルの向上となります。
 例えば、能力開発や資格取得等があります。

 複数人で行なう行動は人的ネットワークの形成となります。
 例えば、何らかのコミュニティに所属し、その中での活動に積極参加す
ること等があります。

●オフビジネスの行動計画はとても大切です

 最後に、オフビジネスに関する行動計画も忘れずに策定して下さい

 行動計画は、オンビジネスだけでなく、オフビジネスにおいても策定し
ておくことが大切です。
 オフビジネスで掲げる行動計画は、自分が目指す方向性とまったく関係
なくても構いません。

 具体的には、週末にジョギングをして身体を鍛えるとか、地域社会のボ
ランティア活動に参加するなどが該当します。

 「企業戦略」と異なり「自分戦略」には、オフビジネスの行動計画が必
要です。

 オンビジネスの目標や行動計画は、目指すべき方向性に対して、縦方向
に伸びていくようなものです。
 縦にだけ伸びると、人生の安定性を失い倒れてしまうことがあります。

 それに対して、オフビジネスの目標や行動計画は横方向に伸びていくよ
うなものです。
 縦だけではなく横にも伸びることで人生の安定性が増していきます。

 オフビジネスの行動は、オンビジネスに行き詰った時の心の拠り所や癒
しの場となります。

 また、オフビジネスの行動を持つことは、オンビジネスに直接的な良い
影響を与えることもあります。
 オンビジネスだけでは得ることができない「気づき」や、新たなテーマ
に関する「発見」を生み出すことがあります。

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■閑話休題

 東京・月島といえば「もんじゃ焼き」が有名ですが、実は地元住民しか
知らないといわれる「レバーフライ」なる食べ物があります。
 「レバーフライ」は、レバー薄く切ってパン粉つけて油で揚げたもので
別名「レバカツ」といいます。
 月島で、この「レバカツ」を売っている店は「佐とう」と「マミー」の
2軒しかありません。
 開店してから2時間ほどで売り切れてしまうという幻の食べ物です。
 月島の商店街に行かれることがあったら、是非この2軒を探してみて下
さい。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.010]情報サービス産業におけるマーケティング

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■■□  [No.010]情報サービス産業におけるマーケティング
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/02/14━
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●情報サービス減速鮮明(日経新聞2003/02/11より)

 2003年2月11日の日本経済新聞に、情報サービス市場の減速感が鮮明に
なってきたとの記事がありました。
 以下、内容を要約します。


 ・国内情報サービス市場の減速感が鮮明になってきた。

 ・NECは、情報サービス事業の売上予測を400億円引き下げた。
 ・富士通は、情報サービス事業の売上予測を300億円引き下げた。
 ・ソフト開発大手である電通国際情報サービスの2003年3月期の業績は、
  20億円の最終赤字になる見込みである。(株式上場以来初)

 ・大手からの発注量削減のため、中堅・中小ソフト会社の経営も厳しさ
  を増している。
 ・帝国データバンクによると、2002年のソフト会社の倒産件数は過去最
  高の123件となった。
 ・倒産形態は破産や任意整理が役95%を占めており、営業力の不足や得
  意技術がなく事業の再生は困難である。
 ・大和総研では、今後海外技術者へのシフトが進むため中堅・中小ソフ
  ト会社の経営環境はますます厳しくなると予測している。

●情報サービス産業は本当に厳しくなってきました

 情報サービス市場の景気が悪化していることについては以前このメルマ
ガでもお知らせしていましたが、いよいよ本格化してきた感じです。

 私の身近でも、小さなソフト会社が倒産しました。
 この企業は、中堅クラスの同業他社に対するSE派遣を主要業務にして
いました。
 単価ダウンと営業不振から資金繰りに窮し、巷の金融業者から高い金利
でお金を借りた上での倒産でした。

 記事には、中堅・中小のソフト会社の経営環境が厳しくなると書かれて
いますが、厳しさは大手も同じです。
 先日、ある大手情報サービス企業の部長さんと情報交換をしましたが、
その部長さんの担当する部門は、売上が昨年の4分の1になったそうです。

 終身雇用や定期昇給を見直す企業が増えおり、生き残りをかけた企業統
合(合併や吸収)が盛んに行われています。

●情報サービス産業のマーケティング戦略は遅れています

 あくまで個人的意見ですが、事業規模を拡大すれば生き残りの確立が高
くなるかと言えば、そんなに単純な話ではないように思います。

 これからの情報サービス産業に最も必要なのは、マーケティング戦略で
はないでしょうか。

 これまで、情報サービス産業は右肩上がりで成長していました。
 その成長性の高さが災いして、マーケティングに関してはかなり遅れた
業界であると言えます。

 正直な話、情報サービス産業の多くの企業は、自分自身の成長する方向
性についてあまり真面目に考えてこなかったように思います。

 これからは、目の前に見えている仕事を取りに行くのではなく、市場に
潜在化しているニーズやウォンツを掘り起こしながら自分自身で市場を作
り出していく必要があります。
 これは市場を再定義するということです。

●ジャストプランニング吉田社長との面談で痛感したこと

 情報サービス市場が減速する中でも、元気の良い中堅・中小の情報サー
ビス企業があります。
 これらの企業に共通するのは、事業ドメインや成長する方向性が明確だ
ということです。

 歴史が浅く事業規模が小さい会社が発展するには、自分自身をマーケテ
ィングする必要があったのだと思います。
 古株企業と同様な営業スタイルでは下請け企業として生きていく他はな
いため、顧客のニーズやウォンツを分析しながら市場の中に自分自身の存
在意義を見つけ出していったのだと思います。

 これらの好調企業の例として、外食産業向けにASP事業を展開してい
るジャストプランニング社があります。
 従業員は23名の小さな企業ですがジャスダック公開を果たしており、平
成15年1月決算期の売上高対経常利益率見通しは20%を超えています。

 ○株式会社ジャストプランニング
  
 数年前に、「まかせてネット」という情報システムのアウトソーシング
事業(ASP事業)を手がけて成功しました。

 この企業は、もともとは外食産業向けにシステムコンサルティングとシ
ステムの受託開発していた企業です。
 ASPというビジネスモデルがない頃に業態の転換を決断した訳で、そ
の先見性は賞賛に値します。

 私は、以前にジャストプランニング社を訪問したことがあり、その際に
吉田社長と面談する機会を得ました。

 この時に吉田社長のお話で印象に残っているのは、
『自分達はASPをやろうと思った訳ではない。お客さんに役立つことで
自分達にしかできないことは何だろうかと模索していたら、自然に今の事
業形態にたどり着いた。』
ということです。

 吉田社長は「マーケティング」という言葉は使われませんでしたが、ジ
ャストプランニング社が実践していたのは、まさしく戦略的マーケティン
グに他なりませんでした。
 私は吉田社長との面談を通じて、これからの情報サービス産業にはマー
ケティング戦略が重要になることを痛感しました。

【余談ですが】

 実はこの時、私には新規事業の企画があり、吉田社長にアドバイスを頂
きました。
 その時に指摘されたのは、私の持ち込んだ企画はマーケティング戦略が
不十分であるということでした。

 自分自身が手がけるビジネスにおいてマーケティングは、どのようにあ
るべきか、その時に吉田社長から頂いた宿題は相変わらず私にとって大き
な課題です。

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■閑話休題

 現在、中小企業診断士の実務補習の真っ最中です。

 前半と後半で二つの企業を担当するのですが、私の場合、前半が製造業
後半が商店街です。

 前半の製造業は、140人の小さな会社ですが、従業員のモチベーション
の高さに感銘を受けました。
 社長は44歳の二代目経営者です。創業者の急逝で経営難に陥った会社を
20代で引き継がれ、数々の苦労を重ねながら立て直されました。
 二代目というよりは、第二創業者と言った方が良いかもしれません。

 社長さんは温厚で謙虚なお人柄ですが、その話の中に熱い思いを感じま
した。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.009]ITCに関する個人的意見

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■■□  [No.009]ITCに関する個人的意見
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/01/31━
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●ITコーディネータの現状について説明します

 ご存知の通り、ITコーディネータ制度は中小企業のIT導入を推進す
るために設立されました。

 「経営者の立場にたって経営とITを橋渡しし、真に経営に役立つIT
投資を推進・支援するプロフェッショナル」がITコーディネータ(以下
ITC)です。
 2002年11月29日現在で、約2,700人のITC(ITC補を含む)が誕生
しています。

  ■ITC協会のサイト
   
 企業としてこの制度に注力しているところも多く、NECグループは、
148名、NTTグループは141名、富士通グループは121名のITCを生み
出しています。(2002年11月29日現在)

