【書評】プロジェクトマネジメント
●書名:プロジェクトマネジメント
○著者:近藤哲生
○発行:日本経済新聞社
○お薦め度:★★★★★
「あきらめの壁をぶち破った人々」に続く実用企業小説の第二段です。
「あきらめの壁をぶち破った人々」と同じくITプロジェクトを題材にしていますが、今度の舞台はユーザではなく、受注者(SIer)になっています。
情報サービス業に従事するSEの方々には、より身近な内容です。
そして、何よりも感動的で勇気が沸いてくる本です。
『始まった時からすでに失敗している』、こんなプロジェクトが私達の周辺にはたくさんあります。
主人公の松風大地が、病気入院したプロジェクトマネージャに代わって、急遽配属された「愛川病院向け病室管理システム」も、そんなプロジェクトでした。
「プロジェクトは人を幸せにするものでなければならない。その成功法則を俺が見つける!」
主人公の感動の闘いがはじまります。
私が最も感激したのは、他人とのコミュニケーションが苦手で常に斜に構えているSEの村田が自分の能力を発揮できる場を見つけて生き生きと動き出すシーンです。このシーンで著者は、主人公に以下のように語らせています。
帰っていく村田の背を見送りながら、松風は、この人事を絶対に成功させたいと思っていた。集団の中で評価されていない者が、実は、「余人でもって代え難し」といった能力を持っているということを皆に知らせたかった。人は必ずしも自分の能力を出し切っているわけではない。隠れた能力をいかに見つけ出して、育て上げていくかということも、プロジェクトマネージャやプロジェクトリーダの重要な仕事であると、松風はあらためて思った。
(2004/02/11)
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