 いつくかの成功事例が報告されており、成功事例の経営者はITCを高
く評価しているようです。
 また、ITCを取得したおかげで年収が1千万円もUPしたという中小
企業診断士の方もいるようです。

 ところが一方では、ITC制度を疑問視・問題視する声も多く上がって
います。

 ITCに対する肯定的な声と否定的な声を整理すると以下の通りです。

[肯定的な声]

 ・中小企業のIT導入に関して、いくつかの成功事例が出てきている。
  (ITCは役に立つ)
 ・研修カリキュラムが優れている、特にケース研修は実践的で極めて有
  効である。
 ・ケース研修を通じて知り合った人たちとの人的ネットワークやコミュ
  ニティが形成される。
 ・最新の方法論を体系的に学ぶことができる。
 ・ITCのプロセスガイドラインを学ぶことで、全員が共通言語で会話
  できるようになる。

[否定的な声]

 ・成功事例もあるが失敗事例も発生している。
  (ITCは役に立たない)
 ・粗製濫造の感があり、ITCは玉石混合の状態である。
 ・大手企業を顧客としている企業が、社員にITCを取得させるメリッ
  トは少ない。
 ・兼業を認められていない企業において企業人がITCとしての活動を
  することは困難である。(基本的に個人事業者向けの資格である。)
 ・資格維持の基準が厳しすぎる。時間的にも費用的にも負担が大きい。

●個人的意見ですがITCの資格取得はお勧めです

 ITCを取得することによって、独立して食えるようになるかというと、
それは直ぐには難しいと思います。
 また転職に有利になることも、今のところはなさそうです。

 ITCを取得したということは、あくまで基礎を構築しただけであって、
その基礎の上に経験を積むことによってはじめてプロフェショナルとして
の力がそなわってくるのだと思います。
(これは、ITCだけでなく情報処理試験試験やPMP等の他の資格にも
いえる事ですね。そもそも私は、○○○は食える資格かどうかという議論
そのものがナンセンスだと感じています。)

 でもあえて私は、SEの方々にITCを取得することお勧めします。

 その理由は、ITCが「食える」資格だからではなく、「食えるように
なる」ための戦略に活用できるからです。

●ITCの資格取得は難しくありません

 ITCが活用できる理由の一つは、資格取得が難しくないことです。

 特認コースやITC補試験の合格率の高さから、ITCは粗製濫造であ
るという意見があります。
 中には、IT企業がコンサルタントとしての資格を手っ取り早く手に入
れるために、そう仕向けたのだという声もありますが、これは穿った見方
だと思います。

 ITCは制度設計の当初から、門戸を広くして資格取得後の継続学習や
実務経験により、資格取得者のレベルアップをはかっていこうという思想
がありました。
 やたら難易度の高い試験になって使いづらい制度となることを避けたい
という考えが、ITC制度にはあったのです。

 この門戸の広さは、戦略的に活用できます。
 ITC取得を前提としてキャリアプランを作成することができるからで
す。

 合格率が低い資格取得を前提としたキャリアプランを作成してしまうと、
合格できない限り、戦略が前に進みません。
 難関試験合格を前提としたキャリアプランはリスキーです。

【補足です】

 誤解のないように付け加えますが、私はSEが難易度の高い試験に挑戦
することは大賛成です。
 ここでは、あくまで難関資格を自分戦略の中心に据えることの不確実性
の高さを、問題視しているのです。
 それは完成時期がはっきりしない強力兵器を前提にして戦略を立てるよ
うなものだからです。

●ITCは自立を促す良い機会をSEに与えてくれます

 ITC取得者は、ITCのネットワーク等を通じて実務経験を積む機会
を得ることができます。

 企業内ITCであっても兼業すれば、中小企業のIT導入を支援し、経
営戦略レベルからの総合的な実務経験を積むことができます。

 専門領域に特化したエンジニアあっても、たまにはヘリコプターにのっ
て、全体の中での自分の役割を把握できるようになることが大切です。
 ITCの研修を経ることでこのヘリコプターに乗る能力を得ることがで
きます。
 必ず新たな気づきが生まれると思います。

 また、他流試合を行うことで、自分自身の市場価値を客観的に認識する
ことができます。
 いきなり独立や転職して失敗することのリスクを避けることができます。

●企業内ITCは積極的に兼業を行いましょう

 ITCは企業人には活用しづらいという声がありますが、遠慮すること
なく兼業として行えばよいのです。
 それは日本経済活性化のためでもあり自分のためでもあります。

 理想的には勤務先の了承を得ることですが、もしそれが難しくても、方
法はいくらでもあります。

 現在の日本企業で、終身雇用を保証できる企業は稀です。自分の身は自
分で守らなければなりません。

 ITCとして得られる収入は、それほど多くないかもしれません。
 しかし、減った給料や賞与を補完することは可能と思われます。
 なによりも雇用されること以外で収入を得ることは、先々で大きな自信
になると思います。

 そして万が一、リストラされたり定年を迎えたとしても、ITCとして
継続的な活動をしておけば、第二の人生への移行を円滑に行うことができ
るようになるでしょう。

 企業側も、終身雇用や年功序列を保証しないのであれば、企業内ITC
の兼業を積極的に支援するくらいであって欲しいと思います。

 【余談ですが】

  先日の日本経済新聞の記事にもありましたが、最近は兼業を認める企
 業が増えつつあります。
  今後、IT業界でもこの動向は顕著になることでしょう。
  なぜなら、社員の兼業を認めることは企業にとっても社員にとっても
 お互いのメリットとなるからです。
  その理由については今回は述べませんが、賢明な経営者はその有効性
 に気がつきはじめています。

 【さらに余談です】

 以下はITCに関してITC関係者のAさんから聞いた例え話です。

 Aさん曰く

    医者のすべてが開業医ではありません。彼らの多くは企業として
   の病院に勤務するサラリーマンです。
    彼らは若い頃は勤務先で専門医として働き、50代以降に独立し、
   町医者として地域に貢献しています。
    そして、開業後も元の職場と連携しながら地域の医療活動に貢献
   します。
    企業と企業内ITCの理想的な姿がここにあるのではないでしょ
   うか。

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■閑話休題

 このメルマガが、All About Japanソフトウエアエンジニアのリンク集
キャリアビジョンを持つ)で紹介されました。

 ガイドの好川哲人さんは、他にもプロジェクトマネジメントに関するサ
イトを運営されており、私はそのサイトから発行されるメルマガ愛読者の
一人です。

 好川さんのサイトはSEにとってたいへん参考になります。
 ぜひご覧下さい。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.008]方向性を定める

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□■■  上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
■■□  [No.008]方向性を定める
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/01/24━
▼上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン バックナンバー
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●進むべき方向性について考えましょう

 私たちは前回まで、自分戦略策定のプロセスに沿って
  ・ミッションステートメント
  ・自分の強みと自分の弱み
  ・外部環境(時流)が自分に与える機会と脅威
を考えてきました。

 今回は、これらの成果物をインプットとして、自分自身が進むべき方向
性について考えてみましょう。
(例によって、お気に入りの場所でリラックスしながら考えてください。)

●SEにも戦略的ドメイン(事業領域)が必要です

 企業の経営戦略では、進むべき方向性を戦略的ドメイン(事業領域)で
明確にします。

 ドメインは、一般的に以下の3つの切り口で表されます。

 ・顧客は誰か(市場はどこか)
 ・対応しているニーズは何か
 ・どんな技術を活用しているか

 これからの時代は、個人レベルでも戦略的ドメインが必要です。

 SEに要求される技術が多様化複雑化する中、与えられた仕事をこなし
ていくだけでは時代のうねりに翻弄されてしまいます。
 自分にとってのドメインを明確にし、選択と集中を行なうことが大切で
あると思います。

●ドメインを設定する時に重要なことが2つあります

(1)1番目に重要なこと

 ドメインを定める際に、最も重要なことは「ミッションステートメント
に適合したドメインを選択する」ということです。

 自分のミッションステートメントに合致していないドメインに身を置く
こととほど不幸なことはありません。

(2)2番目に重要なこと

 次に重要なことは、「時流に乗ることより、まずは強みを活かすことを
考える」ということです。

 マーケッターであれば、まず第一に市場の動向を分析し、時流に乗った
商品を扱うことを考えることが重要です。

 しかし、SEはマーケッターではなくエンジニアです。エンジニアの場
合は、マーケッターと違って自分自身の中に蓄積されたスキルやコンピテ
ンシー(行動様式)を中心にして戦略を練ることが大切です。

 もちろん前回お話ししたように、SEにとっても時流分析は重要ですが、
それは自分の強みを明確にした上で考慮する方が良いと考えます。

●自分の強みを認識していないSEは不幸です

 しかしSEの中には、自分の強みを明確に認識しないまま、流行の要素
技術を追っかけることに夢中になっている人が少なくありません。
 中には、プロフェッショナルとしての自覚と厳しさをもって最新技術を
吸収し、それを強みとしているSEもいますが、そういう人は少数です。

 IT業界はドッグイヤーといわれます。そのため時流に乗った技術を身
につけないと生き残れないと感じているSEが多いようです。

 果たして本当にそうでしょうか。

 私は、SEの真の強みは、長い年月をかけて蓄積され醸成されているも
のだと思っています。

 最新の技術を学ぶことに無関心ではいけませんが、その前に自分の中に
蓄積された強み(これをコアコンピタンスといいます)を明確に認識し、
そのコアコンピタンスを中心とした戦略を策定することが大切です。

 ベテランSEの中には、時流に遅れてしまったと思い込み、自分の中に
蓄積された強みに気が付いていない人達がたくさんいます。

 このような人達は、エンジニアとしての自信を失ってしまい、最悪の場
合、組織に寄生する管理職や部下のやる気を失わせる言動を連発する有害
上司となっています。
(上司に恵まれないSEが生み出される原因の一つは、ここにあります。)

 私は、例え時流からはずれた強みであっても、それがコアコンピタンス
であれば、それを中心とした戦略を展開することは可能であると考えてい
ます。(残り物には福があるという言葉もあります。)

 私はSEの皆さんに、今の自分が持っている可能性を見つけ出して欲し
いと心から思っています。

●方向性を定めるプロセスを解説します

 これから進むべき方向性を考える前に、まず現在のドメインを考えて見
ましょう。
 上記の3つの切り口を使って、現在の自分のドメインを紙に書き出して
下さい。

 現在のドメインを書き出したら、今までの自分戦略策定プロセスで作成
した成果物を取り出して見比べて下さい。

 ・現在のドメインでミッションステートメントを実現できますか?
 ・現在のドメインは自分の強みを活かせますか?
 ・現在のドメインには機会がありますか?

 上記の3つを自問自答しながら、今後の方向性を考えます。
 方向性を考える際には以下のマトリックスを利用します。

  ┌───────┬─────┬─────┐
  │       │現在の市場│新たな市場│
  ├───────┼─────┼─────┤
  │現在のサービス│  A  │  B  │
  ├───────┼─────┼─────┤
  │新たなサービス│  C  │  D  │
  └───────┴─────┴─────┘

 現在いるのはAの領域です。
 ここからどの領域を目指すのかを考えれば良いわけです。

 Aの領域が目指すべき方向であれば、現在の職種・職場でより深く自分
の強みを蓄積していくことになります。

 Bの領域が目指すべき方向であれば、勤務先に対して部署異動や新規事
業開発の提案をする必要があります。
 場合によっては、転職や起業、兼業という選択肢もあるでしょう。
 例えば、受託ソフトの開発から製品開発を担当するSEへの転向等はこ
のケースに該当します。

 Cの領域が目指すべき方向であれば、職務を水平方向や垂直方向にシフ
トすることになります。
 場合によっては、まったくの職種変更という選択肢もあります。
 実装フェーズを担当するSEから、同じ市場内でのプロジェクトマネー
ジャやITコンサルタントへの転向等はこのケースに該当します。

 Dの領域を目指す戦略は、多くの場合、高いリスクをともないます。
 例えば、情報サービス産業で受託ソフトを開発していたSEが、コンサ
ルティングファームに転職してITコンサルタントになるケース等が該当
します。
 ここを目指すのであれば、いったんBやCの領域を目指してから進むと
いう2段階方式が良いかもしれません。

 目指す方向性が決まったら、その内容をドメインの3つの切り口で紙に
書いて下さい。

 ・私が標的とする市場(顧客)は○○である
 ・私が対応しているニーズは○○である
 ・私が活用している技術は○○である

 これで目指すべき方向性が明確になりました。

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■閑話休題

 先日、赤坂のスナックで「おでん」を食べました。このお店はおでんと
明石焼きを売り物にしています。
 とても美味しいおでんでしたが、我が家のおでんも負けていません。
 実は、近所の商店街におでんダネを売っている小さな店があって、ここ
で買ってきたおでんダネが最高に美味いのです。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.007]時流を把握する

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□■■  上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
■■□  [No.007]時流を把握する
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/01/16━
▼上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン バックナンバー
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●自分自身の外部環境分析を行います

 自分自身の内部環境分析に続いて、外部環境を分析します。

 外部環境とは、世の中や身の回りで起きていることで、私たちの生活に
影響を与える事象です。
 いわゆる「時流」は外部環境にあたります。戦略を策定する際には、外
部環境を分析しておくことが大切です。

 外部環境分析は、以下のような手順で考えると分析しやすいと思います。

  1.マクロ環境における気になる事象を列挙する。
  2.ミクロ環境における気になる事象を列挙する。
  3.各事象が及ぼすプラスの影響とマイナスの影響を考える。

●マクロ環境における気になる事象を列挙してみましょう

 マクロ環境とは、自分の生活に「間接的な」影響を及ぼす事象です。
 例えば、IT業界の業況やIT技術の動向等は、SEの生活や自分戦略
に間接的に大きな影響を及ぼします。

 マクロ的な事象で最近気になることを列挙してみましょう。

 なお、事象によっては、間接的であるか直接的であるかの判断が困難な
ものがあります。
 直接的か間接的かの線引き基準は各人の判断で構いません。

 以下に具体例として、私が個人的に気になるマクロ環境を列挙します。
 (このメルマガでは今後、定期的にマクロ環境に関する情報を提供し、
  考察を行う予定です。)

(1)情報サービス産業は冬の時代に突入

 情報サービス産業の各社では、今年の春ごろから受注量に陰りが見え始
め、大手企業が2003年3月期の売上高予想を下方修正する等、現時点では
減退傾向に転じています。
 また、国土交通省の調査発表によれば、情報サービス産業においては長
年にわたり開業率が廃業率を上回っていましたが、2001年9月から開廃業
率が逆転してしましました。

(2)ITサービス市場は年7.4%の高成長率

 IDCジャパンの調査結果によると、IT業界全体としての業況は厳し
いもののITサービス市場は年7.4%の高成長率になると予測しています。
 特にASP等を含んだアウトソーシングは、2004年に急成長し、受託計
算サービスやシステムインテグレーションを抜いて最大規模になることが
予測されています。

(3)「e-Japan重点計画-2002」

 日本政府は、日本経済の再生を目的として「2005年までに世界最先端の
IT国家となる」という目標達成に向けて「e-Japan重点計画」を策定し
ました。
 「e-Japan重点計画-2002」の中では、重点政策分野として以下の5つを
掲げています。
 1.世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成
 2.教育及び学習の振興並びに人材の育成
 3.電子商取引等の促進
 4.行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の促進
 5.高度情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保」

(4)国際競争時代の幕開け

 情報サービス産業においても低価格化の波が押し寄せています。
 コンピュータメーカや大手の情報処理サービス業は、価格競争力を向上
させるために中国やインド等のITエンジニアを本格的に活用しはじめて
います。
 オフショア開発(開発を日本国内ではなく現地で行う)であれば、プロ
グラミングおよび単体テストフェーズの1人月単価は30万円弱です。

(5)Webサービスの本格的な活用

 インターネット上でアプリケーションを連携させる「Webサービス」
を実現するための開発や実行環境がかなり整ってきました。
 今後は、企業情報システムに本格的な導入がなされると思われます。

(6)マネジメントプロセスの高度化

 情報サービス産業においては、エンジニアリングプロセスだけではなく
マネジメントプロセスが急速に高度化されつつあります。
 具体的には、標準知識体系に基づくプロジェクトマネジメント手法やソ
フトウエアプロセス改善手法等の導入です。
 仕事の進め方が、従来と大きく変わっていくことが予想されます。

●ミクロ環境における気になる事象を列挙してみましょう

 ミクロ環境とは、自分の生活に直接的な影響を及ぼしそうな事象です。
 この内容は、各人で様々に異なってくると思います。

 なかなか列挙できないようなら、以下のような4つの切り口で考えて見
て下さい。

(1)自社に関する気になる事象

 自社に関して気になる事象を列挙して下さい。
 自社の業況や今後の見通しはいかがでしょうか。
 また、人事制度の改革や企業統合等、大きな変革の要素はありませんか。

(2)顧客に関する気になる事象

 顧客に関して気になる事象を列挙して下さい。
 お客さんのニーズ(必要性)やウォンツ(欲求)は何でしょうか。
 また最近、お客さんの要望内容や水準に変化はありませんか。
 お客さんは従来とおなじような仕事のやり方でも満足してくれているの
でしょうか。

(3)競合に関する気になる事象

 競合に関して気になる事象を列挙して下さい。
 競合は、今どんなことに力を入れているでしょうか。
 何か自分達とは異なった取組みをはじめた形跡はありませんか。

(4)パートナーに関する気になる事象

 パートナーに関して気になる事象を列挙して下さい。
 パートナーとは、システム開発の外注先や製品の仕入先あるいは戦略的
な連携を行っている企業や個人です。
 パートナーとの関係に変化はありませんか。
 パートナーは現在、どのような戦略を取っているでしょうか。

●各事象が及ぼすプラスの影響とマイナスの影響を考えてみましょう

 マクロ環境とミクロ環境で列挙した事象について、それぞれプラスの影
響(機会)とマイナスの影響(脅威)を考えてみて下さい。
 一見、脅威と思われる事象も機会に結びつく要素があったりします。

 例えば、中国やインド等からのIT技術者の進出は多くのSEにとって
は脅威となるでしょう。
 しかし、国際感覚に優れてマネジメント力に秀でた人であれば、ブリッ
ジSEとして多くの機会に恵まれる可能性があります。

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■閑話休題

 ここ数年、低価格戦略で圧倒的な強さを見せていたファーストフード企
業があります。
 つい最近、家族でこのファーストフード店に入りました。
 ちょうど昼時にあたったのですが、お客はほとんどいません。1年くら
い前までの行列が嘘のようです。

 あくまで個人的な意見ですが、単なる低価格戦略は、競合やパートナー
を窮地に陥れるだけでなく、いずれは自分自身の首をしめる結果となるケ
ースが多いように思います。

 同じ低価格でも、大成功している某百円ショップはマーケティング戦略
が根本的に異なっています。
 お客は、単に安いから買っているのではなく、「えっ、これが百円!」
という驚きにお金を払っているのではないでしょうか。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.006]自分の強みと弱みを明確にする

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□■■  上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
■■□  [No.006]自分の強みと弱みを明確にする
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/01/09━
▼上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン バックナンバー
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●自分自身の内部環境分析を行います

 自分自身の「真の価値観」や「真の思い」を明確にして、ミッションス
テートメントを書き上げたら、次に環境分析を行いましょう。

 環境分析は、内部環境分析と外部環境分析に分けることができます。
 内部環境分析では、自分の強みと弱みを明確にします。
 外部環境分析では、自分を取り巻く環境のプラス要素(機会)とマイナ
ス要素(脅威)を明確にします。

 今回は、内部環境分析(強みと弱み)を一緒に考えてみましょう。


●強みと弱みを書き出してみましょう

 自分の強みと弱みを明確にするためには、「真の価値観」の時と同じよ
うに、紙に書き出してみることが良いと思います。(紙に書いてみること
で頭脳が活性化されます。)

 また、その際にはSEという職業にとらわれずに、さまざまな視点から
強みと弱みを抜き出すことをお勧めします。(ひょっとすると、あなたに
とって最も有効な戦略は職種を変えることかもしれません。)

 以下のような視点で自分自身の能力や行動様式を考えて見ましょう。

 [強み]
  ・得意としていることは何か?
  ・好きなことは何か?
  ・並みの人より優れていることは何か?
  ・何か事をなす時に優位性となることは何か?
  ・過去にチャンスを得る要因となったことは何か?

 [弱み]
  ・不得意なことは何か?
  ・嫌いなことは何か?
  ・並みの人より劣っていることは何か?
  ・何か事をなす時に制約条件となってしまうことは何か?
  ・過去にチャンスを逃がす要因となったことは何か?

 以下に具体例を上げてみます。

 [強みの例]
  ・面倒見が良く、顧客や仲間から信頼されている。
  ・顧客の要件を整理し、まとめることに長けている。
  ・経理業務および財務会計業務に精通している。
  ・プロジェクトマネジメントの知識体系を理解しており、プロジェク
   トマネジメントの実務経験が豊かである。
  ・自己啓発や学習意欲が旺盛である。
  ・健康で風邪を引かない。

 [弱みの例]
  ・最新のソフトウエア技術に遅れをとっている。
  ・最近、プログラミングの生産性が落ちてきた。
  ・英語が苦手である。
  ・頼まれると、ノーと言えないところがある。
  ・経営者や上司にごますりができない。
  ・酒の席が苦手である。
  ・ゴルフが苦手である。


●自分の経験を棚卸しましょう

 実際には、自分自身の強みと弱みを苦労なく書き出せる人は少ないかも
しれません。

 もし、なかなか紙に向かっても思い浮かばないようなら、準備作業とし
て、自分の経験を棚卸してみましょう。

 以下の内容を紙に書き出して下さい。

(1)定常的な活動を棚卸する

 長期に渡って定常的に行っている活動があれば、その項目を紙に書いて
下さい。
 そして、その下に、その活動を通じて生み出された成果物やサービスを
書いて下さい。(中間の成果物やサービスも忘れずに書き出して下さい。)
 継続は力なりという言葉があります。その活動を通じて、何らかの能力
や良い行動様式が蓄積されているはずです。

(2)印象的な経験を棚卸する

 過去の経験で特に印象に残っている出来事を数項目程度上げてください。
 印象的な出来事とは例えば、成功体験、失敗体験、何かを成し遂げた経
験、嬉しかったこと、悔しかったこと等です。
 また、仕事に関することだけではなく、私生活や学生時代の出来事でも
構いません。
 そして、その下に、その活動を通じて生み出された成果物やサービスを
書いて下さい。(中間の成果物やサービスも忘れずに書き出して下さい。)
 印象に残る出来事の中には、あなたの強みや弱みが必ずあります。


●強みと弱みを洗い出すための4つの切り口を紹介します

 経験を書き出した紙を眺めながら、その定常的な活動や印象に残った出
来事の中での自分の強みと弱みを洗い出して下さい。
 それでも、なかなか発見できないようなら以下に掲げる4つの切り口で
考えてみて下さい。(あわせて発見のヒントとなる言葉を掲げます。)

(1)ヒト

 対人関係における強み(弱み)です。個人と組織の2つの対象に分けて
考えてみて下さい。
  ビジョンを示す リードする マネジメントする コントロールする
  指示する 評価する 調停する 助言する 魅了する 理解する
  話す 聴く 相談にのる 力を引き出す 育成する 教える 癒す
  楽しませる 和ませる 意思伝達する 交渉する 説得する 
  紹介する 引き合わせる 人的ネットワークがある

(2)モノ

 物体を活用する強み(弱み)および身体的な強み(弱み)です。
  調達する 設計する 開発する 製造する 作成する デザインする
  写す 描く 組み立てる 分解する 修理する 運転する 操作する
  操縦する (動植物を)育成する 料理する 整理整頓する 
  掃除する 洗浄する 治療する 歩く 走る 泳ぐ 競技する
  歌う 演奏する 演じる 耐える 

(3)カネ

 金銭を扱うことに関する強み(弱み)です。
  ビジネスチャンスを発見する お客を開拓する お客を維持する
  スポンサーを見つける 高く売る 安く買う 資産を運用する
  コストを削減する 節約する 節税する 会計を管理する 見積もる
  資金調達する 資金回収する 集金する 取り立てる 貯蓄する

(4)情報

 情報を活用する強み(弱み)およびを知的・精神的な強み(弱み)です。
  研究する 調査する 分析する 企画する 計画する 記録する
  記憶する 知識がある 視覚化する 体系化する まとめる
  問題を発見する 問題を解決する 語学力がある 文章力がある
  想像する 論理的に思考する 創造的に思考する 宣伝する 

 上記の言葉をヒントとして強みや弱みを抜き出した場合は、その言葉に
肉付けして内容を具体化して下さい。


●ITスキルに関する強み弱みを洗い出してみましょう

 SEにとっての能力ということでITスキルに関する強み弱みを洗い出
すのなら、経済産業省が策定を進めている「ITスキル・スタンダード」
が良い切り口になりそうです。

 以下のURLは、パブリックコメント募集時の資料ですが参考になると
思います。
 http://www.meti.go.jp/feedback/data/i21018aj.html

 また、「日経ITプロフェッショナル」の1月号でも特集が組まれてい
るようです。
 http://itpro.nikkeibp.co.jp/NIP/page1.shtml


#「ITスキル・スタンダード」に関しては、あらためて私なりの意見を
 述べたいと考えています。


●抜き出した強みと弱みに順位づけをします

 強みと弱みを書き出し終わったら、その中から重要と思う項目を選び出
してみましょう。
 強みは5~7項目、弱みは3~5項目に絞り込んで下さい。
 そして選び出した項目は、それぞれ重要と考えるものから順位をつけて
下さい。

 これで、強みと弱みが明確になりました。
 洗い出した項目を重要度の高い順に紙に書きとめて完了です。

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▼閑話休題▼

 正月休みに「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」を読みました。
 この本を読むと、日本のサラリーマンがいかに搾取されている存在であ
るかが、よ~く分かります。サラリーマン必読の書ですね。

「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 ― 知的人生設計入門」
お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 ― 知的人生設計入門

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.005]Hさんからのメール

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□■■  上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
■■□  [No.005]Hさんからのメール
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2002/12/26━
▼上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン バックナンバー
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●Hさんからメールを頂きました

 読者のHさんからメールを頂きました。
 (Hさんは、東京都町田市で独立開業されているSEです。)

 これまでの内容を簡単に振り返りながら、Hさんのメールにレスします。


●戦略は考える順番が大切です

 [No.001]環境変化と「自分戦略」

 この号では、SEを取り巻く環境変化について述べ、これからのSEは
「自分戦略」を持つ必要があることをお話ししました。

【Hさん曰く】

|5年近く前になりますが、「自分戦略」ということを、独立に当たっ
|て非常に考えました。
|私自身、凡庸な経営者や上司に恵まれて(?)いましたが、何よりお
|客様である複数の大手企業の現場の課長さん達にしごかれることで、
|「職」に対する本当の意味でのプロ意識が芽生えました。

 Hさんは独立される際に「自分戦略」を考えたと書かれています。
 SEが転職や独立する際には、この「自分戦略」をちゃんと考えたどう
かで、その後の成功が左右されるように思います。

【Hさん曰く】

|その時に考えたのは、
|・自分にできること
|・自分に望まれていること
|・自分がやりたいこと
|を如何に調和させるか?ということです。

 Hさんがここで述べられていることは、まさしく「自分戦略」の骨格に
あたるものですね。

 ・自分がやりたいこと
 これは、まさしく前回お話しした「真の価値観」にあたるものです。

 ・自分にできること
 これは、次号でお話しする予定の「自分の強みと弱みを明確にする」に
あたります。

 ・自分に望まれていること
 これは、さらにその次でお話しする予定の「自分の身の回りで起きてい
ることを分析し、時流を把握する」にあたります。

【Hさん曰く】

|但し、この3要素が調和・完結しているようでは仕事は面白くありま
|せん。
|常に凸凹がありながら、その調和を目指して努力することで、全体と
|して「なりたい自分」に近づけると思っています。
|そのような考えに基づいて、ビジネス/テクニカル/対象業務の各領
|域を策定しながら仕事をこなしていくよう心がけています。
|零細企業なので、なかなか理想通りとは行きませんが。

 ビジネスには理想と現実があります。Hさんが言われているように、
仕事には「自分がやりたいこと」とは違うが「自分に望まれていること」
なのでやるという場合もあります。
 大切なことは、自分が現在行なっている活動の戦略的な位置づけを明確
にしておくことだと考えます。

 さらに補足すると「自分戦略」を策定する際には、
  1.自分がやりたいこと
  2.自分にできること
  3.自分に望まれていること
 の順番で考えることが大切です。

 この順番を間違えると、本来はやりたくないことを、一生懸命やるはめ
になることがあるので、注意が必要です。


●「第二領域」の重要性が認識されつつあります

 [No.002]「自分戦略」の意義と策定プロセス

 この号では、「自分戦略」を策定することの意義と、策定のプロセスに
ついてお話しをしました。

【Hさん曰く】

|『7つの習慣』は読んでませんが、「第二領域」こそ人間らしい活動
|だと思います。
|地球という1惑星の生物でありながら、過去を振り返り未来を考える
|チカラを持った人間には良い未来を築くことができるはずです。

|よく考え、予め手を打つことで「第一領域」の大部分は、実は他の領
|域になったりします。

 同感です。

 身近な例を上げて説明します。
 世の中には、なぜか苦労ばかり背負っているSEがいます。

 ・いつも残業や休日出勤が多い。
 ・アサインされたプロジェクトは、必ずトラブってしまう。
 ・まじめに一生懸命やっているのに、顧客からのクレームが絶えない。

 これらのSEの多くに共通するのは、普段の行動が「第一領域(緊急で
なおかつ重要な活動の領域)」のみに集中しているということです。

 一方で、すべての事が順調に運んでしまうSEがいます。

 ・残業や休日出勤は、あまりしない。
 ・アサインされるプロジェクトはいつも大成功。
 ・顧客からは絶大な信頼を得ている。

 これらのSEに共通しているのは、以下のような行動様式です。

 ・プロジェクトの計画を策定し、モニタリングしている。
 ・想定されるリスク等に先手を打っている。
 ・普段から顧客や仲間との間に良好な人間関係を築いている。
 ・自己啓発や能力開発に積極的である。

 これらの活動はすべて「第二領域(緊急ではないが重要な活動の領域)」
に属するものです。
 メルマガの中で述べたように、これは「第二領域」の活動によって「第
一領域」の活動が減少した結果と言えます。

 もっとも、いつも苦労ばかり背負うSEに言わせると、忙しくてとても
「第二領域」の活動などやる暇がない、ということになってしまいます。
 これらのSEは、悪循環にハマってしまっています。どこかでこの呪縛
を断ち切る工夫をする必要があります。


【Hさん曰く】

|私は、「Know How」ではなく「Know Why」を心がけています。
|そうすることで、より物事の本質に迫り、仕事を良い方向に進めるこ
|とができると確信しています。

|いつも感心するのは、欧州の考え型が「第二領域」重視に根ざしてい
|ることです。
|米国や急発展の中国が「第一領域」中心のように思えて危惧していま
|す。
|戦後日本もそうだったのではないでしょうか?
|でも最近、日本でも「第二領域」重視の考え方が増えている気がしま
|す。

 確かにその通りですね。

 例えば、情報サービス産業においては、SPI(ソフトウエアプロセス
改善やPM(プロジェクトマネジメント)の導入に注力しています。
 SPIやPMで述べられていることの大半は、「第ニ領域(緊急ではな
いが重要な活動の領域)」の活動です。


●Hさんの「真の思い」

 [No.003]「真の価値観」と「真の思い」

 この号では、「真の価値観」を発見することの意義についてお話ししま
した。

【Hさん曰く】

|私の場合「真の思い」は、
| お客様が活動を通して集めた情報を、整理・蓄積することで次なる
|STEPにつなげる有益なしかけ(IT)を提供し、お客様にHAPPYになって
|頂く。ことです。
|当然、手法やインフラは技術の進歩と共に変化するでしょうが、上記
|の思いは一生持ちつづけると思います。(と思って独立しました。)

 私たちは自分の中心に変わらない何かを持つことではじめて自分を環境
に合わせて変化させることができるようになります。
 これからSEを取り巻く環境は激変することが予想されます。SEにと
って、Hさんのような「真の価値観」や「真の思い」を持つことはとても
大切なことです。

【Hさん曰く】

|真の目的を明確に意識しているお客様は、なかなか少ないですよね。
|前回の返事と似た表現になりますが、「真の目的=What」だとすると、
|SCMとかCRMとか「How」を要求される方が多いのが現状です。
|逆に言えば、如何にお客様の「What?」を引き出せるかがシステム化の
|成功のカギを握ると感じています。

 まったく同感です。
 残念ながら自分自身の「真の価値観」を意識しているお客さんは少ない
ですね。
 IT導入という機会を通じて、SEがお客さんの「真の価値観」発見を
お手伝することができたら、本当に素敵なことですね。


●Hさん式「真の価値観」の見つけ方

 [No.004]「真の価値観」の見つけ方

 この号では、「真の価値観」を発見する方法についてお話ししました。

【Hさん曰く】

|そう言えば、独立前後は通勤のロマンスカーの中で、いろいろ考えた
|事をタバコの箱にメモってました。
|今思えば、誰にも邪魔されない30分間で、タバコを吸いながら飲み物
|(帰路はアルコール)を飲んで、「真の価値観」を見つけるにはもっ
|てこいの環境だった訳ですね!

 Hさんの「真の価値観」の見つけ方は、理想的ですね。
 私にもたいへん参考になりました。

【Hさん曰く】

|ところでなんだか、SEに限らないテーマになってきましたね。
|読者はやはり、SEが多いのでしょうか?

 ここまでは、どうしても一般的な話になってしまいました。
 これからは、徐々にSEに関するテーマに戻していきます。

─────────────────────────────────
▼閑話休題▼

 私は、家内の仕事の関係で、土曜日に主夫を担当しています。「週末起
業」ならぬ「週末主夫業」ですね。
 最初は、苦手だった料理もだんだんと楽しくなりつつあります。
 また、子供達と接する時間も増えて、いろいろな面で視野が広がったよ
うに思います。
 ところで、私の仲間にプロの主夫がいます。メルマガを発行されており、
アマチュア主夫の私には、とても参考になります。

「お父さん頑張る 痛快!主夫業」
 ・発行者サイト:
  http://www.aa.alpha-net.ne.jp/aminbo/
 ・まぐまぐ:
  http://www.mag2.com/m/0000085871.htm
 ・melma!
  http://www.melma.com/mag/50/m00057750/

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.004]「真の価値観」の見つけ方

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2002/12/19━
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●なぜ夢が描けないのでしょうか

 「あなたの夢は何ですか?」と聞かれて、即答できる人は少ないと思い
ます。

 私は、中小企業経営者の方々に同様の質問をすることがありますが、や
はり難しい質問のようです。しばらく考えた末に、多くの経営者の方が答
える夢は、売上規模だったり社員数だったり事業拠点の数だったりします。

 私たちが、なかなか夢を描けないのは、自分自身の中にある「真の価値
観」や「真の思い」を発見していないからだと思います。


●「真の価値観」を見つけることは思ったより簡単です

 「真の価値観」や「真の思い」は、どうやったら発見することができる
のでしょうか。。
 実は、ポイントさえ押さえれば思ったより簡単なことなのです。
 ポイントは、以下の4つです。

(1)作り出すのではなく発見するのです

 第1のポイントは、「真の価値観」や「真の思い」は作り出すものでは
ないということです。それは発見するものなのです。
 「自分が本当にやりたいこと」や「自分にとって最も大切なこと」を探
索するのです。

(2)リラックスする

 第2のポイントは、探索の際は心身をリラックスさせるということです。
 心身をリラックスさせるためには、日常から離れた場所でなおかつ落ち
着くことのできる空間に身をおくことが効果的です。
(私のおすすめの場所は、雰囲気の良い喫茶店や洒落たバーのカウンター
 です。多少アルコールが入っていた方が良いかもしれません。)

(3)紙に書いてみる

 第3のポイントは、紙に書いてみることです。
 紙に書くことで、思わぬ「気づき」が生まれます。
 (ノート等を持参する必要はありません。もし、選んだ場所が喫茶店や
  バーのカウンターならば、備え付けの紙ナプキンが最適です。)

(4)焦らない

 第4のポイントは焦らないことです。
 ひょっとしたら、何も思い浮かばないかもしれません。
 また、紙に書いた内容が、しっくりこないかもしれません。
 でも諦めないで下さい。たまたま今日は日が悪かったのです。
 気分の良い日に再チャレンジしましょう。


●「真の価値観」の発見手法を紹介します

 「真の価値観」や「真の思い」を発見する方法は、さまざまな手法があ
ります。以下に、私が過去に読んだ書籍から参考になりそうなものを紹介
します。是非試してみて下さい。

(1)自分の葬儀に参列することを想像してみる

 スティーブン・R・コヴィー博士の「7つの習慣」に記載されている手
法です。

 気がつくとあなたは誰かの葬儀に参列しています。
 「誰が亡くなったんだろう?」
 祭壇の遺影に目をこらしてみると、何とそれはあなた自身の葬儀でした。
あなたは幽霊となって自分自身の葬儀に参列していたのです。

 参列者が順々に、あなたの遺影に対して弔辞を述べます。それは、あな
たの配偶者や子ども達、友人や仕事仲間たちです。

 ・あなたは、そこで自分がどんな人間だったと言って欲しいでしょうか?
 ・参列者の一人一人にとって、あなたがどんな存在であったと言って欲
  しいでしょうか?

 この質問に対する答えの中に、「真の価値観」があります。

「7つの習慣―成功には原則があった!」
7つの習慣―成功には原則があった!

(2)まずは、やりたくないことを明確にする

 神田昌典さんの「非常識な成功法則」に記載されている手法です。

 まずは、「やりたくないこと」を紙に書き出してみます。
 なぜ、「やりたくないこと」を書くのかといえば、「やりたいこと」か
ら書きはじめると、本当は「やりたくないこと」を「やりたいこと」とし
て書いてしまう危険性があるからです。

 「やりたくないこと」を書き終えたら、今度は「やりたいこと」を書き
はじめます。この時には、自分の中にある願望を洗いざらい書き出します。
経済的なことや物質的なことをどんどん書いて構いません

 「やりたくないこと」「やりたいこと」の両方を書き終えたら、その内
容をよく眺めます。

 その中に以下の二つに該当する項目がないか見つけて下さい。
 ・もし自分の寿命が残り半年だと知ったら、やりたいことは何ですか?
 ・その半年間にお金を一銭ももらえなくても、やりたいことは何ですか?

 この質問に対する答えの中に、「真の価値観」があります。

「非常識な成功法則―お金と自由をもたらす8つの習慣」
非常識な成功法則―お金と自由をもたらす8つの習慣

(3)コーチングを活用する

 鈴木義幸さんの「コーチングが人を活かす」に記載されている手法です。
 (どうしても自分一人の力では見つけられない時には、実際にプロのコ
  ーチングを受けてみるのも良い方法と思います。)

  探求する 冒険する 触れ合う 優雅である サポートする
  共にいる 影響する 観察する 勇気づける 卓越している
  奉仕する 創造する 工夫する 輝いている つながっている
  指導する 説明する 達成する 気づく   勝つ
  洞察する 支配する 説得する 極める   遊ぶ

 ・上記のリストの中から、自分に最も馴染むものを3つあげて下さい。

 この質問に対する答えの中に、「真の価値観」があります。

「コーチングが人を活かす―やる気と能力を引きだす最新のコミュニケーション技術」
コーチングが人を活かす―やる気と能力を引きだす最新のコミュニケーション技術


●「ミッション・ステートメント」を書いてみましょう

 「真の価値観」や「真の思い」を発見できたら、「ミッション・ステー
トメント」を書いてみましょう。
 「ミッション・ステートメント」とは、自分が何をするためにこの世に
生まれてきたかを宣言するものであり、自分自身の憲法となるものです。
 具体的には、以下のようなものです。


   私の使命は、人々に「良い影響」を与えることである。
   私と接することで、その人の中から希望や活力が生まれるような、
  そんな人間でありたい。

   私の使命は、人々の話に耳を傾けることである。
   私は、「話し上手」と呼ばれるよりも「聴き上手」と呼ばれたい。
   例えば、思春期を迎えた私の娘や息子が気軽に相談を持ちかけられ
  るような、そんな人間でありたい。

   私の使命は、自分の持つ技術や知識を持ってプロフェッショナルと
  しての責任を果たすことである。
   プロフェッショナルとしての活動を通じて人々の幸せに貢献するよ
  うな、そんな人間でありたい。

   そして、けっして忘れてはならないことが一つ。
   それは自分がごく普通の人間であり、凡人であるということである。
   私には知らないことがたくさんある。私は答えを持っていない。
   誰に対しても何事に対しても謙虚でありたい。


 「ミッション・ステートメント」を作成したら、手帳等に書き写しまし
ょう。そして、1日に1回は眺めて下さい。

 作成された「ミッション・ステートメント」は、何度も修正されて醸成
されます。もしも、しっくりこない箇所が出てきたら手直しして下さい。

 悩みや迷いが発生した時には、自分の「ミッション・ステートメント」
に戻ることが大切です。そうすると今まで見えていた景色と違うものが、
必ず見えてきます。

─────────────────────────────────
▼閑話休題▼

 先日、子供(幼稚園年長)のお遊戯会を観に行きました。
 全体的に感心したのは、最近の子供がリズム感に優れているということ
です。特に年少さんの踊りは可愛さも加わり最高に素敵でした。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.003] 「真の価値観」と「真の思い」

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■■□  [No.003] 「真の価値観」と「真の思い」
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2002/12/12━
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●自分の中心となる「真の価値観」や「真の思い」を発見しましょう。

 「自分戦略」を策定するにあたって、まず前提となるのは自分の中心と
なる「真の価値観」や「真の思い」を発見することです。
 「真の価値観」や「真の思い」とは、自分の一生を通じて変わることの
ない基本理念であり、「自分は何をするためにこの世に生を受けたのか」
という自分自身の存在意義です。
 そして、当然のことながらこの「真の価値観」や「真の思い」は人によ
ってそれぞれ異なります。価値観や思いの内容自体に、何かしらの正解が
ある訳ではありません。


●自分の中心を発見することにどんなメリットがあるのでしょうか。

 「自分戦略」を策定する最初に、自分の中心を発見することは、「自分
戦略」の基礎造りをすることです。まず最初に、しっかりと基礎を固めて
おかないと、後々にせっかく策定した戦略がぐらついてしまいます。

 そして、自分の中心を発見することには、以下のようなメリットがあり
ます。

(1)環境変化に対応することができるようになります。

 これからのシステムエンジニアには環境変化に対応するための柔軟性が
必要になります。これは、昨日までの自分を、常に新しい自分に変革でき
るということです。
 しかしこれは、口で言うほど簡単でありません。私たちにとって、「変
わる」ということは今までの自分を否定することであり、とても勇気が必
要なことです。
 私は、自分の中心に「真の価値観」や「真の思い」を持つことではじめ
て、そのような勇気を発揮することができるようになる、と思っています。
 私たちは、自分の中心に「一生を通じて変わることのない何か」がある
からこそ、自分自身を変えることができるのだと思います。

(2)悩みや迷いが発生した際の心の支えとなります。

 私たちは生きていく上で、いろいろな悩みや迷いに遭遇します。
 例えば、以下のような時です。
  ・自分自身で策定した計画がなかなか軌道に乗らない時
  ・まったく異なる価値観を持つ成功者の話を聞いた時
  ・家族や職場の人間関係がうまく行かない時
  ・自分の活動に対して家族や知人の理解が得られない時 等
 このような際に私たちは、自分の中心となる「真の価値観」に立ち戻る
ことで自分の位置を再確認し、悩みや迷いを解消することができます。

(3)人生を生き抜いて行くためのエネルギーの源泉となります。

 「人はパンのみにて生くるにあらず」という言葉があります。私は、人
生をより有意義に生きるためのエネルギーの源泉として、経済的・物質的
な目標とは別に、「真の価値観」や「真の思い」が必要であると考えてい
ます。「お金儲け」だけをエネルギーとして人生を生き抜ける人は非常に
稀であると考えています。

 【補足ですが】
  誤解にないように付け加えますが、私は「お金儲け」を罪悪視してい
 るのではありません。「お金儲け」は「真の価値観」や「真の思い」を
 実現するために必要不可欠なことです。
  また、これからのシステムエンジニアにとって、「お金儲け」を楽し
 む感覚を持つことやファイナンスについて学ぶことは、とても大切なこ
 とになると考えています。
  システムエンジニアの「お金儲け」については、今後このメルマガで
 も取り上げる予定にしています。

(4)「真の思い」に共感した仲間の協力や理解を得やすくなります。

 システム開発プロジェクトを成功させるためには、様々な立場の人々の
協業が必要です。顧客もプロジェクトマネージャもメンバーも、全員が同
じ目標に向かって力を合わせなければプロジェクトは成功しません。
 システム開発プロジェクトに限らず、私たちが何かをなそうとする時に
は必ず「仲間」が必要です。「真の思い」を持つと、それに共感した仲間
の協力や理解を得やすくなると、私は考えています。


●「真の価値観」「真の思い」に関する余談を一つお届けします

 創刊号から、少し抽象的な話が続きました。(ちょっと頭が疲れてしま
いましたね。)
 ここらで、「真の価値観」「真の思い」に関する余談を一つお届けしま
す。ある企業経営者の話ですが、「自分戦略」を考える上でも参考になる
と思います。


 大阪に靴下卸売業を営む中小企業があります。
 この会社は、靴下のSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)を構築
し、この不況下においても業績を伸ばしています。(SCMの成功事例とし
て「中小企業白書」や「日経コンピュータ」「日経ビジネス」にも紹介さ
れている企業です。)
 この会社のSCMが素晴らしいところは、製造拠点を国外には求めずに昔
馴染みの製造業者達と連携しているところです。
 この会社の社長さんは、自分達のシステムは「サプライ・チェーン・マ
ネジメント」ではなく、良い靴下を作ることに情熱を持った侍達の「サム
ライ・チェーン・マネジメント」だと、おしゃっています。

 およそ1年前になりますが、私はこの社長さんと面談する機会を得るこ
とができました。名刺交換させて頂き、1時間程度でしたが直接お話しを
伺うことができました。
 以下、この社長さんから頂いたお話しの中で、特に私が感銘を受けた部
分を紹介します。(社長さんの言葉の雰囲気を出すために関西弁で書きま
すが、私の関西弁はかなりいい加減です。関西の方は大目にみて下さい。)

 (社長曰く)
   なんや知らんけど、ウチとこのシステムは「サプライ・チェーン・
  マネジメント」とやら呼ばれてましてな、外国や日本の大学の偉い先
  生が研究のために見に来ますのや。わしに言わせれば、大学の先生は
  アホでっせ。そんなんな、まるで長島のバットを見に来るようなもん
  ですな。バットをいくら研究しても、ウチとこの本当の強みは分かり
  ませんなぁ。

   わしは高尚な経営の理屈はまるで分からんし、興味もありません。
  でも、経営で何が一番大切かは分かっているつもりやね。
   経営で一番大切なんは「思い」ですわ。「思い」がないところに経
  営はありません。経営ちゅうのは、「思い」を実現するために「組織」
  を作り、「組織」をうまく動かすために「システム」を作るんですわ。

   わしはお客さんに満足してもらう靴下を作ることに全てをかけてま
  す。寝ても覚めてもそのことばかり考えてますな。今のシステムの元
  になったアイデアは、20年以上前のある日、風呂の中であれやこれや
  考えている時に突然閃きましたのや。
   わしはコンピュータのことは何も分かりません。でも靴下に対する
  「思い」と風呂の中で閃いたアイデアを皆に一生懸命語っているうち
  に、周りの人がよってたかって今のシステムにしてくれましたんや。
   ホンマにありがたいことですわ。

─────────────────────────────────
▼閑話休題▼

 先日、ナイト・シャマラン監督の映画「サイン」を観ました。「シック
ス・センス」、「アンブレイカブル」と、私は確実にシャマラン監督のフ
ァンになりつつあります。
 シャマラン監督の作品は、まず第一にスリラーとしての一級品ですが、
単なる娯楽作品に留まっていません。すべての作品の中心に「家族の絆」
というテーマがあるように感じます。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.002] 「自分戦略」の意義と策定プロセス

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●「自分戦略」によって人生を有意義に過ごすことができます。

 みなさんの中には、企業や事業家ならともかく一個人が戦略を策定する
ことに、どんな意義があるのだろうかと疑問を持たれている方がいるかも
しれません。

 企業の経営戦略については、一般的に以下のような本質的意義があると
言われています。
  ・変化する経営環境への対応
  ・成長する方向性の探索
  ・競争上の優位性確保
  ・経営資源の有効配分

 私は、「自分戦略」にも経営戦略と同様の意義があると考えています。
 すなわち以下のようなことです。
  ・自分を取り巻く環境の変化に対応すること
  ・自分が進むべき方向性を見つけること
  ・自分のセールスポイントを確保すること
  ・自分のコアスキルや人的ネットワーク等の資源を蓄積すること

 そして私は、「自分戦略」にはさらに重要な意義があると考えています。
 それは、「自分戦略」を持つことにより、人生という限られた時間を、
豊かにかつ有効に活用することができるようになることです。


●人生で最も大切なのは「緊急ではないが重要な領域」の活動です。

 スティーブン・R・コヴィー博士が書いた『7つの習慣』という本の中
に、「時間管理のマトリックス」という考え方が紹介されています。
 これは、人生における活動を4つの領域に分けて考えるものです。
 この本の中でコヴィー博士は、人生の過ごし方は、「重要度」と「緊急
度」という活動の軸で分けると、以下の4つの領域に分類することができ
ると述べています。
 ・第一領域:緊急でかつ重要な活動の領域
 ・第二領域:緊急ではないが重要な活動の領域
 ・第三領域:緊急ではあるが重要でない活動の領域
 ・第四領域:緊急でも重要でもない活動の領域

 上記の中で、あなたは普段どの領域の活動に多くの時間を費やしている
でしょうか。
 不運なシステムエンジニアの多くは、優れた上司に恵まれていないため
に、第一領域の活動に大半の時間を費やしているのではないでしょうか。
 第一領域の活動とは、例えば以下のようなものです。
 ・明日の朝までに完成を命ぜられたプログラム開発
 ・顧客からかかってきたシステム障害の電話対応
 ・ストレスからくる十二指腸潰瘍や神経症の治療 等

 コヴィー博士は、第一領域の活動ばかりを行なっていると、この領域の
作業は減るどころかどんどん増えてしまうと指摘しています。そして、こ
のような人は、人生の大半を第一領域で過ごし、残りわずかな時間を第四
領域で過ごすようになると警告しています。(つまり平日は仕事に追いま
くられて、週末がやってくることだけを楽しみにするような人生ですね。)

 では、第一領域の仕事量を減らすには、どうすれば良いのでしょうか。
 それは第二領域の活動を意識的に実施することだとコヴィー博士は説明
しています。
 第二領域の活動とは、例えば以下のようなものです。
 ・自分が参画しているプロジェクトの真の目的は何かを考えること
 ・作業の計画を立てること
 ・ソフトウエア開発プロセスの改善を行うこと
 ・学習や自己啓発を行うこと
 ・デスクワークばかりで鈍ってしまった体を鍛え健康を維持すること
 ・顧客やプロジェクトメンバーと人間関係を構築すること 等

 人は第二領域の活動を行わなくても人生を過ごすことができます。
 また、人は第二領域の活動を、緊急性がないために疎かにしがちです。
 しかし、第二領域の活動を意識的に行わないと、第一領域の活動に占領
された忙しいばかりで充実感のない人生か、第三や第四領域の活動に侵さ
れた無責任な人生を送ることになってしまいます。
 視点を変えると、第二領域の活動は予防的な活動であると捉えることが
でます。私たちは、発生する問題に対処するだけでなく、予防的に物事を
考えることで人生を有意義なものに変えていくことができるのです。

 そして「自分戦略」を策定することは、まさしくこの第二領域の活動を
行うことの一つに他なりません。

「7つの習慣―成功には原則があった!」
7つの習慣―成功には原則があった!

●「自分戦略」は、どのようなプロセスで策定すれば良いのでしょうか。

 経営戦略策定については、経営学者のアンゾフが以下のような手順を上
げています。

 1.事業機会の探索
  ・経営理念の確立
  ・内部環境(強みと弱み)の分析
  ・外部環境(機会と脅威)の分析
 2.事業領域の選択
  ・成長戦略の策定
  ・事業領域の定義
 3.事業戦略の確立
  ・財務戦略、マーケティング戦略等の策定
 4.経営資源の展開(経営資源の配分または経営資源の蓄積)

 経営戦略の策定は、まず経営理念を確立した上で、自社を取り巻く経営
環境の分析を行なうことから始めます。
 そして、環境分析の結果を基に、自社の成長の方向性を見極め、事業領
域(ドメイン)を定義します。
 次に、そのドメインに適した事業戦略を策定します。
 最後に、その事業戦略を有効かつ効率的に実行するために経営資源を配
分し、戦略の実行を通じて経営資源を蓄積します。

 私は「自分戦略」も経営戦略と同じような手順を経て策定することがで
きると考えています。
 私が考える「自分戦略」策定のプロセスは以下の通りです。

 1.事業機会の探索
  ・自分の中心となる真の価値観を発見する。
  ・自分の強みと弱みを明確にする。
  ・自分の身の回りで起きていることを分析し、時流を把握する。
 2.事業領域の選択
  ・自分が成長する方向性を見極める。
  ・自分の事業領域(ドメイン)を定義する
 3.事業戦略の確立
  ・具体的な目標と成功のための仮説を策定し実行する。
 4.経営資源の蓄積
  ・仮説と検証の繰り返しを通じてコアスキル等の資源を蓄積する。

 次号からは、個々のプロセスに関して具体的な解説を行ないます。

─────────────────────────────────
▼閑話休題▼

 先日、村上春樹さんの『海辺のカフカ」』を読みました。
 村上さんの本を読んでいつも感じることは、この人の書かれたものは、
私にとってなぜか「癒し」になるということです。本を読み進んでいくう
ちに、心の隅々まで水が染み渡っていくような、そんな不思議な感覚があ
りました。

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上司に恵まれないSEのために-自分戦略策定マガジン
 [No.001] 環境変化と「自分戦略」

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●システムエンジニアに要求される技術は変化しました。

 システムエンジニアであるあなたを取り巻く環境はここ10年間で大きな
変貌を遂げました。
 かつての汎用機全盛の時代から「ネオダマ」の流れを経て、現在はWeb
関連技術やオブジュクト志向を中心としたソフトウェア技術が中心となっ
ています。
 ITが活用される領域や企業規模も広がり、あなたに要求される技術は多
様化かつ広域化しています。


●情報サービス産業にも変革が迫られています。

 一方、多くのシステムエンジニアが従事する情報サービス産業に眼を向
けると、日本経済が厳しさを増していく中で、他の業界に比べて比較的恵
まれた状況にありました。しかしながら、今年の春ごろから受注量に陰り
が見え始め、IT系の大手企業が情報サービス事業の2003年3月期の売上高
予想を下方修正するなど、現時点では減退傾向に転じています。
 さらに今後は、中国やインドなどから安価で優秀な技術を有する企業の
参入が進み、さらなる競争の激化が予想されています。

 情報サービス産業の多くの企業は、今まで明確な経営ビジョンや経営戦
略を持っていなくても企業を維持運営することができました。かつては、
訳も分からぬ新卒学生を大量に採用し、プログラミング教育だけを行なっ
て現場に放り込めば収益が上がっていました。多段階構造の元で、日本語
と特異な商習慣に守られ、凡庸な経営者であっても企業を運営・維持する
ことがが可能でした。
 しかし、これからはこれまでのビジネスのあり方を否定し、自己改革を
成し遂げる必要があります。市場を再定義し自社の事業領域(ドメイン)
を明確に定めた上で営業展開をしていかなければ、この時代の流れの中で
生き残っていくことは困難と思われます。


●これからのシステムエンジニアは「自分戦略」を持つことが大切です。

 そして私は、システムエンジニアであるあなた自身も「自分戦略」を持
つ必要があると考えています。「自分戦略」とは、個々の得意分野(事業
領域)を絞り込み、成長する方向性を見出し、その方向性にフィットした
コアスキルやコンピテンシーを蓄積していくことです。
 もし、あなたが優れた経営者のいる企業に勤務しているならば良いので
すが、もし凡庸な経営者や上司(残念ながら情報サービス産業では、レベ
ルの低い経営者や上司が数多く存在していると思います。)の元で働いて
るなら、その企業とともにあなたは不幸な人生を歩むことになると思いま
す。


●「自分戦略」を持つとはどういうことでしょうか。

 システムエンジニア向けの雑誌を読むと、これからシステムエンジニア
にとって必要となるスキルやコンピテンシーの記事がたくさん眼につきま
す。確かにこれらのスキルやコンピテンシーを修得することは大切なこと
です。
 しかし、これだけ技術が多様化かつ広域化すると、これらの雑誌で解説
されているすべての技術を身につけることは普通のシステムエンジニアで
ある読者にとっては、おおよそ不可能であるし非現実的です。
 また、それぞれに得手不得手があります。
 例えば、そもそも人と接することが苦手な人に対して、コミュニケーシ
ョン能力を高めなさいと口うるさく指摘しても、身に着けることはなかな
か困難です。コミュニケーションが不得手な人は、確かに不利になること
があるでしょう。しかし、戦略のとり方によっては、他の強みで弱みを補
うことも不可能ではありません。

 普通のシステムエンジニアであるあなたにとって大切なのは、巷で騒が
れている時流に乗ったスキルを追いかけることではありません。まず自分
自身の成長の方向性を定めた上で、自分自身にとって必要となるコアスキ
ルを見極めるということなのです。そして、それが「自分戦略」を策定す
るということなのです。


●このメルマガを通じて「自分戦略」をいっしょに考えていきましょう。

 「自分戦略」は人それぞれで異なります。また必ず自分で考え出すこと
が大切です。従って、このメルマガの中に答えそのものがあるわけではあ
りません。しかし、このメルマガを読むことによってヒントになることが、
きっとあると思います。

 今、あなたの前に白いキャンバスがあることをイメージしてみて下さい。
 あなたは、その白いキャンバスにどんな絵を描きたいですか?
 いっしょに考えていきましょう。

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■謝辞(創刊にあたって)

 このメルマガの発行に際しては、多くの方々にお世話になりました。
 この場を借りて心よりお礼を申し上げます。

 まず最初に、このメルマガの発行に関してご指導頂きました週末起業フ
ォーラムの森先生と藤井先生にお礼を申し上げます。本当にありがとうご
ざいました。

 次に、たんとうしきCLASSの皆様そして日本プロジェクトマネジメ
ント・フォーラムの皆様にお礼を申し上げます。会合やインターネットを
通じての皆さんとの議論により多くの「気づき」を得ることができました。
それらの「気づき」はこのメルマガの糧となることでしょう。

 最後に、私の身近にいるシステムエンジニアの方々にお礼を申し上げま
す。私はシステムエンジニアという職業を選択されたあなた方のことが大
好きです。あなた方との出会いがなければ、このメルマガが創刊されるこ
とはありませんでした。本当にありがとうございます。

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